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神官は王に愛される神官は王に愛される
吉田 珠姫 高永 ひなこ

海王社 2005-08-25
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ボーイズラブ・レビュー


いやー、吉田珠姫さん。
こんな普通のボーイズラブ小説も書けたんですね!
この作家さんの作品は、傲慢鬼畜攻によるワンコ調教物語しか読んでいなかったので、今回、これを読んで素直に驚きました。

ファンタジーでしかもせつな系です。
もうびっくりでした。


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

この想いは許されない―それを知りつつも、冴紗は今日も自分の住む神殿から遠く離れた王宮へと向かう。王宮で待つのは冴紗の愛する人…羅剛王。男らしく猛々しい王は、自ら冴紗を神殿に追いやっておきながら、ことあるごとに呼びつけ、いつも辛くあたる。嫌われていてもずっとそばにいたかった…神官などになりたくなかったのに…。あるとき、羅剛王と他国の姫君との婚礼話を耳にし、冴紗の心は乱れる―。激しく切なくそして甘い、一途なロマンス。


実は両想いなのにお互いがお互いの気持ちに気付かずすれ違い。
と言う話。
ついでに言うと、受の美人神官様はひたすらおとなしくて従順で、でもここぞという時に攻様には予想外の行動をおとりになります。
何しろ、上位の神官になるための儀式を……ということで、
麻酔もせずに去勢手術しようとしたんですよこの受は!!
さすがにぶっ飛びました。

ダメじゃん、これボーイズラブなのに
大事なものがなかったら楽しさ半減ですよ。
よくよく考えて、冷静に受としての役目を果たして欲しいと思います。

しかし、基本はもう愛する王様にメロメロです。
月と茉莉花が楽しく読めた人は、こちらも楽しめそうです。
こういう健気な美人受が好みな私には、ずいぶんおいしい作品でした。


しかしこれだけではパンチがないと思われる方々。
まったくもってその通りです。
いやもうこの作品の見どころは最後の見開き1ページにあります。

「健気な受と、傲慢だけど受にぞっこんな攻様のすれ違いの切ない恋は、様々なあれこれを乗り越えて無事解決、さてラストのメインシーン!!」

という前提条件を頭に叩き込んでから、そこだけ読んでも十分楽しめます。
つーか、笑えます。


攻が、

「その愛らしい唇で、…俺をねだってくれるか」

と受にお願いをしましたところ、健気な受けはあらんかぎりの勇気を振り絞っておねだりをなさいました。

いくら恥ずかしい言葉でも、このお方が望むなら。








「……それ、では、……尊い、お腰の剣で、

……冴紗を差し貫いて、下さいませ。

冴紗を、…どうぞ、かわいがって、くださいませ」



ふるえながら、ようようそれだけ口にすると、あまりの恥ずかしさに、冴紗は顔を覆ってふたたび泣きだしてしまった。



いやいやいやいや!?
攻様もまさかそこまで望んではなかったと思うよ?
読んでたこっちが恥ずかしかったわ!

ようようそれだけ、って。
それだけどころの騒ぎじゃないよこのおねだりは!
あまりの恥ずかしさに泣いちゃうなら、もうちょっと控え目におねだりすれば良かったのにねー。なんでこんなどーしようもないおねだりを……。

だいたい言葉責め関連の羞恥プレイって、攻が言って欲しい台詞を口にして、それを受に復唱させるというパターンが多いのですが、今回はなんと受の自発的な台詞です。
そう考えるとなんか凄まじいですね。

それにしてもそうかそうかー。
尊いお腰の剣かぁ。
その剣ってもしかしてエクスかリバーとか言う名前なんですかねー?

まさかこれまでシリアスタッチで進んできたこの話に、ラストで爆笑させられるとは思っておりませんでした。

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