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ボーイズラブ・レビュー
お勧め頂いたボーイズラブになります。
ありがとうございますありがとうございます、超絶ツボでございました。
浮世離れ、幽玄、秋の夜長、着物の男、現世で報われない恋……。
以下ネタバレ妄想注意!
そしてもうこの世にはいない男に焦がれて異界に踏み込む青年。
残された人々の想いは様々で……。
恋人は悲しみ、異界に焦がれていた友人は一抹の寂しさと羨みを抱き。
既に亡くなっていた着物の男・秋草に執着する兄は、同じく秋草に想いを寄せていた妹に殺され、異界に心だけで残った青年は何も思わずただ息をするだけの存在に。
秋草が作った永遠に秋から抜け出せない世界で、実体のない二人は思いを遂げます。
誰も入ってこない、松虫の鳴く寂しい野原で時の狂った空間に漂うことを選んだ二人。
不毛で救いがなくて、どこまでも綺麗なイメージが広がる……。
と、ひたっていたら、あるページで現実に引き戻されました。
修論を抱えた青年の元恋人(女)の台詞。
「修論が煮詰まってる上に良夜のことをずっと心配してたから、疲れてるんだろう」
と気遣われるのですが、彼女は言い放ちました。
「煮詰まってなんかいないわよ! まだ書き出してもいないのに!!」
うん、頑張って下さいね……。
異界に行った恋人はもう戻ってこないけど〆切はずんずん歩いてやってきますからね。
静かな気持ちで読めたボーイズラブでございました。
↓WEB拍手です↓
アキミ
この作品の感想に(多分)はじめて出会いました。
それでちょっとうれしくなってTBさせていただきました。
>静かな気持ちで読めたボーイズラブでございました。
そうなんですよね、なんていうか淡々と・・・という感じなんですよね。
たまにはこういうのもいいですよね、いつもだとちょっとモノ足らないんですけど(苦笑)
元・彼女の存在って、本当に現実に引き戻してますよね。
でも、あちらの世界を知らないって、時間が動いてるってことで、まさに生きてるってことなんですよね。
時のない世界を生きるのか、限りある時間を生きるのか、どっちが幸せだとは決められないけど、少なくともあの二人だけは幸せなんでしょうね・・・。