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エスエス
英田 サキ 奈良 千春

大洋図書 2005-02-10
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ボーイズラブ・レビュー


この作品の前にもうひとつ、英田さんの作品を読んでいたんですが。

……なにこの当たりはずれの激しさ


最初に読んだ作品がイマイチしっくり来なかったので、エスもやめておこうかと思っていたのですが、読んで正解でした。
やくざ×刑事です。

受男がしっかりしているのか抜けているのかイマイチつかみきれなかったのですが、プライドだけは高くてそのへん、気に入りました。やっぱり男はプライドがなくては。
でもなんつーか……切れ者っぽい設定なのにクライマックスでピンチに陥る原因になったミスが間抜けすぎて、それはどうなのと思いましたけれど。


以下ネタバレ妄想注意!





紹介文です。

警視庁組織犯罪対策第五課、通称「組対5課」の刑事である椎葉は、拳銃の密売情報を得る、言わば拳銃押収のスペシャリストだ。その捜査方法はエス(スパイ)と呼ばれる協力者を使った情報収集活動に重点がおかれている。椎葉は新宿の武闘派暴力団・松倉組に籍をおく男を情報提供者として工作している。ある日、寝起きの椎葉に一本の不明な電話がかかってくる。おまえのエスに気をつけろ、と。劣情と矜持、孤独が交錯する男たちの物語。

個人的にはもうちょっと攻男の書き込みに力を入れても良かったんじゃないかと。
いつの間にそんなに椎葉に惚れ込んだんだよと思うわけです。
ちょっとからかおうと思って情報を餌に、いい歳した男を捕まえて猥褻行為をさせたのがそもそもの始まりです。そのまま目が離せなくなって……という流れで、そこのところは分かるんですが、欲を言えば攻視点で読みたかったという話です。
まぁ些細なことです。

しかし冒頭で「安東に気をつけろ」という意味不明な忠告電話が椎葉にかかってくるのですが、普通これだけ聞けば、安東が裏切り者だから気をつけろ。というふうに解釈しますよね? それとも誤読したのは私だけなのでしょうか。 安東が狙われていて危ないから気をつけてやれ、とはちょっと聞こえません。

安東は椎葉のエス(ヤクザだけど警察に内通しているスパイ)なのですが、別件で殺されてしまいます。大事な情報提供者を守りきれなかった椎葉はひどく悔やみますが、そのあたりがまた複雑なんですよね。
そもそも安東は椎葉に惚れていたようでして。
なんつーか、惚れた男のために自分が属している組織を裏切ってます、という人です。
でも、情報は渡しても指一本触れさせてもらえないと言う、いわばエンドレスおあずけ状態のまま逝ってしまったとっても哀れなキャラとなりました。

その安東がこねた餅を食ったのが、本作の攻男・宗近です。
まさにおいしいとこ取りです。

このカップル、できあがるまでが見物です。
お互いがお互いを屈服させようと駆け引きめいたコトをするわけですが、結局、新しいエスとして宗近を欲しがっていた椎葉が、かろうじで勝ちました。


「これはどういうシチュエーションなんだ?」

俺がお前を捕まえた場面だ。俺のものになれ、宗近

非常に男らしい口説き文句ですが、発言したのは受男でした。ステキ。
宗近もこれでKO。めでたく椎葉のエスになるのですが、もちろん転んでもただでは起きあがりません。

「ところでお前のものになったんだから、もう餌は食い放題なんだよな?」

ええええ。好きなだけ食って下さいね、もう。


ところで、この攻、下ネタのセンスがいただけません。

残念だが俺のはベレッタじゃない。マグナムだ。

いや……はい。

ベレッタ

じゃなくて

マグナム

なのね。
たいした自信をお持ちで……。

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