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積木の恋 (プラチナ文庫)
積木の恋 (プラチナ文庫)

ボーイズラブ・レビュー

朝南かつみさんの訃報をtwitterで知って本当にびっくりしました。
まだまだこれから、色んなイラストで萌えを……となんの疑いもなく思っていただけに、衝撃が大きかったです。
本屋さんで彼女のイラストを見ては切なくなります。

積んでいるBL本の中にも確か彼女の絵の本が……と思い出して掘り返して出てきたのがこの作品でした。シックな色遣いで、なのにどこかあたたかい素敵な表紙です。
作品の内容をよく表して引き立てるような良いカラーだったと思います。

もうこの先、朝南かつみさんの挿絵でボーイズラブの新作を読むことはないのだなあ……。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
これが「好き」という気持ちだろうか── 恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに──生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。

生きるのに追いつめられて男を騙すようになった蓮は、総合病院の坊ちゃんをたらし込んだはずがいつの間にかペースを乱され、気づいたら逆にたらし込まれておりましたというお話です。
いやもうほんとそれだけなんですけども。
ミイラ取りがミイラになる過程がこう、世知辛い世の中だったり、世間ズレしてなさ過ぎる話し下手の坊ちゃん攻の誠実だったりで、悲しいのとほんわかするのが絶妙のバランスで配合されている作品なのです。

あっさり捕まって手が後ろに回った蓮ですが、坊ちゃんはそのくらいでは惚れた男を見捨てませんでした。それくらいって言いますけど400万吸い上げられてるんですけどね。普通に一般的な社会人の年収ですけどね……!!! なのに2年後にちゃんと迎えに来てくれるんですよ、すげえ。

晴れて恋人になったあとも、もちろんそうすんなりハッピーエンドにはなりません。
一度躓いた人間に世間はそれほど優しくないし、蓮自身も、そうすぐには変われません。
それでも。
蓮の心はちょっとずつほぐれていきます。
良い男に惚れて貰ったねえ蓮。

きっとこれから、不器用だけど誠実で優しい恋人の側で、蓮はちょっとずつ幼い頃に失ったものを取り戻していくんだろうなーと想像させてくれるお話でした。
読後感ほっこりです。

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