神の孵る日 (リンクスロマンス)神の孵る日 (リンクスロマンス)
深月ハルカ

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ボーイズラブ・レビュー


都条例改正の署名あれこれとか京都のシンポジウム参加とかしてたら週末が終わってしまいました。
あんまり本が読めなくて悲しい……。
未読本も既読本も増えるばかりで減る気配がありません。
そろそろ積み上がりまくった部屋のボーイズラブとか整理せねばならんなーと思いつつ、なかなか思い切れずに山は増殖して、ついに友人に

「おまえもう積む場所ないやん!」

と怒られました。
地震が来たら間違いなく自室で遭難できます。


さて、そんな積ん読から1冊。
リンクスのファンタジーです。
リンクスさんはけっこう、ファンタジーとか出してくれるので好き。
ファンタジーと言っても、いちおう舞台は現代で、出てくるのも現代人です。
たったひとりだけ、実体を持った神様がでてくるだけです。


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

研究一筋で恋愛オンチの大学准教授・鏑矢敦は、調査のため赴いた山で伝説の神様が祀られている祠を発見する。だが不注意からその祠を壊し、千年の間眠るはずだった神様が途中で目覚めてしまう。珀晶と名乗るその神様はまだ幼くまるで子供のようで、鏑矢は暫く一緒に暮らすことになる。最初は無邪気に懐いてくる珀晶を可愛く思うだけの鏑矢だったが、珀晶が瞬く間に美しく成長していくにつれ、いつしか惹かれてしまい…。


研究の調査で学生と禁足地である山に足を踏み入れて神が眠る祠を調査していたのですが、なんと学生が誤ってその祠を壊してしまいました。
そしたら、伝説によればなんと千年は眠ったままのハズの神様がびっくりして目覚めてしまったのでした。

起きちゃったものはしゃーないと、あっさり現実を受け止めてしまう懐が深いというか感覚が昔話の登場人物並の大らかさの村人と、これまたわりとあっさり神様が実体を持って目の前にいることに納得してしまう准教授と学生たち。

神様がフツーに神様として認識されながら、村のうどん屋でうどんすすったりするわけですよ。
すげーファンタジックな光景です。
私もそんな村に行ってみたい。
そんで神様と一緒にうどんすすりたい。

で、もちろん神様なので寿命はとっても長くて、成長もとっても早かったのです。どんどん神様な能力も使えるようになって、学生たちはちょっと畏敬の念とか抱き始めて神様は寂しい思いをします。
そんな神様が恋した相手が、准教授の敦でした。
山は異分子である人間を拒み続けているのですが、神様はどうしても敦と離れたくないわけです。
神様のくせに健気で大変かわいい子です。


神様の感覚では人間の寿命なんか本当に「ほんのちょっとの間」です。
そのほんのちょっとの間だけ、人間である敦が山にいることを許して欲しいと山に頼むのですが、なかなか山は許してくれません。
そうこうしているうちに、敦を巡って自然界の神様戦争が勃発。
敦を守るために神様は初めて、山の意志を押さえ込んで戦いました。
そして何とか守りきります。


……そのまま、敦の寿命まで仲睦まじく過ごして、敦はひとりで年を取っていくけどずっと仲良しで、最後は若い姿のままの神様は敦を看取って、骸が土に帰った頃に予定通り神様は再び千年の眠りに入って……という、けっこう幻想的なラストを想像して読み進めてました。

が。
ここでまさかの超展開。


なんと敦が山と交渉して昇仙しちゃった!


え、いやうん。
そだね、この業界、死ネタとか御法度だったよね基本的に。
と、ちょっと呆然と。


その衝撃さえ乗り越えれば、ほのぼのと幸せな昔話の定番。


2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ、というラスト。
なかなかの豪腕でございました。
でもこの終わり方も好きです……ちょっとびっくりしたけど。


あー、ウチの本の山脈にも神様が宿ってあれこれうまく調整して何とか室内にきれいに納めて貰えないもんだろうか。

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