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ボーイズラブ・レビュー


一穂ミチさんの新刊です。
うっかり、こっちの本編を積んだまま夏コミでゲットした薄い本を読みかけて慌てて閉じました。
やはり本編から読まねばなりません。

相変わらず、静かにじんわり萌えるBLをお書きになる作家さんです。
もうちょっと情念ドロドロで派手めな要素が混じってても良いんですよ、とも思いますが、この作風がこの作家さんの持ち味なんだろうなー。
ボーイズラブというジャンルにはけっこう珍しいタイプだと思うのです。
系統的には橘紅緒さんも静かにじんわりかな。

ちなみにこの本のカップリングは新聞記者×国会速記者です。
記者はともかく速記者の具体的な仕事内容は初めて知りました。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
国会で働く碧は、その「声」に耳をそばだててしまう。滑舌よく明瞭な声の主は新聞社政治部記者の西口。食堂の定位置―碧の隣のテーブルで忙しなく騒がしく食事して去る彼は、日々をひっそり重ねる碧とはまるで正反対だった。しかしある出来事を境に、西口は碧を何彼と構うようになる。彼の素顔に触れるにつれ、次第に惹かれていく碧だが…。

接点があるようでない、仕事現場が同じ2人が出会ってくっつきます。
性格は水と油。
正反対だからこそ引きつけられたのかなーというくらい違います。

がさつなようでそうでない、気遣いのできる西口に、声からはじまってどんどん惹かれていく碧。
あまりに見事なお弁当を毎日食べる碧を、妻帯者だと西口が勘違いしたり、碧も妙な見栄を張ってそれを訂正しなかったり、くっつく前から微妙にすれ違います。
恋愛として決定的な何かがあったかというと、そんなことないけど、なんか色々あって最終、相思相愛になったよねという感じでしょうか。
世の中そういうもんですよねーとなんとなく納得させられる一穂マジック。

仕事面の描写がかなりしっかり書き込まれていて、そこも楽しかったです。
仕事描写って、すんなり読めるかどうかでBL面の萌えが補強されるか萎えるか紙一重な所があるのでけっこう大事なんです。
私は一穂さんの仕事描写、好きなんですよねー。

カップリングとしては、西口は離婚歴有りの中年で、まだ昔の妻とのあれこれを忘れきれずにいるあたりが良いです。なんだろう、スーパー攻様になりきれない泥臭さといいますか、人間らしいといいますか。
碧は若いのに見る目がありますよ……!

最後のヤマは、まさかの人物の助けで西口が左遷を免れる流れで、

「あれっ。ラストなのに見せ場が西口じゃなかったよ!?」

という地味なサプライズもあったり……。
うんうん、人間、傷がある方が魅力的ですよ、褒めてるんすよもちろん!

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