Jの総て (1) Jの総て (1)
中村 明日美子

太田出版 2004-06
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ボーイズラブコミック・レビュー


同級生以降、中村明日美子祭りを絶賛開催中なのでした。

とりあえず、手当たり次第読んでます。
線が細くてちょっと取っつきにくい絵柄なんですが、綺麗なので慣れたら逆にクセになりそうです。

綺麗で繊細なんだけど、ときどきエグくて、全体的にはエ口イのです。

以下ネタバレ妄想注意(全3巻分)!


紹介文です。
「僕は男の人が好き。」父と母を失い、寄宿舎学校で生活をする少年J。彼の望みはマリリン・モンローのような女性になること……。新鋭の描くボーイ・ミーツ・ボーイ・ストーリー。

父親が失業してから過程がひずんでえらいことになってしまったJの家庭環境。
父は母のわずかな稼ぎで飲んだくれてアル中になり、息子をレイプ、その最中に母親が帰宅して、息子に覆い被さっている夫を射殺。

やー、壮絶です。
端から見たら半端無い修羅場です。
でも本人は父が好きだったので、自分が無理矢理に裸に剥かれたとは思っていないのです。
どっちにしても、シャレにならんトラウマですが。

そんなことがあったので、母は心を病んで入院、面倒を見てくれる人がいなかったJは孤児院で生活し、やがて金持ちに養子として引き取られ寄宿舎のある学校に通うことになり、そこで恋をします。

身体は男だけど心は女なJは、マリリンモンローに憧れ、女装で歌います。
危ういバランスで右に左に揺れながら過ぎていく少年時代。
恋して失恋して、勢いに任せてニューヨークに行き、そこで暮らしながらゆっくり堕ちていく途中、初恋だった男に再会します。

もう絶対、悲劇だと思いましたね。
攻の負担になりたくないとか、もう色々ぐちゃぐちゃで何もかももてあまして、パーッとアパートのベランダからJがスカイダイビングしようとした時は!
もう、Jの墓の前で後悔にくれるポールの黒服姿まで思い描いたというのに、ここでまさかのハッピーエンドです。

心は女な美人過ぎる男・Jと、女に見られたくなかった女が勢いで抱き合って子どもが出来ていたり、なんか落ち着いて考えたら割とハードなことがいっぱい起こっているんですが、なんかさらっと読めてしまうんですよねー。


エ口とファンタジーにほんのちょっとだけリアルを振りかけたみたいな、不思議な読後感でした。

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