コードギアス 反逆のルルーシュ 1 木村貴宏 大河内一楼 by G-Tools |
それは私。
2ヶ月くらい掛けて、R1・25話、R2・25話、計50話ものアニメを見ました。
事のはじまりは最近色々と先行き不安な我が弟。
弟「ねーさん、たまにはホモじゃないアニメも見ぃや」
と言いやがったのです。
これじゃまるで私がボーイズラブ以外の一切に興味を示していないみたいじゃない!
そもそも、私はあまり動画は見ないのです。
アニメに限らず、TVをほとんど見ません。
私「悪いけど、アニメ見てる時間なんかないの」
弟「ロマンチカは見てるやん!」
私「アレは別」
弟「コードギアスはロマンチカより面白いって」
私「ロマンチカ見てないのになんで分かるの」
弟「や……だってロマンチカより人気あるし!」
なんでそこで返答に詰まるのかはこの際突っ込まない突っ込まない!
私「ロボットアニメに興味はないの」
弟「そんなん言うけど、これ腐女子にも大人気やねんで!!」
私「…………なんでおまえが腐女子の趣味嗜好を把握してんの?」
弟「……とにかく! 絶対はまるから!」
ここまで熱烈に勧める弟って初めて見た気がするので、そんなに面白いのかと、見てみることにしたのでした。
以下、ネタバレ妄想注意!
しかし正直なところ、初めのうちはどこがどう面白いのか、イマイチわからんかったわけです。
皇帝である父に見捨てられた、超シスコンの王子が反抗期の子どもよろしく突っ張る話なのです。ただ、その反抗相手が超大国の皇帝だったので、その反抗の方法も半端ありません。
たまたま巻きこまれた事件で出会った緑の髪の少女C2(シーツー)に、相手の目を見て命じれば必ず従わせることが出来る絶対遵守の力「ギアス」を与えられたルルーシュは、妹が幸せに暮らせる世界をつくるために、ブリタニアに制圧された日本から反撃の狼煙を上げます。
どんなに頭が良くても個人で国は倒せないので、日本にいたレジスタンスに仮面を被って接触し、自分の軍隊に仕立て上げます。それが「黒の騎士団」。
そこで「ゼロ」を名乗り、ブリタニアに闘いを挑むのです。
が。
ルルーシュは高校生なんですよね……17歳くらいでしょうか。
レジスタンス活動はもちろん学校に通いながら。
そんな甘いモンかよ! というか、その黒い仮面はなんなの!
能力を発動するには相手の目を直接見る必要があるのですが、そのせいか、その仮面は目の部分だけスチャッっと開くようになっているんです。
無駄に高性能!
高校生がそんな怪しげな仮面、どこに特注して作ったんだよ!
と。自作だったらそれはそれでびっくりですが。
しかもこの仮面は猫が被って普通に走ったり飛んだり出来るほど軽いのです。
猫ですよ猫! そもそも人間の頭と猫と頭は大きさからして違うはず。
猫が反逆者の物的証拠を被ったまま学校内を逃げ回ったんですよ。
……このネタな仮面が、まさか最後の最後までキーパーツとして登場するなんて予測もしませんでした。
弟はそれはそれは熱心に布教して下さいました。
弟「見た?」
私「まだ」
弟「なんでやねん! 早よ見てや次渡されへんやん!」
私「いや、忙しいから! つか、見たら言うから」
そして見終わったら、
弟「どうやった?」
私「またルルーシュが下手打ってた」
弟「面白かった?」
私「ナナリーが可愛い」
弟「C2は?」
私「あんまり好みじゃない」
弟「ツンデレ好きなんちゃうん!?」
いや、そういう問題なのか。
もうとにかく最初の方は、ひたすら弟に駆り立てられるようにして見ておりました。
そして迎えたR1の佳境。
ルルーシュ=ゼロだと、学校の同級生にばれます。
その同級生の女の子・シャーリーの父は、ゼロ率いる黒の騎士団とブリタニア軍が起こした戦闘に巻きこまれて死んでしまいました。
ルルーシュに恋していたシャーリーは、混乱して悩んで苦しんで、それなのに答えを出す前にルルーシュに記憶を消されてしまいます。
