ボーイズラブ小説の書き方[CD-ROM付]
さて以前、ブログを読んで下さっている方が「ボーイズラブ小説の書き方」をどう思うか、と言うような書き込みをして下さったことがありました。
読んだことがなかったのと、卒論で瀕死だったことと、ほとんど読む専門の人間に理解できるのか、そもそも感想が書けるのか、という躊躇からなかなか購入に踏み切れませんでした。
アマゾンの「この商品をカートに入れる」ボタンを押しそびれ続けていたのです。
が。
何の因果か、よく行く地元の本屋に突然1冊だけ入荷されているのを発見してしまったのです。なんというか、本から買え、ほら買っちまえ! とせっつかれたような気がして、気付けばフラフラとレジに……。
ああ、リアル本屋さんで買ってしまいましたよ。
で、とりあえずまぁ、読んでみようと思って読み始めたのですが。
爆笑の嵐と申しましょうか。
ツッコミどころというかなんというか、気になる部分の多いこと多いこと。
参考書に線を引くみたいに蛍光ペンでツッコミ入れる予定のところにチェックを入れながら、楽しく読ませて頂きました。
ちょっと見てみましょう。
まずはプロットの立て方です。
(プロット=あらすじ)
プロットで一番大切なものは何か。
起承転結でしょうか、一人称、二人称の決定でしょうか。
いいえ違います。
一番大切なこと、それは――「萌」がありますか?
萌の有無が最優先事項。
それがボーイズラブ小説なのです。
まぁ確かに、萌ないBL小説はよほどレベルが高くない限り読む気になりません。
次です。
設定のリアリティと話の破綻のなさ。
BL小説ほど荒唐無稽な設定が大手を振ってのし歩いているジャンルも少ないでしょう。
本書にもあるように、「こんな会社があったら、日本経済は崩壊してしまう!」なんて設定のBLは掃いて捨てるほどあります。日本中いたるところにナントカ財閥が乱立してますけど、もちろん戦後の財閥解体とかそのへんは華麗にスルーされています。
でも。
それでもその作品内で辻褄が合っていて萌があれば、楽しく読める商業誌になります。
ストーリーに恋愛要素が上手に絡んで、設定はあくまで、男同士の恋愛を盛り上げる背景であるべきだ、というのが本書の主張です。
背景を写真並に描き込み、効果線を大盤振る舞いし、1枚数百円もするトーンを惜しみなく張りまくると、肝心のキャラが霞んで見えなくなってしまいます。
「話を盛り上げるのに、萌を得るのに、クソの役にも立たない説明など、へたをすれば読み飛ばされてしまいます」
お説ごもっともです。
どんどんいきます。
起承転結ももちろん大事という話。
そして恋愛を盛り上げる転の部分はかなり重要なポイントとなってきます。
ここにおけるアドバイスは実に単純明快でした。
「文化祭で盛り上がっていようと、契約取りに奔走していようとも、すべて恋愛に大きく結びついていることが大切です」
躊躇いもなく言い切りやがった。
漢です。
でも否定できません。
確かにそうなんですが、改めて文字にすると破壊力が大きいです。
そして構成や演出のコツ。
「話のメインはあくまでも恋愛です。それ以外の要素は、すべて恋愛を盛り上げるものなのです。(中略)
関係のない部分は極力端的に書くか、いっそ省略して。 」
なんだかどこかの編集者のアドバイスを髣髴とさせるコツですが、突き詰めるとそうなるのかもしらんねと思わせられました。恐るべしHOW TO BL小説マジック。
はい次。
キャラのお話です。
「ボーイズラブ小説の場合、究極の選択でストーリーとキャラのどちらを取るかといわれれば、それはキャラになります」
キャラが動けば話も動くという理屈。
個人的には両方充実しているのが望ましいかと。
そして肝心要のエロシーンについて。
花丸編集部は断言しました。
「Hシーンがないボーイズラブは、読者にとってつまらない」
BLにおけるエロは友情と恋情を区別する最も手っ取り早い手段であり、エロなしプラトニックボーイズラブを書ききるのは相当な筆力が必要であるとしています。
特に反論はありません。
しかし、ちょっと笑えたのが、
「規定の長さにするためにHシーンを削った」というなら、それは構成が悪いせいです」
Hは最重要事項のひとつ。
これを十分な長さにするために他のエピソードはこそげ落とす。
それがボーイズラブ小説なのです。
そのHシーンを上手く書くコツも、もちろん載ってます。
「Hシーンはやはり他のシーンとは違った注意が必要です。(中略)
ぼんやり書いていると「この体位を成立させるには、口がふたつに腕が3本必要なのではないだろうか?」などという事態になりかねません。
これを回避するには、それこそ関節が曲がる人形2体を絡ませつつ書くといいかもしれません」
なんって具体的かつ有効なアドバイスでしょうか。
木製の作画用人形2体をお望みの体位に絡ませ、それを上から横からつぶさに観察しつつ文章に写し取る作業……。
↑これを絡ませて隣に置いてキィボードを叩く情景のシュールなこと!
