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ボーイズラブ・レビュー
忘年会シーズンの到来です。
この時期に校了日が重なると悲惨です。
つまり毎年悲惨なんですが……。
今年は人数減のまま迎える初の年末なので、なかなか厳しいものがあります。
給料増えても人数減ったままだったら割に合わないんですけど社長!
ま、貰うものはしっかり貰ってほくほくとボーナスで年末年始休暇(何しろ半月もある上、喪中のため旅行もキャンセル)のボーイズラブを備蓄していっているわけですが……この上下巻は待てずに読んでしまいました。木原さんの上下は、我慢する予定です、いちおう。
で。
和泉さんの描き下ろし1000枚分、新書二段打ちの上下巻の作品ですが。
うっわー……と。
いやもうこれどうしよう。
今年読んだボーイズラブの中で一番ガツン・ズーン、ドーンときました。
イラストも内容に合ってるし、端正な私好みの雰囲気で素敵です。
一気に読んじゃってもったいなかったかもですが、大変残念ながら途中でやめられるような内容でもなく。というか上下同時発売じゃなかったら大暴れですよ。ある意味ジャンプの引きよりも酷い。
買うときは同時ゲットをオススメします……。
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
「軽蔑しているのに、私に従うのか」時は帝政ロシア末期。オルロフ公爵家の嗣子ユーリは天使のように優美な容姿を持ちながら、近衛師団では切れ者の大尉として知られている。そして、彼のそばには副官のヴィクトールが常に付き従っている。目的のためなら躰を利用することも厭わないと噂のユーリを侮蔑を籠めた目で冷たく見ながらも、屈従を崩さず―折しも、ユーリは幼馴染みのマクシムからある青年を紹介される。それは死に別れたはずの双子の兄、ミハイルだった!?愛と憎しみ、憧憬と裏切り。複雑な想いが絡まり合い…。
「欲しいのは憎悪だけか・・・・?」
オルロフ公爵家の嗣子として皇帝に仕える近衛師団の大尉として知られていたユーリだが。 自らを犠牲にしながらも愛する者の裏切りに遭い、生きる意味を見失っていた。 副官のヴィクトールはそんなユーリに屈辱と服従を与え、 憎しみを糧に生きることを強要した。 一方、生き別れていた双子の兄であり帝政派の敵であるミハイルは、 幼馴染みのアンドレイと共に、ロシアを離れたユーリを追い詰めてゆく! 憎しみと裏切りが交錯するなか、ふたりが手にしたものは・・・・
舞台は帝政ロシア末期。
でも大丈夫です。
あんまりややこしくないです。
革命とか政治がらみのあれこれは味付け程度で、基本は人間同士の情念の絡まりをメインにお話は進んでいきます。
天使のように愛らしい金髪碧眼の双子が、幼いときに家の事情で引き離されたときから歯車は狂っていきます。
気づけばお互い、体制側と革命側に分かれて敵同士。
それなのに、相手を憎もうとしてもどうしても憎みきれずに愛してしまう。
体制側で育ったユーリは特に、再会した半身のミハイルを愛していて、自分の立場が危うくなるのもかまわず二度もミハイルを逃がします。
そのせいで、愛する男を死なせ、自身は監獄に放り込まれて元副官に助けられ、見返りに屈服を求められます。
ねじくれた主従愛というか……下克上BLです。
実は誰にも身体を許したことの無かったユーリは、副官のヴィクトールに一から躾けられ、屈服させられ、いつしかそれが快感になって、あるとき本当は愛されていたと気づきます。
そうこうしている間にも歴史は動いて、ユーリとミハイルはそれぞれ属する組織から片割れを亡き者にすることを求められます。
それでも憎めない。
なのに殺さないといけない。
お互いに、自分が殺されれば泣く男がいる……。
そこまで追いつめられて、お互いに銃を向けあってそれでも引き金は引けず、最後は炎の中で抱き合って終わりました。