ここでも意見が分かれる姉弟。
弟「ルルーシュもシャーリーもめっちゃ可哀想やろ!」
私「いやルルーシュは完全に自業自得じゃん。シャーリーは可哀想やけど。ルルーシュはヘタレよ! こんなところでギアスを使ってさ。ひとりどんよりなっちゃって本人に向かって友達をなくしましたって。正直な、ここは殺しとく場面だったと思うな」
弟「自分、鬼やな」
私「半端なコトしてたら後でもっと泣くことになるのはルルーシュじゃん?」
……この時点ですでにけっこうはまってる訳です。
この後、怒濤の展開が続きます。
ルルーシュは同じ皇族の兄弟・ユーフェミアに正体を知られ、彼女を倒すか手を組むかで揺れますが、そんな時に特殊能力・絶対遵守の力ギアスが暴走。
なんと話の流れでてて来た「日本人を殺す」という言葉にギアスが反応・ユーフェミアに絶対遵守の呪いがかかってしまいます。
かくして、優しく調和を目指したはずのユーフェミアは、歩み寄りの象徴となるはずだった「特区日本」の設立を記念する式典で虐殺を命じ、自らもマシンガンを持って撃ちまくります。
暴走した力に動揺しながらも、ルルーシュはこれに乗じて日本人を扇動、一気にケリを付けるべくブリタニアに戦いを挑みます。
さて、ユーフェミアことユフィ死に激怒し、悲しみのどん底にたたき落とされたのが、彼女の騎士にしてルルーシュの友人・朱雀でした。
お互いに正体を隠して戦ってきたルルーシュと朱雀はここでお互いの本来の立ち位置を認識。心からの忠誠と敬愛と、仄かな恋心を抱いていたユフィに汚名を着せて殺したルルーシュを、朱雀は怒りと絶望でもってねじ伏せます。
友情なんかもう、木っ端微塵です。
最愛の妹、ナナリーが最後の局面で拉致され、ルルーシュは最終決戦の戦場指揮官という立場を放棄して妹救出に急行。しかしそこで朱雀に行く手を阻まれ、すわ相打ちか!
というとんでもない場面でR1の25話が終了。
いやもう、これってまったくケリが付いてないんですけど……。
そしてそのままR2に突入。
実はギアス持ちだった皇帝に記憶を消され、同級生の記憶も操作され、偽の弟が監視につき、ナナリーは拉致されたまま、学園生活を送るルルーシュ。
24時間態勢で監視され、そんななかで記憶を取り戻したルルーシュは再び反撃に移ります。偽の弟、ロロを籠絡し、
「ナナリーの場所を奪って! ボロ雑巾のように使い捨てて殺してやる!」
と、正義の味方からはほど遠いセリフを吐きながら戦うルルーシュ。
このへんになると、こっちから弟に続きを催促するようになってました。
いやもう完全にはめられましたね。
弟「ルルーシュ頑張ってるやろ!」
弟はどうやらルルーシュがお気に入りのご様子。
私「んー、でも私、あんまりルルーシュ好きじゃないんだけど」
弟「えええ、なんで!? 腐女子には大人気やのに!!」
私「お黙り! 自分の萌は他人の萎えなんよ! すべての腐女子がルルーシュが好きなんて思う浅はかな考えを反省しな」
……とはいうものの、弟はなぜこんなに腐女子の生態に詳しくなりつつあるのか。
いや、半分以上、私たち姉妹のせいなのは自覚していますが、果たしてどの程度、実態を把握しているのか気になったのです。
この好奇心は間違ってない!
私「で、誰とセットで腐女子に人気なの、ルルーシュは」
弟「え、や、そりゃ、朱雀しかおらんやん」
………………どこまで分かってるんだコイツは?
私「C2は?」
弟「だってC2は女やし」
……男女間の恋愛は腐女子の萌にはありえんと思ってやがる。
私「じゃあルルーシュは朱雀と仲良くなるの?」
弟「いやいや! 姉さんはそれで良いかもしらんけど!」
私「いやだから私はそもそもルルーシュはイマイチなんだって」
弟「……格好いいのに」
私「見解の相違やね。そもそもじゃあ、ルルーシュと朱雀はどっちが受でどっちが攻?」
まさか答えるとは思ってませんでした。
さすがに分かんないんじゃないかと思って!
