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虹の球根 (幻冬舎ルチル文庫) 玄上 八絹 三池 ろむこ 幻冬舎 2013-11-15 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ボーイズラブ・レビュー
つらーっと著作一覧を眺めてたら、アンハッピーウエディングの感想を書いてないことに気付いてあわわわってなりました……そのうち書く!!
あのときは立て続けだかほぼ同時に玄上さんの新刊が発売されたんだよなー。
今回は単独で出てきました。
大好きな「トイチの男」の続き、というか私が熱望していた画廊の夫夫のお話です!
目利きの大人な美形カップル! 美形はBLの華であります。
表紙もふわっと素敵なイラストとデザイン。
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
美大に入ったものの己の限界に気づき、進路に迷う硅太郎。努力家ゆえ模写の技術と真贋を見分ける眼だけは無駄に磨かれた。ある日、校内で見かけた制作途中の絵から圧倒的な才能を感じ打ちのめされた硅太郎は、その作者、銀示の常軌を逸した行動と魅力的な容貌に惹かれてゆく。しかし銀示の生活能力の欠如には生い立ちが深く関係しているようで?
玄上八絹さん、デビュー作からずーっと追いかけてますけど、生活能力皆無というかマイナスな男を書かせたら天才かもしれません。
ゴールデンビッチの時からそんな気はしてたけど、今回もまた……すごい受があらわれたものです。 銀示というんですが、彼、才能はあふれかえってるくせに生活能力がゼロ割ってマイナスに突っ込んでるんですよ。私、自分の家事能力に自信がつくところでした!
なにしろ、17歳になるまで現金を見たことが無かったわけです。
家から一歩も出してもらえず育てられて、恐ろしいことにそのことを苦痛に思っていなかったのですね……そしてひとり暮らしを始めるも、電話のかけ方を知らないわ、整理整頓能力は皆無でもちろん料理なんか論外です。
そんな彼が出会ったのが、美大で自分の才能に見切りをつけて、それでもまだ諦めきれずにぐらぐらしていた硅太郎でした。
何となく出会って、偶然が重なって点が結びついて線になっていく。
そういう過程が素敵なお話です。
いつの間にか惹かれてるって、けっこうよくある話なんですが、その流れをきれいにまとめて見せてもらえることは案外少ないのです。
硅太郎がふと思いつきで買ったヒヤシンスの球根は、銀示の部屋で水栽培されます。
銀示は球根から虹が生えるといい、そうじゃない何色かは分からないけど花が咲くんだって硅太郎が説明するんですが、何色が咲くか分からないならやっぱり虹だと言い張ります。
芸術家の思考回路はちょっと線の繋がり方が独特ですね……。
(ちなみに作中で硅太郎が最低1か月っていってますけど、1か月じゃ絶対咲かないからね……3か月くらいかかります)
どこかが尖ってて、どこかが抉れてる……そんな2人がうまいこと凸凹を噛み合わせる感じのカップルになりました。
あと、銀示の生まれに関してはちょっとしたミステリというか、本編の最後にくるまであかされない秘密があります。それもまた良い感じのスパイスになっております。
この一連の結構な秘密をうっかり聞かされてしまった茅野(トイチの男の攻くん)がちょっと哀れですが、きっとそのうち、いろんなことが綺麗に片付いて大団円になるところまで読ませてもらえるって信じてるんで、それまでは胸の中に抱えておいていただきましょう。
そう。この本は2人の馴れ初め編ということでして。
もちろん彼らはこの先、大学を卒業して社会に出て、硅太郎は家のことに関して決着をつけたり画廊を持つに至るまでにもきっとあれこれあるだろうし、ここで終わりってことはないはず!
個人的には、銀示の財産を食いつぶした挙げ句、彼の絵を勝手に売りさばいてそれでも借金の首が回らなくなってドロンした清水の首根っこを捕まえてギャフンといわせて欲しいです。ちょっとあいつ、後見人の癖にアフターケアも放り出して好き放題やりすぎてたので。
気になるところがあちこちにあるので、このシリーズ、もう何冊か読めるととっても嬉しいです。
ちなみにヒヤシンスのくだりがツボすぎたので、ちょっと育ててみようと思って球根を調達して参りました。さて何色の虹が生えてくるんでしょうか。
水栽培の球根を選ぶときは、なるべく大きくて重いのを探してくださいねー。
ちなみにヒヤシンスの名の由来はギリシャ神話の美青年からきております。だから美青年の球根と勝手に呼んでます。いやー楽しいですね!
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アキミ