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ボーイズラブ・レビュー


抵抗力が残念なことになっているときに風邪にトドメを刺されてぶっ倒れておりました。
久々に結構長期間寝込みました。
いやはや泣き面に蜂とはこのことですな!

ベッドでうつらうつらしつつ、本を読み、うつらうつらしつつ、また読みという、割と読書家としては幸せな期間だったように思います。
イマイチ頭が働かないので、あまり冊数は読めなかったですが。


さて、榎田さんの作家10周年企画という感じで2冊同時発売でした。
交渉人シリーズです。

このシリーズ一番のシリアス展開ですが、ベースはボーイズラブです。ドツボドシリアスの本格悲劇とかでは無いです。
ちゃんとさらっと読めます。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

俺はなにをしているのだろう。俺はなにを・・・失おうとしているのだろう・・・ 下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人だ。 そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だ。 仕事も恋も順調! のはずの毎日だったが、ひとりの男が現れたことにより、芽吹の過去が露になっていく。 それはかつて自分を救ってくれた親友への罪悪感であり、芽吹の忘れることのできない傷でもある。 俺を選ぶのか、それとも―― 芽吹と兵頭が選んだものは……!?

「俺は先輩だけの男です・・・たとえなにがあろうと、絶対に」 下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人だ。 そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だった、ほんの少し前までは…… いまや兵頭は芽吹の敵でもある天才詐欺師・環の恋人となり、痛めつけられる芽吹を見ても顔色ひとつ変えない。 仕事も恋もうまくいかず、傷心の日々を送る芽吹だが、人を信じることをやめようとしない。 そんな芽吹に、環は苛立ちを隠さず……!?  俺は俺を信じる。人を信じていこうとしてる、自分を信じる! すべてを懸けて、芽吹の反撃が始まる!?


受の芽吹の過去をベースに話が展開します。
弁護士時代に親友の弁護を引き受けたのに、その彼を最後まで信じ切れずに自殺に追いやってしまったというトラウマが全編にわたって浮き沈み。

兵頭は、俺より死んだ親友を取るのか……と女々しく……じゃない、繊細に傷ついたりして、ああ、こいつも普通にただの男なところもあるんやね、と読者を安心させてくれました。


芽吹のトラウマと、兵頭側の問題が変にこんがらがって、詐欺師なんかも出てきて話がさらにややこしくなって行くわけですが、その辺のミステリ的な展開は味付け程度という感じです。
基本的に芽吹の過去からの脱却というか、カタルシスめがけて注目した方が楽しめました。
トラウマものは大好物なんで、正直あっち行ったりこっち行ったりするイマイチ重要度が不明な兵頭側のUSBとかどーでも良かったという。

兵頭の心が恋人と組織の間で波立つところとか、芽吹がひたすらドつぼにはまって打ちのめされるところとか、ずーんときます。
その点、最後までドキドキしながら読みました。
ま、まさか10周年企画の本のラストが恋人と決別、とかないよね……まさかね! と思ってたので、そのあたりはBL的予定調和でほっとしました。
この流れだと、最後に大団円があってこその作中の葛藤! という期待が裏切られない見事な締めでございました。

個人的には、USB絡みをもっとシンプルにして1冊にまとめるか、もっと色々がっつり詰め込んだ新書2段打ちかのどっちかが良かったかなあ……榎田作品には読む前からあれこれ期待値が高くなってしまうみたいで。

あと、奈良さん、なんか絵柄が変わった感じ。
やたらPOPになっとる!そしてPOPな感じもわりと好き……しかし前作と比べると、ジャンプコミックスのシリーズ1巻と20巻の主人公の顔を比較した時くらいの変わりようです。
心境の変化でもあったんでしょうか。

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