人が仕事でひーひー言ってるというのに、うちの妹は有休を取ってボーイズラブに埋もれて過ごしやがりました。

つーか有給とってやることがホモ御殿の整理って!
(※ホモ御殿:ぎっしりボーイズラブ関連書籍詰まった妹の部屋の押入のこと)

「もう無理、あふれてどーしようもないっ!! まとめてドナドナする!!」

と気炎を吐いたのが有給前夜。
もうおまえ、腐女子卒業? くらいの勢いだったのですが、翌日、私が帰宅すると……


まず、妹の部屋。
お見せできない(撮影許可が下りなかった)のが無念でならないほど、ほんとに床が見えない状態の部屋。所狭しと積み上げられた山なすBLBLBL。
まさにボーイズラブの山脈。
いやもうよくそれだけ溜め込んだねと、感心しきりでした。

そして冬眠前のリスよろしくボーイズラブばっかり(純度90%以上)溜め込んだ当の本人は、何ともいえない顔でリビングに座っておりました。

「姉さん……」

上目遣いに見られても困ります。

「どしたん」

「ホモが。私が誇るクオリティ オブ ホモが……」

「はい?」

なんやねんその、クオリティ・オブ・ホモって。

「○年以上前のホモには値段つけへんねんて」

なるほどそういうことか。

「そらしゃーないわな……」

だってたぶん、売れないんだもん、古いボーイズラブ買い取っても。
しかし妹は納得していません。

「だってっ!! 私がン年かけてこつこつ集めて読んで選りすぐって残してきた高品質、高価格・面白いこと間違いなしの萌の結晶なのに! タダってどーいうことよタダって!?」

マジ切れされても私にはどうしようもないわけで。

「いいか、よく聞け。自分の萌は他人の萎え、他人の萌は自分の萎え。というわけで、おまえの独断と偏見による品質保証に客観的価値はないの! いやなら売るな

「え、いや。もう収納する元気とかない……」

「じゃあそのまま箱詰めにして伝票貼って出してしまえ」

「ううう……っ。私のホモがぁ。私の自慢のホモがぁっ!!」

暑苦しいことを延々とつぶやきながら、結局、大量のBLを箱詰めにしていく妹。
そんなに悔しいなら売らなきゃいいのに。

中身全部本だというのにずいぶん大きな段ボールに詰めるなぁ、どうやって運ぶんだ。と思っていたら、きっちり弟が肉体労働させられておりました。


そして予定の数を大幅にオーバーしたでかい箱がなくなってから。

「全部売ったんか?」

と聞いてみました。

読書中の妹は顔を上げて答えました。

「え? おもしろかったの残して読み返してるねん」

まとめてドナドナして卒業するのはどこの誰なんでしょうか?

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