駄目だ笑いが止まらない……!
そして最後にパロディとオリジナルの違いについて。
オリジナルはそのままです。
キャラも設定も全部自分で作った作品のことです。
BL界におけるパロディというのは、既存の漫画やゲームのキャラの元の設定をねじ曲げて、もしくは深読み妄想して男同士をくっつけて楽しむ為の作品のことです。
でも二次創作は著作権的見地から見た場合、限りなく黒に近いグレーですよと。
「普通に考えれば、ギャグならともかく、キャラをホモ扱いしてさらにHシーンまで書いていれば、原作者に嫌がられても仕方がないでしょう」
お説ごもっともでございます。
さて。
なんというか、書き方マニュアルと言うよりは、この本を作った編集部が、
お願いだからこういうコトだけはしないでくれぇっ!
と、血の涙を流しつつ絶叫した結果できあがった本なのじゃないのかと。
まさか小説の書き方と銘打った本に、原稿用紙の使い方とか文章表記のルールが載っているとは思いませんでした。
小中学生の作文指導とか高校生の小論文指導の1コマ目に教えるのと同じような内容が結構なページ数を割いて説明されています。
うーん……。
「日本語での文章の書き方そのものを理解していないとしか思えないものがしばしばあります」
とりあえず、編集部ってどんなBL作品が欲しいんだろう?
と言う興味のある人は楽しく一読はできるかと。
あと、ここの編集部は新人さんを育てようとしているんだなーと思えました。
さて以前、ブログを読んで下さっている方が「ボーイズラブ小説の書き方」をどう思うか、と言うような書き込みをして下さったことがありました。
読んだことがなかったのと、卒論で瀕死だったことと、ほとんど読む専門の人間に理解できるのか、そもそも感想が書けるのか、という躊躇からなかなか購入に踏み切れませんでした。
アマゾンの「この商品をカートに入れる」ボタンを押しそびれ続けていたのです。
が。
何の因果か、よく行く地元の本屋に突然1冊だけ入荷されているのを発見してしまったのです。なんというか、本から買え、ほら買っちまえ! とせっつかれたような気がして、気付けばフラフラとレジに……。
ああ、リアル本屋さんで買ってしまいましたよ。
で、とりあえずまぁ、読んでみようと思って読み始めたのですが。
爆笑の嵐と申しましょうか。
ツッコミどころというかなんというか、気になる部分の多いこと多いこと。
参考書に線を引くみたいに蛍光ペンでツッコミ入れる予定のところにチェックを入れながら、楽しく読ませて頂きました。
ちょっと見てみましょう。
まずはプロットの立て方です。
(プロット=あらすじ)
プロットで一番大切なものは何か。
起承転結でしょうか、一人称、二人称の決定でしょうか。
いいえ違います。
一番大切なこと、それは――「萌」がありますか?
