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ボーイズラブ・レビュー


トラウマ持ちの受が誠実な攻と出会って救われるお話です。
ちょっぴりファンタジーテイストの、心温まるボーイズラブでした。

ずっと積んであったのですが、積んだまま埋もれさせなくて良かったです。

激しく心揺さぶられることはありませんが、じんわりとくるんです。
肌色シーンがあるおとぎ話みたいな感じでしょうか。

辛い思いをした主人公は、最後の最後に欲しかったものを手に入れて、幸せに暮らしましたとさ。


以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

三年前から突然人の心の声が聞こえ始め、以来人間不信気味の余村。ある日彼は、自分に好意を持っているらしい同僚の長谷部の心の声を聞いてしまう。罪悪感を覚えつつも、言葉で、“声”で、一途に注がれる愛情が心地よく、余村も長谷部を好ましく思うようになる。そしてついに長谷部の告白を受け入れるが、余村が心の声を聞けると知った長谷部の反応は意外なものだった…。切なさ200%!!胸に迫るスイートラブ。

なんとずっと付き合っていた女性にプロポーズして了承をもらい、共にホテルで一夜を過ごした後に彼女の本音を聞いてしまった余村。
原因は不明。

でも、なぜか彼女の心の声が聞こえてしまったのです。
『返事早まったかなぁ。まぁいっか、彼ならいい生活させてくれそうだもんね。あー、もうちょっとくらい自由でいたかったのに。もっといい人とだって出会えたかもしれないしさぁ』

プロポーズした翌朝にこんなこといわれたら100年の恋も冷めますね
余村はプロポーズまでした彼女と別れ、ついでに会社も辞めて電気製品店でアルバイトを始めました。
そこで攻の長谷部と出会い、その真っ直ぐで誠実な心の声に触れ、次第に癒され、ついに恋人同士に。

……というお話です。

心の声といっても、小難しい心理学の先生が解説に登場しそうな、深層心理に根ざしたうんちゃらかんちゃら、というわけではなく、ただ表面に浮かんできた言葉だけを拾えるような感じっぽいです。
そんな微妙な特殊能力のおかげで、他人の無防備な心の声が聞こえてしまう余村は、当然のように人間不信です。
聞きたくもない他人の声を聞かされ、心は荒れてささくれ立ち、それを誰にも理解してもらえません。

そんな時に心の声でストレートに自分への好意を何度も何度も繰り返し叫ばれたら。
ぐらっと来ますよ、たとえ相手が男でも!
砂漠のオアシスみたいなもんだったんだと思います。

そして、長谷部と恋に落ちたところで、心の声はぷつりと聞こえなくなりました。
今度は、今まであった力が消えた事による不安に襲われる余村。
疎ましいと思っていた心の声に、依存していた部分もあったのです。

ほんとに複雑な気分だったんだろうなぁ。


でも余村はたぶん気付きかけていたはず。
心の声が本音とは限らないし、その心だってうつろいやすいものなんだということに。
まぁそりゃそうですよ。
どんなに仲がよくたって、本気で相手に腹を立ててケンカをすることだって世の中フツーにあるわけです。
そんな時の心の声なんか、罵詈雑言の嵐ですよ。

そもそも日本は本音と建て前の国。

笑顔の裏で別のこと考えてるなんてコト、たいていの人は経験あるはず。
私はプライベートでは基本、嫌なことは嫌だとはっきり言いますが、仕事だと模範的な日本人です。ほとんどYes以外の返事とかありません。
でも笑顔の裏で嫌だと思っていても、その他色々な面で今の仕事が良いと思っているから辞めないわけで。

心の声がその人のすべてじゃないんだよ~と気付けた(っぽい)余村は幸せだろうなーと思いました。


ちなみに肌色シーンは何とも言えず初々しく、微笑ましいものでした。
テクのない部分を情熱で補う攻に萌。

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