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犬ほど素敵な商売はない犬ほど素敵な商売はない
榎田 尤利 志水 ゆき

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ボーイズラブ・レビュー


こ、これは。
なんというか……。

はまったというかはめられたというか、超ツボ、萌MAXというか。

いやー、犬っていいですよね。
我が家でも二頭飼っていますが、もうメロメロです。
ボルゾイ、いっぺん飼ってみたい気もしますが、恐ろしく手間がかかる上、体型が独特なので股関節系の病気にも気をつけてあげないといけないし。

何よりボルゾイの散歩なんて優雅にワンピース着て日傘でも差していなきゃ出来る気がしないのですよ。
ジーパンTシャツとかで散歩していた日には、

「あら、お手伝いさんに散歩してもらっているのかしら?」

と思われかねません。
(※私が勝手にそう思われるんじゃないかと思ってるだけです)

それくらい私のなかでは高貴なイメージがあるお犬様なのです。

今回の受はボルゾイです。
作中、人間として登場するシーンより、明らかに犬として躾られたりあれこれしたりされたりしているシーンの方が多いです。
ボルゾイ似の青年に首輪つけて躾る……。

いや、うん、犬ってイイですよね!!


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

悪い子だ。発情してしまったのか? 自覚のあるろくでなし・三浦倖夫は、うだるように暑い夏のある日、会員制のデートクラブ「Pet Lovers」から「犬」として、寡黙で美しい男・轡田の屋敷に派遣される。そこで倖夫を待っていたのは厳格な主人轡田の厳しい躾の日々だった。人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。そして、身体の奥底に感じる正体不明の熱・・・次第に深みにはまっていくふたりだったが!?


悪い子だ、発情してしまったのか?
わーい、台詞がエ口イですよ轡田さん!

今回のお話は犬とか躾るとかばんばん出てきますが、SM度はゼロ。
主従と言えば主従ですが、結局最終的には主従関係は解消されるので、このカテゴライズもしっくり来ず……妥当かなぁと思えたのがせつな系でした。

思うさま愛情を誰かに注ぐことによって孤独を埋めたかった攻男が、愛情に飢えきっていた中味空っぽ受男を金で買って、いつの間にかお互い深みにはまり抜けられなくなっていくお話です。

上手く凹凸が噛み合ったカップルというかなんというか。
色んな意味で相性抜群のお二人でございます。

真面目な話、良かったところはと聞かれたら延々語ってしまいそうなので止めておきます。何しろ私は明日も仕事があるので。上司に、ボーイズラブの感想を書きすぎて寝不足のため原稿に集中できません、申し訳ありません、ちょっと車で寝てきてもいいですか? とは言えません。なので、とにかく個人的に大好きです、と断言するに留めておきます。


で。
同時に思ったのが、

これこそ小説でしか書けないボーイズラブだよな。

ということ。


だってですよ。
冷静に考えて下さいね?

いくら美青年でも、半裸で四つん這いになって、ボール拾いとかさせられてたり新聞銜えて持っていって褒められたり、床に置かれた皿に直接口を付けて水を飲んでいたら、相当滑稽です。

もちろん、SMメインだったりギャグ混じりならビジュアルにしても良いかも知れないのですが……これは私のなかではギャグでもSMでもなく「せつな系」なのです。

文字でストーリーを追いかけつつ、脳内展開されるビジュアルのあまり見たくない部分は適当にぼかしを掛け、都合の良い部分だけを拡大表示して萌えるから、たとえ受け青年が四つん這いでボール銜えて走っていても「せつな系」なのです。

もしこの作品がコミックになったら……って、この作家さんの場合あり得ない話じゃないんですが……恐ろしく作画担当者の演出能力が問われることになりそうです。半端な絵や構成じゃ、原作の雰囲気を損なってしまうでしょう。誰かに挑戦してみて欲しい気持ち半分、そっとしておいて欲しい気持ち半分と言ったところです。

この作品を読みながら、やっぱり漫画より小説が好き、と思ったのでした。

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