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ボーイズラブ・レビュー
気付いたら感想が微妙に前後してました。
アダルトカップル以外、まとめて感想書いたせいですね。
(愛の差です単純に。他のカップルも好きですけどやっぱり大河と秀が一番!)
読み返して、やっぱりこのシリーズ好きだなぁ、と思います。
ボーイズラブ的な要素はそれほど強くないのに押さえるところは押さえて読ませてくれてます。
このシリーズはBLよりも家族というテーマの要素が強いのです。
(でも最後の砦・丈の他はすでに総ホモ状態ですが……)
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
SF作家の秀と担当編集者の大河は、ひとつ屋根の下で暮らす恋人同士。でも兄弟達に囲まれて、なかなか一線を越えられない。そんな時、次男・明信に交換留学の話が持ち上がる。費用を気にするなと勧める大河は、拒む明信と大ゲンカ!!それをきっかけに、自分に向ける秀の笑顔にも、どこか無理があるように思えてきて…!?真弓&勇太の番外編「チルドレンズ・タイム」も収録。
ひとつ屋根の下で暮らしていて相思相愛なのに、
弟たちに先を越されている奥手もここに極まれりの二人なのでした。
2年ですよ……健康な成人男性がなにやってんですか。
今回は、テーマがずーんと重かったのです。
明信の留学話に端を発して持ち上がった、「親のいない子供の不幸」という問題。
大河は、ずっと思っていたのです。
親が生きていれば、弟たちは余計な遠慮や心配をしないで済んだのに。
やりたいことをやりたいようにできたはずなのに。
きっと、親がいないせいでできなかったことや我慢していたことがいっぱいある。
と、両親が死んでから自分も大変だったはず(実際一時ぐれてましたし)なのに、弟たちに負い目を感じている彼の責任感。
そして、兄にそう思わせていると知っていてなかなか言い出せない弟たち。
親がいなくても幸せだというのは簡単ですが、相対評価が不可能な状態になってからそんなことを言われても実感なんて湧かないのです。
でも彼らはそろそろ気付き始めたのではないでしょうか。
幸せというのは相対評価ではなく絶対評価なのです。何かと較べて感じるのじゃなくて、自分はどうか、というのが幸せに対する評価なんだよと。
秀との関係は、今回もあと一歩のところでおあずけです……。
旅先で良い雰囲気になって、やったー!!!
と拳を握ってページをめくったら弟&息子が乱入ですからね。
大河も凹んだでしょうが私も絶叫しそうでした。
なんて寸止め!
せっかく秀の原稿放り出してやってきた旅だというのに〆切の代償は寸止め。
編集者としても恋人としてもなかなか報われない大河です。
チルドレン・タイムは、なかなか倒錯的で面白かったです。
真弓は、小さい頃、「男だから」と振られたことがありました。
で、勇太が、「どこの男だそいつは!!」と怒鳴り込みに言ったところ、その真弓を振ったお相手は何と女でレズだったと。
しかし、幼心に結婚しよーねとまで約束して振られたらやっぱショックですよね。
なかなか微笑ましいお話でした。
でも真弓ちゃん……現在進行形で男と付き合ってるのに、
「結婚は女の子とする。ちゃんと、お嫁さん貰うから、勇太もそうして」
なんて言っちゃ駄目です。
弄んで捨てられたって泣かれても文句言えないですこれじゃ。
あと大河と秀の、編集vs作家のやりとりも面白かったです。
大河「何で普段は律儀なのに事原稿を前にするとおまえは幼児化しちまうんだ!」
秀 「だってなんにも思いつかないんだもん!!」
この辺りを読んでると編集さんの大変さがにじみ出ているようで涙を誘われます。
(菅野さんのエッセイと合わせて読むとこの思いは倍増すること受け合い)
そして極めつけ。
秀 「僕、最近気付いたんだけど、月に一度だけ君を殺してみたくなる」
大河「気が合うな。俺もだよ。だけど殺したら原稿取れねえからな」
秀 「僕は、殺したらもう君に会えないから我慢してるのに」
大河「我慢っておまえ……本気なのか?」
秀 「でも大河は原稿のことしか考えてなかったんだね」
……編集と作家が恋人であるこの不幸。
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アキミ
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最近は…本当ならもっとボーイズネタをやりたいのですが、
どうも業界にいるために…身動きがとりにくいというか…
まぁ、色々と難しいです。
いつかボーイズラブ話ができるといいなぁ…なんて思っております。
またその時はお願い致します。