萌の有無が最優先事項。
それがボーイズラブ小説なのです。
まぁ確かに、萌ないBL小説はよほどレベルが高くない限り読む気になりません。
次です。
設定のリアリティと話の破綻のなさ。
BL小説ほど荒唐無稽な設定が大手を振ってのし歩いているジャンルも少ないでしょう。
本書にもあるように、「こんな会社があったら、日本経済は崩壊してしまう!」なんて設定のBLは掃いて捨てるほどあります。日本中いたるところにナントカ財閥が乱立してますけど、もちろん戦後の財閥解体とかそのへんは華麗にスルーされています。
でも。
それでもその作品内で辻褄が合っていて萌があれば、楽しく読める商業誌になります。
ストーリーに恋愛要素が上手に絡んで、設定はあくまで、男同士の恋愛を盛り上げる背景であるべきだ、というのが本書の主張です。
背景を写真並に描き込み、効果線を大盤振る舞いし、1枚数百円もするトーンを惜しみなく張りまくると、肝心のキャラが霞んで見えなくなってしまいます。
「話を盛り上げるのに、萌を得るのに、クソの役にも立たない説明など、へたをすれば読み飛ばされてしまいます」
お説ごもっともです。
どんどんいきます。
起承転結ももちろん大事という話。
そして恋愛を盛り上げる転の部分はかなり重要なポイントとなってきます。
ここにおけるアドバイスは実に単純明快でした。
「文化祭で盛り上がっていようと、契約取りに奔走していようとも、すべて恋愛に大きく結びついていることが大切です」
躊躇いもなく言い切りやがった。
漢です。
でも否定できません。
確かにそうなんですが、改めて文字にすると破壊力が大きいです。
そして構成や演出のコツ。
「話のメインはあくまでも恋愛です。それ以外の要素は、すべて恋愛を盛り上げるものなのです。(中略)
関係のない部分は極力端的に書くか、いっそ省略して。 」
なんだかどこかの編集者のアドバイスを髣髴とさせるコツですが、突き詰めるとそうなるのかもしらんねと思わせられました。恐るべしHOW TO BL小説マジック。
はい次。
キャラのお話です。
「ボーイズラブ小説の場合、究極の選択でストーリーとキャラのどちらを取るかといわれれば、それはキャラになります」
キャラが動けば話も動くという理屈。
個人的には両方充実しているのが望ましいかと。
そして肝心要のエロシーンについて。
花丸編集部は断言しました。
「Hシーンがないボーイズラブは、読者にとってつまらない」
BLにおけるエロは友情と恋情を区別する最も手っ取り早い手段であり、エロなしプラトニックボーイズラブを書ききるのは相当な筆力が必要であるとしています。
特に反論はありません。
しかし、ちょっと笑えたのが、
「規定の長さにするためにHシーンを削った」というなら、それは構成が悪いせいです」
Hは最重要事項のひとつ。
これを十分な長さにするために他のエピソードはこそげ落とす。
それがボーイズラブ小説なのです。
そのHシーンを上手く書くコツも、もちろん載ってます。
「Hシーンはやはり他のシーンとは違った注意が必要です。(中略)
ぼんやり書いていると「この体位を成立させるには、口がふたつに腕が3本必要なのではないだろうか?」などという事態になりかねません。
これを回避するには、それこそ関節が曲がる人形2体を絡ませつつ書くといいかもしれません」
なんって具体的かつ有効なアドバイスでしょうか。
木製の作画用人形2体をお望みの体位に絡ませ、それを上から横からつぶさに観察しつつ文章に写し取る作業……。
↑これを絡ませて隣に置いてキィボードを叩く情景のシュールなこと!
駄目だ笑いが止まらない……!
そして最後にパロディとオリジナルの違いについて。
オリジナルはそのままです。
キャラも設定も全部自分で作った作品のことです。
BL界におけるパロディというのは、既存の漫画やゲームのキャラの元の設定をねじ曲げて、もしくは深読み妄想して男同士をくっつけて楽しむ為の作品のことです。
でも二次創作は著作権的見地から見た場合、限りなく黒に近いグレーですよと。
「普通に考えれば、ギャグならともかく、キャラをホモ扱いしてさらにHシーンまで書いていれば、原作者に嫌がられても仕方がないでしょう」
お説ごもっともでございます。
さて。
なんというか、書き方マニュアルと言うよりは、この本を作った編集部が、
お願いだからこういうコトだけはしないでくれぇっ!
と、血の涙を流しつつ絶叫した結果できあがった本なのじゃないのかと。
まさか小説の書き方と銘打った本に、原稿用紙の使い方とか文章表記のルールが載っているとは思いませんでした。
小中学生の作文指導とか高校生の小論文指導の1コマ目に教えるのと同じような内容が結構なページ数を割いて説明されています。
うーん……。
「日本語での文章の書き方そのものを理解していないとしか思えないものがしばしばあります」
とりあえず、編集部ってどんなBL作品が欲しいんだろう?
と言う興味のある人は楽しく一読はできるかと。
あと、ここの編集部は新人さんを育てようとしているんだなーと思えました。
↓WEB拍手です↓
アキミ
とってもとっても嬉しいです!
爆笑しました、このコラム。私の受けた印象そのまんまです。
私も「絡み」は「実際に人形を使って」には大笑い。
アキミさんのご丁寧な写真に爆笑!!!!
「キーワードで学べ」の欄、読みました?
「援交:若い女の子がしても怒りしか感じないのに、ピチピチした男の子がやってきたら胸があやしくときめく」
「パパ:若いギャルが言うとお金の匂いがするけど、カワイイ男の子が言うと胸がキュン」
「女装:ボーイズラブでの女装はなぜこんなに心ときめくのでしょう。セーラー服でもウェディングドレスでもドンと来い!」
私、エンコウも女装もダメなんです.......