魂読者-ソウル・リーダー (アズ・ノベルズ)魂読者-ソウル・リーダー (アズ・ノベルズ)
椹野 道流 吉村 正

イースト・プレス 2010-07-29
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ボーイズラブ・レビュー


ボーイズラブ系書籍の表紙というのはなかなか厄介です。
肌色バンバンな表紙は度を過ぎたら手に取りにくいし恥ずかしい。
恥ずかしいからと思って乙女の恥じらいでそっと裏返してレジに差し出したら、小さいながらも破壊力抜群の肌色率100%な受様が流し目をくれたりするので油断できません。

しかし、この作品に関しては杞憂です。
つーか、パッと見だとこれボーイズラブて分からないです。
しかも一般作品も書かれる作家さんなので、私もレーベル見るまでBLって確信できなかったという見事な擬態。
帯まで読んでもBLって分からないってそれ、相当なレアモノですよ。

つかこの場合、擬態つーか地雷

ラノベだと思って買ったら阿鼻叫喚BL地獄……な犠牲者が最小限ですみますように。

あとうっかり手にとってこっちに入門してくれる人がいたらそれは大変嬉しいです。
一般人には地雷原でも腐女子には桃源郷なんですよー。

ホラーチックなお話かと思ったらめっちゃファンタジーでした。舞台は現代日本なのでカタカナ苦手な人でもOKです。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

医療系の専門学校に通う湖は、料理の腕を買われ、小さなバーでバイトをすることに…。店の奥にはタロットカードを操る一人の男がいた―闇に溶け込むようなその男、神崎は占い師ではなく、相手の魂を読むソウル・リーダーだという。謎に満ちた神崎がなぜか気になって仕方がない湖…ある晩、店を休んだ神崎の様子を見にいって、とんでもない彼の秘密を知り…。凍った心を融かすまっすぐな想い…高純度ラブ。


理学系療法士を目指して専門学校で学びつつバーで料理人のバイトもこなす湖。
同じバーで占い師のような仕事をしている神崎が気になって仕方ありません。

神崎はとっても評判の良い占い師らしいのですが、残念ながらとてもそうは思えません。
占い師つったら、半分カウンセラーみたいなモンです。
人を安心させて励ましてナンボの商売です。
いくら美形でも口数少ないわ愛想はないわじゃ、どーにもならんのじゃないか。
……と思うのですが、彼は実は占い師ではなくて(でも依頼人は占いだと思ってる気はするけど)相手の心が読める特殊能力を悪魔との契約でゲットしたソウル・リーダーだったのでした。


悪魔て!
いやびっくりした。
誰も呪文とか唱えてないのに、攻めの部屋でぼけーっとつっ立ってた悪魔に、もうどーしようかと思った。

悪魔は呼ばれるまで出てくんなよ!!

しかも契約相手でもない受にあれこれ言われて動いてくれたりする変わった悪魔でもあります。聖書も引用してたしな。
とりあえず有難味もおどろおどろしさも皆無な残念悪魔です。
……悪魔として残念=人として素敵、という構図が成立すれば良いのですが。


元医者だった神崎は悪魔と契約して「死にたい」と念じ続ける患者の心を知ってしまい、錯乱して生命維持装置のスイッチを切ってしまい、それが原因でい病院を辞めたという過去があります。
殺してしまった患者への償いとして占い師まがいの仕事で世の中に貢献しているというわけです。

そんな事情から自分への罰として心を凍らせてあらゆる感情を押し殺して娯楽という娯楽から遠ざかるという修行僧のような生活を続けていた神崎。
そんな彼も、突然目の前に現れた素直な青年の無力には抗えず、狸寝入りをかましていた湖にキスしたりと心を揺さぶられ、ついには陥落します。

湖ちゃんの胸が熱くなるプロポーズはなかなか見物です。
赤面もののストレートさです。

素手で触って心を読めば全身で好きだ心配だと流れ込んでくるわ、本人の口からも好きだと言われるわ。
それは熱烈だったことでしょう。
相思相愛になれて良かったね。

めでたしめでたし、という感じですが、導入編という雰囲気で、まだまだ動かし甲斐のありそうな設定が残っております。
どうせなら二人コンビで依頼人の悩みを解決する、ミステリ風味のソウルリーディングBLシリーズになればいいのになーと思ってます。

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