しかし、弟は我々の予測の斜め上を行く進化を遂げていたのです。
弟「どっちもあるし、ときどき逆になってる」
私「逆? 逆って何よ」
この時点でまだ事態を把握できないワタクシ。
弟「だ、だから、最初はルルーシュが……やけど、途中でなんか朱雀が……」
コイツ、リバを知っている!
一連の会話を横で聞いていた母は、ぼそっと呟きました。
「おまえも立派なオタクやわ」
その横では妹が腹を抱えて爆笑しております。
私は5秒ほど自失しておりました。
うううううーーーーーーーん!
もうダメかもしらんね、この弟。
まさかここまでとは。エヴァにおけるセカンドインパクト、ギアス世界における原爆の発明くらいの衝撃を受けました。
ちなみに肝心のストーリーはどんどんえらい方向に進んでいきます。
ついに皇帝を殺したルルーシュは帝位を簒奪し皇帝に。
ルルーシュを絶対許さないだろうと思われた朱雀はなぜかルルーシュに忠誠を誓って彼の為に戦います。
日本で交戦中に富士山を爆発させるわ、原爆ことリフレインが発射され、日本だけかと思いきやブリタニア本国首都にもリフレインが投下。
皇帝ルルーシュが日本で悪逆の限りを尽くそうとしているその時に、ブリタニアの首都はたった1個の爆弾によって丸ごと消滅させられてしまいました。
やったのは第3位皇位継承権を持つルルーシュの兄・シュナイゼルでした。
世界中を巻きこんで戦線は拡大。
もうカオスです。
ただ、ルルーシュが外面を取り繕うことを止めて自ら悪者と民衆に思わせはじめたあたりでやっべぇなぁとは思ってました。
そもそも世界征服なんて事を本気でやろうとするなら絶対に表になんか出るべきじゃないし、うっかり出てしまったとしても外面だけは上手い具合に取り繕って民衆の支持を得ておかないとどうしようもないわけです。
そんなことは知ってるはずのルルーシュが、まったくその努力をしないのです。
そりゃ、ヤバイと思うわ……。
その予感はほぼ当たっておりました。
自分の身に世界の憎しみを一極集中させ、正義の味方・奇蹟を起こした男としての伝説を持つゼロという仮面を朱雀に被らせ、悪の化身となった皇帝ルルーシュを公衆の面前で暗殺させる……これが、ルルーシュの立てた最後の計画・ゼロ・レクイエムだったのです。
ブリタニアの力を削ぎ、各国のパワーバランスを調整し、話し合いで前に進んでよりよい明日を目指せる世界をつくる礎になる。
それが、ルルーシュの償いで、朱雀との最後の約束だったのでした。
ギアスの世界はとにかく極端でした。
もう黒か白。
強いか弱いか。勝つか負けるか、殺すか殺されるか。
ALLorNOTHIGNの泥沼でルルーシュも朱雀も足掻いていました。
しかしあいにく、世界はそこまできれいにどちらかに分かれるなんて事はないわけで。
チェスのように敵と味方しかいないなんて事はないし、勝ち負け以外の答えを求められることの方が多いわけで。
白と黒だけじゃない、灰色の盤面だって存在するんだと、ルルーシュがもうちょっと早く気付いてそこを目指していれば、もしかしたら彼は死なずに済んだかもしれないなぁと思いました。
最初は絶対、最後までなんて見れないわ、途中で飽きるわ、と思っていたのですが、なんか見事にはまってしまいました。
こんなに真面目にアニメを見たのは何年ぶりでしょうか。
とにかく、突っ込みどころは満載でしたが、見応えバツグンの作品でございました。
弟はこの先どこに向かっていくのか、もうちょっと眺めていきたいなと思いつつ。
↓WEB拍手です↓
アキミ
とりあえず最初は高校生だったことをうっかり忘れそうなころに思いだしたように出てくるので涙も引っ込みます(ツッコミで)
しかし弟さん。
もう完全な腐男子ですね。きっとネットを彷徨った際にうっかりなさったんじゃなかろうかと推測しておりますw