そして世界は色づいた (SHYノベルス)そして世界は色づいた (SHYノベルス)
橘 りたか 高星 麻子

大洋図書 2011-02-26
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ボーイズラブ・レビュー


見ない名前の作家さんだなーと思ったら新人さんでした。
ボーイズラブ系の新人さんが出てくるとわくわくします。
どうかどうか、末永く書き続けてくれますように!

昨日、腹を捩れさせながら読んだ新刊でした。
いや楽しかった。
シリアスなのに愉快だった。
BL界の亜城木先生と勝手に呼ぼう。
これ実に貴重な作風だと思う!

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
佐藤あきらにとって、深夜のコンビニのバイトはパラダイスだ。 なぜなら、ひとりの夜を過ごさなくてすむから。 ある日、あきらはわき腹から血を流して蹲っている常連客を助けた。 いつものコートに黒いサングラスの、どこからどう見ても堅気の男とは思えない男。 黒豹を連想させるその男の腹の傷を自分で縫っちゃうようなヤバい奴だ。 そのうえ、あきらはその男に無理やり身体を奪われてしまい・・・!?

コンビニの客の名前なんて分かりません。
あきらは勝手にいつも全身真っ黒な彼のことを「黒コート」と呼んでいました。
もちろん、心の中で

ある日、あきらは負傷している黒コートの彼を道端で拾いました。
黒コートは「どうなっても知らねえからな」と忠告しました。
忠告を無視したあきらは、忠告をした当の本人に裸に剥かれて美味しく頂かれました……って、ええええええええ!?
そっちなの、その忠告。
ヤバイ事に巻き込まれても知らないよって話じゃなく!?
つーか、麻酔無しで血がダラダラ流れてる脇腹を自分でお裁縫した直後に成人男子を組み敷くとか、何その命がけの肌色ライフ
さすがネコ科の黒豹に例えられるだけあって本能に忠実……。

そこで叩き出せばいいものを、何故か始まる共同生活。
アンタほんとにそれでいいんかあきら!
しかも名前も名乗らないんだぞ。
勝手に呼び方決めろとか言われるんだぞ。

結局うっかり心の中で読んでた「黒コート」が途中まで口をついて出て、 その「クロコ……」がそのままメインキャラたる攻様の呼称になるとかいったい何の冗談なの!!
しかもこの呼称ネタ、ずいぶん引きずります。


本人は、
「黒子? ああ舞台とかによくいる黒子からとったのか」

あきらの元カノで幼馴染みは
「クロ公? 犬?」

敵方の男の子は
「クロコダイルからとったんですか」

と、いずれもあきらのネーミングを見事に過大評価
今更「いやあの、黒コートのクロコなんです」とは言えない雰囲気です。
まあもう心からどーでも良いですけどね!


ものすごく日常的に地に足を着けて一般庶民をやっているあきらと、札束と武器をゴルフバックに詰めて裏社会の底辺で生きてるクロコがどう付き合っていくのか……という、住む世界が違う同士のカップリング話なんですが、重くなりすぎずさりとて軽くてふわふわってこともなく、良い感じに読ませていただきました。

つーか、全身黒ずくめで怪しいオーラ漂いまくってる男が不自然に巨大なゴルフバッグ引っ張って繁華街をのし歩くとか、裏社会の人間は避けて通っても善良な警察官の皆さんは寄って集って職質に詰めかけそうなんですがそこは大丈夫なんですかクロコさん。

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