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銀の雫の降る都 (リンクスロマンス)銀の雫の降る都 (リンクスロマンス)
かわい 有美子 葛西 リカコ

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ボーイズラブ・レビュー


仕事が佳境に入ってきており、更新したいのになかなかできませんつらい……。
デビュー作も読んでいってるのですが身体が追いつかないという。
軟弱者ですね、鍛えなくては!

さて、かわい有美子さんの主従ボーイズラブ・でファンタジーです。
ツボでしたよふふふふっ!!
しっとりしんみり、切ないカップルです。
表紙絵がとっても綺麗で、うっとり、本編読んでうるるっという。
絵と文章の相乗効果ってこの本のことをいうんだなーと思ったのでした。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
大国レーモスよりエイドレア辺境地に執政官として赴任しているカレル。三十歳前後の見た目に反し、実年齢は百歳を超えるカレルだが、レーモス人が四、五百年は生きる中、病気のため治療を受け続けながら残り少ない余命を淡々と過ごしていた。そんなある日、内陸部の市場で剣闘士として売られていた少年を気まぐれで買い取る。ユーリスと名前を与え、教育や作法を躾けるが、次第に成長し、全身で自分を求めてくる彼に対し徐々に愛情が芽生え…。

執政官カレルの気まぐれで側に置かれることになったユーリスですが、彼は本気で保護者であるカレルを愛するに至ります。
とにかく、真っ直ぐなんです。
投手で言うところのストレートしか投げられないっていう感じで。
でも、カレルはその気持ちをどう受け止めて良いのか分からない。

普通の人間ではない長命種であるカレルですが、不治の病に冒されていて、余命はそれほどファンタジックな長さではありません。
それでも、どうにも彼の感情は動きが鈍くて見えにくい。
殆ど揺らがないくらいの凪いだ海のような心のカレルですが、少しずつ、ユーリスに対して感情が波立っていきます。彼が初めて知る恋という感情だったんでしょう。

海を見るのが好きなカレル。
彼の母国から見れば辺境でしかない国ですが、それでもカレルはこの国を慈しんでいたんだなーと窺わせてくれる自然や街の描写がすごく好きです。

カレルとユーリスは、ただ一度だけ身体を繋げます。
その後、カレルは病気が悪化して帰らぬ人となってしまいます。
客死扱いとなって、故郷に細かい記録すら残されない、出来損ない扱いをされ続けてきた貴族の長子。
それでも彼は幸せだったんだろうなー。
絶対にクローンなんか作らないと決めていたはずなのに、ユーリスのために、今一度、病弱でままならない身体を再生することを望んで逝きました。

プライベートな記憶はチップに収めてユーリスに。
もし、心が変わったら海に沈めるようにとのことで、もうこの男は!
絶対戻るから待ってろくらいの束縛をあげてよっ!! ってギリギリさせてくれました。
再生されて戻ってきたカレルと、再び出会うユーリス。
そして通い合う心……。
確かにハッピーエンドです。

でも未来過ぎる技術が飲み込めなくて、再生されたカレルは前のカレルとは違う……。
という思いが私の中から消えなくて。
確かに、生前の記憶はあってもそれは体験を伴っていないとか、成長の過程やちょっとした環境で双子でも同じようには育たないとか、下手したら同じか音記憶を持った別人……ってぐるぐるなっちゃって、どうにもこうにも自分の気持ちを持て余しました。
それでも、最期にユーリスのためにもう一度生きようと決めたカレルの心こそが、ユーリスへの最大の報いだったのだし、たとえ別人でも、何度でも決めた相手と恋に落ちればいいというところにストンとはまったので、やっぱりうるうるときました。

ほんとに、面白かったしずっしり心にきたし、大満足のBL作品でした。

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