彼らを待つ男二人は、きっとあの後、事実を知ったら後を追ってしまうかもしれないなぁ。
本当に、ドロドロなのにどこか潔く、絡まりまくって縺れた糸は一部がほぐれてそうでないところは絡まったまま朽ち果てていくような、何とも言えない後を引くお話でした。
敵同士なのに、結局、一度たりとも心から憎み合わなかった双子の絆も、その双子を取り巻く男達も、彼らを翻弄した国や組織も。
誰が悪いとかそういう話ではなくて、こうなるしかなかったんだろうな……というあきらめに似たやるせなさが残りました。
読み返すのに勇気の要る作品ですが、きっと読み返してしまいます。
いやー、すごいお話でした……。
「軽蔑しているのに、私に従うのか」時は帝政ロシア末期。オルロフ公爵家の嗣子ユーリは天使のように優美な容姿を持ちながら、近衛師団では切れ者の大尉として知られている。そして、彼のそばには副官のヴィクトールが常に付き従っている。目的のためなら躰を利用することも厭わないと噂のユーリを侮蔑を籠めた目で冷たく見ながらも、屈従を崩さず―折しも、ユーリは幼馴染みのマクシムからある青年を紹介される。それは死に別れたはずの双子の兄、ミハイルだった!?愛と憎しみ、憧憬と裏切り。複雑な想いが絡まり合い…。
「欲しいのは憎悪だけか・・・・?」
オルロフ公爵家の嗣子として皇帝に仕える近衛師団の大尉として知られていたユーリだが。 自らを犠牲にしながらも愛する者の裏切りに遭い、生きる意味を見失っていた。 副官のヴィクトールはそんなユーリに屈辱と服従を与え、 憎しみを糧に生きることを強要した。 一方、生き別れていた双子の兄であり帝政派の敵であるミハイルは、 幼馴染みのアンドレイと共に、ロシアを離れたユーリを追い詰めてゆく! 憎しみと裏切りが交錯するなか、ふたりが手にしたものは・・・・
舞台は帝政ロシア末期。
でも大丈夫です。
あんまりややこしくないです。
革命とか政治がらみのあれこれは味付け程度で、基本は人間同士の情念の絡まりをメインにお話は進んでいきます。
天使のように愛らしい金髪碧眼の双子が、幼いときに家の事情で引き離されたときから歯車は狂っていきます。
気づけばお互い、体制側と革命側に分かれて敵同士。
それなのに、相手を憎もうとしてもどうしても憎みきれずに愛してしまう。
体制側で育ったユーリは特に、再会した半身のミハイルを愛していて、自分の立場が危うくなるのもかまわず二度もミハイルを逃がします。
そのせいで、愛する男を死なせ、自身は監獄に放り込まれて元副官に助けられ、見返りに屈服を求められます。
ねじくれた主従愛というか……下克上BLです。
実は誰にも身体を許したことの無かったユーリは、副官のヴィクトールに一から躾けられ、屈服させられ、いつしかそれが快感になって、あるとき本当は愛されていたと気づきます。
そうこうしている間にも歴史は動いて、ユーリとミハイルはそれぞれ属する組織から片割れを亡き者にすることを求められます。
それでも憎めない。
なのに殺さないといけない。
お互いに、自分が殺されれば泣く男がいる……。
そこまで追いつめられて、お互いに銃を向けあってそれでも引き金は引けず、最後は炎の中で抱き合って終わりました。
彼らを待つ男二人は、きっとあの後、事実を知ったら後を追ってしまうかもしれないなぁ。
本当に、ドロドロなのにどこか潔く、絡まりまくって縺れた糸は一部がほぐれてそうでないところは絡まったまま朽ち果てていくような、何とも言えない後を引くお話でした。
敵同士なのに、結局、一度たりとも心から憎み合わなかった双子の絆も、その双子を取り巻く男達も、彼らを翻弄した国や組織も。
誰が悪いとかそういう話ではなくて、こうなるしかなかったんだろうな……というあきらめに似たやるせなさが残りました。
読み返すのに勇気の要る作品ですが、きっと読み返してしまいます。
いやー、すごいお話でした……。
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アキミ