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邪道 恋愛開花邪道 恋愛開花
川原 つばさ 沖 麻実也

講談社 2006-07-01
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ボーイズラブ・レビュー


前巻までの感想はこちら

文庫で発行されはじめてから、怖いくらい順調に発行されている邪道シリーズ。
そして対照的にまったく順調でない私。
……いや、体調とかではなく、ボーイズラブを読む時間が激減しているのです。
発売されても発売日に本が買いに行けない。
発売日の数日後にネットショップから本が届いても、今度はなかなか読む時間が取れない。実に不健康です。精神衛生上、非常によろしくありません。
自分では割と普通に生活できているつもりだったのですが、お盆に東京でどっぷりこちらの世界に浸って帰ってしみじみと実感しました。
やっぱストレス溜まってたわ

盆明けから気分爽快で仕事がはかどって仕方ないんですよー。
盆前の効率×1.5倍くらいのスピードで原稿が上がります。
やっぱり息抜きは必要よ! 思う今日この頃でした。

そしてこの邪道シリーズでも。
やはり息をつけるところは大事だと今回、思ったのでした。

以下ネタバレ妄想注意!

友達以上、恋人未満、でも相思相愛……。
なんか、良い時期ですよねーうらやましい。
アシュレイの中に魔族が入ってしまって、身体の関係は自粛中なお二人さん。
目と鼻の先に愛するアシュレイがいるのになにもさせてもらえないティアは、リアルに蛇の生殺しです。3ヶ月は長いよ~。
おあずけを食らって欲求不満タラタラのティアは、自分が贈った服を自分以外の男に先に見せたと言っては拗ね、せっかく危ないアシュレイの武器を取り上げたのにご先祖様に身体を乗っ取られてさっさと返却されてしまって凹み、自分より身体に憑いた魔族を頼ったと知るに至って、ついにプッツンきてしまったようです。

「私よりも、氷暉殿を頼った罰だよ」

などと言いつつ、熱に苦しむアシュレイに治療と称してなんか色々やってます。
ええいこの変態が!
治療だとか薬を塗る道具だとか言って……大人のオモチャですよ。
もう良いと思ったら自分で抜けばいいとかなんとか言って、悶える恋人を横目に膝を抱えて、自分に陥落するのを待ってるんですよ。
まったく……。

でも、この広いボーイズラブ業界のこと。
この程度のイッちゃった攻様は星の数ほどいらっしゃいます。

なんでティアがこんなに責められるのか。
と、真面目に考えてみたところ、ひとつ気付きました。
ティアの変態度は、たぶん標準値(まぁちょっとは平均超えてそうですが)。
しかし。
お相手のアシュレイが、びっくりするほど純粋かつ潔癖かつ健康優良児なんですね。
この差が、ティアのやらかすあれこれを際だたせているようです。
たとえばアシュレイが、あの大人のオモチャを医療具だと思い込んでいなければ、ここまでティアがアレな人には見えなかったことでしょう。
そう考えると、ティアだけを責めるのはちょっと可哀想かも、と、小指の先くらいは思えるようになりました。


そしてティアの嫉妬の的となった、ある意味だいぶ被害者の氷暉ですが。
こんなに茶目っ気のある人(魔族)だったんですね~。
なんかアシュレイとのやりとりが可愛いのです。
気に入らなかったらアシュレイの腹を蹴り飛ばすところとか。
何より一番笑ったのが、氷暉が天界人の肉体が知りたいからちょっと使い女の味見をさせろと言いだした時のアシュレイとの会話。
アシュレイは、人間の女も天界人の女も一緒だからわざわざ実践で確かめなくても良いと、微笑ましいくらい一生懸命説明します。

跳ねたら胸が揺れるけど、足の間は揺れないのが女だ! わかったか?」

≪外見は見れば分かる。跳ねなくてもな

いや、なんともはや……。
なにこの微妙にずれた会話


でもま、なんだかんだ言ってティアとアシュレイはまだ大丈夫です。
無事アシュレイに恋人宣言をもらってティアはほくほくだし、アシュレイは氷暉との共生も上手くいって綺麗になったし。

問題は柢王と桂花の方で。
この2人に至ってはもうこの先、シリアス一辺倒です。
恋愛開花、恋愛蝶々の2話で桃色世界になっていた私の脳内は、3話のタイトルを見て一瞬にしてブリザードが吹き荒れるマイナスの世界に成り果てました。
だって「離柢散花」です。
これ以上桂花を傷つけたくない柢王は、魔族を体内に残したまま桂花を置いてひとり魔界に行ってしまいます。
個人的には、置いて行かれた桂花が髪をばっさりやるまでのくだりがある新書が凄く好きなのです。髪を切ろうとした桂花に幻の柢王が、
(じゃ、なんで今までは切らなかったんだよ)
と言うんですが桂花は、叫び返します。
「…あなたの前で一番綺麗でいたかったからじゃないかっ!」
桂花が、柢王に置いて行かれたと気付いてからの流れがもう堪らなかったのです。
文庫でもこのシーン、入って欲しかったなぁ……。
それとも次に持ち越しでしょうか。
どちらにせよ、せつないよー、こわいよー。
この先を考えると気が重いよー。

私がこの先、読み進み、また茨の道の彼らの物語を待っていられる原動力は、ただただもう新書4巻の後書き最後の2行です。

「『恋愛小説』とはいえ『ファンタジー』なので、山あり谷ありの展開となってまいりましたが、藤村(当初、邪道は川原つばさではなく藤村紫名義で発表されていた)をし・ん・じ・て! 第2部もよろしく! ……私の書きたい『恋愛小説』はこれからです」


いや、これからなのかよ!?
ここまでやっといてまだ序の口!?
これからって、これから何があるのーっ!?


と、当時は盛大にツッコミを入れたものですが、今は違うところに注目。

信じてますからね!!!
とにかく彼ら4人が幸せになることだけを信じてますから!!

次の巻から、いよいよタイトルは「比翼連理」になって、第一部は佳境にさしかかります。展開はますますヘヴィーに、シリアスは加速して遊びは減ることと思いますが、気合い入れて読みます。

文庫は、新書時代に比べてだいぶと「遊び」の部分が増えているので、ずいぶん休憩できる足場は多いです。大丈夫、これなら耐えられる(ちなみに新書4巻を初めて読んだときは丸一日、食べ物が喉を通りませんでした。あんなに泣かされたのは小学校低学年の時に近所のおばちゃんに借りた「おしん」の大根飯以来ですよ)と己に言い聞かせつつ、次を待つことにします。

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