邪道 遠雷序章邪道 遠雷序章
川原 つばさ

講談社 2008-09-03
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ボーイズラブ・レビュー
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８月の祭りの興奮さめやらぬ時期に出ました。
（１１月の霜月展に行けないのが悲しい……。）
なんと９ヶ月ぶりの新刊でした。
なんつーか、こんだけ怒濤の展開で、主役級の攻が１人お亡くなりになった直後、その片割れが敵の手に落ちて――９ヶ月。

長いよっ、フツーに考えて待つ時間長いよっ！！
しかもここに至る展開が激しすぎて、復習するにも結構な精神力を使うわけです。
ううう……こんなに大変なのに読むのも待つのも止められないってこれ、たいがいなＭなのかもしれんと、最近ときどき思います。


今回の表紙はボーイズラブ業界には珍しく、つーかほぼあり得ない男女の組み合わせ。
そう、赤毛長髪の人の胸元が膨らんでんですよ、女装でも女体化でもなく。
ぱっと見て、ああ、グラインダーズ様じゃない、でもすでに霊界に行ってるはずの柢王とツーショットってどういう状況？？？
赤毛長髪美女ときたら、アシュレイ姉しか思い浮かばなかった私は、ちょっと新書１巻から復習すべきかもしれません。


どーでも良いけどオビのアオリ。

新たなる嵐の序章！

あのね、ここまでだって大雨洪水暴風警報フルコースの大型台風かといわんばかりの大嵐展開だったんですけど、この上まだですかと。
しかも序章って！！　うん、知ってるよ、新書読んでたから知ってる。
でもこんなにあおらなくっても良いじゃない……凹


以下ネタバレ妄想注意！

表紙の彼女はグラインダーズ様じゃなくて、桂花の育て親、李々でした。
こんなところで彼女が出てきて柢王を助けてくれるなんて！
大変な状況なのにちょっと嬉しかったです、桂花が大切にしていた二人が出会えて。

しかし相変わらず苦労性の柢王。
魂だけになっても心配事が耐えません。
自分が抱え込んでるあれやこれやの秘密がバレたらマジやべぇ、ということでこの後の転生を捨てても抱玉（人生を記録したＨＤＤみたいなモノ）を砕いてしまおうとします。
李々のおかげで、なんとか記憶にパスワード設定するだけで済んだんですが、相変わらず思い切りが良いというか手段を選ばないと言うか、大した男です。
つか冥界教主。登場の度に思うんだが、コイツさっさとくたばってくれねーかな。
閻魔と一緒にさっさと退場して頂きたいものです。

冥界教主に、桂花に対する本心――凄まじいまでの独占欲と執着を見せつけられた柢王、さすがに哀れでした。だってもう柢王としては二度と会えないのに。
しかも大事な大事な、片時も傍から離したくなかった男のことをきれいさっぱり忘れて転生して、別の相手と一緒になる人生を歩むことを彼は知っているのです。いっそ死んでから生まれ変わるまでの意識なんかないほうが幸せなのになぁと。

で、この柢王が可哀想過ぎる書き下ろしに出てきた霊界官僚御一行様。
初出なのにイラスト付きという、新書時代の氷暉（彼は文庫になるまでイラストがつかなかた人。主役受の身体に同居してるのに）がマジ切れしそうな好待遇ですが、しょっぱなの見せ場が、王族の魂をうっかり傷つけられるという、バレたら総員クビレベルの不祥事に青ざめるというものでした。
どーでも良いけどあんたら、サロンで優雅にくつろいどらんで、キリキリ働きなさいよ。
あなた達の審判を待ってる死者が長蛇の列なんでしょーが。
チョコスティック片手に世間話しててえーんかい。（しかもその世間話の内容が柢王の審議と休暇のことだ）
サイアンと顕正という三十路オーバーの親父組がちょっと一癖ありそうな感じで気になりますが……あんたら毎回休暇を合わせて取ってなにやってんですか。
昔はいなかった霊界組が、今後どんな風にストーリーに噛んでくるのか未知数ですが、これ以上ティアたちの敵が増えないことを祈ります。


そしてまだ生きてるティアとアシュレイ。
この巻では比較的（あくまで比較的）平和な金赤カップル。
今の内にしっかりラブラブいちゃいちゃしておいてね、これから嵐だし、という感じですが、親友が亡くなっても仕事は山積みで、誰も待ってくれません。
無能かつウザイ八紫仙はそろそろ定年退職、退職金という名の手切れ金だけ握らせて追放しちゃえばいいのにと思う今日この頃。
年だけ食って、桂花がキレるようなレベルの仕事しかできないくせに態度だけでかいとか、邪魔なだけじゃん。
もうちょっとティアに協力的ならかわいげもあろうに、このジジイどもときたら。 ティアもアシュレイも、まだまだ成長しなきゃならん大事な時期なので、成長阻害剤はいらんのです。

でも天界で本当に食えないのは八紫仙よりむしろ四天王。
北の毘沙王はまだマシですが、それでも駄目。
しかもティアが心を砕いて保護しようとしている天界人と魔族の混血児をまとめて処分してしまおうという、おまえらは往年のナチス一派か！　という計画を推し進めてるのがなんとアシュレイの親父なんですな。
炎王様、それはどうよ。

可哀想に。守ろうと思ったものを守れなかった時のダメージはすごいのに。

柢王の形をした人形の為に裏切りを働く決意をした桂花も哀れだし、大変だと分かっているのになんの助けも出来ずにすべてを忘れてしまう柢王も哀れだし、味方の減っていく天界で足掻き続けないといけないティアとアーも哀れです。

桂花はともかく、ティアもアーもまだ十代後半の少年なんですよ（読んでると良く忘れるけどっ！）柢王だって、ちょっと年上なだけです。
ここで折れずに立派に成長して欲しいなぁと思います。

そして次の新刊、今度は片手で足りるくらいの時期には読みたいなぁ……。

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#ボーイズラブ（BL）