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一穂 ミチ 青石 ももこ

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ボーイズラブ・レビュー


一穂 ミチさんの新聞記者シリーズです。
(もちろん、これ1冊で完結しておりますので他を読んでなくてもまったく問題ないです)
やべーわ超好み……。
職業描写がっつりで切ない系好きなら高確率でクリーンヒット来ると思われます。
ただし、ちょっと一部の人には地雷が埋まってるかもしれません……。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
ある夜、新聞社勤めの冬梧が証明写真を撮っていたボックスに見知らぬ青年が闖入、身も世もなく泣き出してしまう。お詫びをと連絡してきた製薬会社勤務の望と交流を重ね、冬梧はデートめいて心地いい時間に戸惑う。やがて懇願される形で体をつなげ、すでに惹かれていたのだと観念した冬梧だが、望はその日から「もう会えない」人になっていた―。

出会いが紹介文にあるとおり、それどーなの……っていう状態ですが、BLにおける縁というものはいやはや、すごい繋がり方をするものです。
証明写真の撮影中に泣きながら乱入してきた男と良い感じになっていくって。
フラグの変化球にもほどがあります。

しかもそれ、そこから会う度に惹かれていって、あるときドライブした先で懇願されて行為に至る、しかも一発目が車の中ですよ。しっとり系なのに行動がしっとりしておりません。
なにしろ、受の望は必死だったんですね……。

その後、新聞記者として前線から離れていた冬梧に、望が勤務していた製薬会社の内部告発文書が匿名で届けられます。そしてその直後、望とは一切連絡が付かなくなりました。
望が内部告発をしてきたのは明白で、告発者とそれを記事にした記者が接触を避けるべきなのは、告発者の身の安全のためには当然です。
冬梧はずっと夢見ていた一面の署名記事を手に入れましたが、同時に好きになった男をそれと知らずに失ってしまったのです。これはつらい。
不意打ちみたいな形で身体を重ねたのが最初で最後とか、相当切ないです。
その記事が世に出てから、買収されそうになったり突然殴りかかられたりと危険にさらされた冬梧は、海外勤務を会社に打診され、断らずに異動してしまいます。

そして時が流れること17年…………

ファンタジーじゃないのに17年、一度も会わずに連絡も取らずにいた、告白もちゃんとできてないBLカップルとかもうレアすぎます。二十数巻目までメインカップルが肌色シーン本番に至らなかったシリーズといい勝負だと思います。
というか、再会できて良かった……できなかったら普通にJUNEですよこれ。
しかし17年経って、望の娘を名乗る少女からコンタクトを取られた冬梧の心中は察して余りあります。望は、会社の不正の為に死を選ばざるを得なかった先輩の妻と再婚して、先輩の娘を育てていたのです。好きな男の妻と結婚して娘を育てるというのはこれ、苦しいのか幸せなのか、外からはとてもじゃないけど分からないですが、とにかく望は父親になっていたのです。

想い続けた相手が、再婚して誰かの父親になっていた。
それでもお互い好きで、17年経っても好きで、もう一度相手の手を取ることを選べた。
気の長いラブストーリーでした。
なんかじんわり沁みてくるラストで震えました。

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