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4344805992騎士と誓いの花
六青 みつみ 樋口 ゆうり

幻冬舎コミックス 2005-07-29
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ボーイズラブ・レビュー


いやっほう!!
この喜びをどう表現しましょうか。
久々に……本当に久しぶりにボーイズラブファンタジーでヒットです!
勧めて下さった方ありがとうございます。

BL出版業界では虐げられ、駆逐されつつあるファンタジーやSFジャンルで当たりを引くとものすごく得した気分になります。
まだまだBLファンタジーも捨てたもんじゃないです。


以下ネタバレ妄想注意!





紹介文です。


奴隷のリィトは鞭打たれているところを端正な容貌の男に助けられる。それと引き換えに男はリィトにある要求をして…。


機種流離譚が軸になってはいますが、主人公は元奴隷の少年です。
殺されかけていたところをグリファスに助けられたリィトは、彼に頼まれて嗣子であるルスランの身代わりを引き受けます。正当な皇王として国を治めるために都入りを目指して旅をする間の危険な身代わり。
それを、グリファスの役に立ちたいという一途な思いから引き受け、しかしグリファスが一番に思って忠誠を誓っていたのは彼の主であるルスランであることを旅の中で何度も見せられてそのたびにリィトは泣きます。
健気です。ひたすら健気です。
グリファスのたった一言、

君のことは、俺が命を賭けて守ると誓う

この誓いだけを大切に抱きしめて、ルスランが危機に陥った時に自ら囮となって賊に捕らえられ、皇子の身代わりとして耳を引きちぎられ、拷問にかけられて犯されてしまいます。
(初めて出てきたセックスシーンがこの強姦シーンというやるせなさ)

あなたは誓いを果たしてくれた。だからぼくも約束を守ります

一度だけルスランより先に守ってもらったことが、リィトは本当に嬉しかったのです。

ボロボロになって、もう命をあきらめかけた時にようやくリィトは助け出されます。
そして、苦難の果てにグリファスと結ばれてハッピーエンド。
初めてリィトを抱いたあとに、グリファスは初めてリィトがくれた、求婚の意味を持つ花と同じ花を持ってリィトに誓います。

愛と忠誠を捧げると誓う

幸せになれて良かったねと。


実は私、どちらかというと、こういう系のファンタジーでは王族がメインになっている話の方が好きなのです。忠誠と命を賭けた誓い、大きなものをその身に背負っている重圧や、個を殺さなければならない場面での葛藤なんかは、現代物では書きにくいですし、ファンタジーの特性を活かしやすい設定だと思うのですね。
このお話は、世界設定は限りなく十二国記に近いものでした。
つまり人ではない神の領域にいる存在に選ばれた者が王位につき、その加護がある限り国は栄えるが偽王が立つと国は荒れる、という設定です。
生まれた時から選ばれていた唯一無二の存在と、ただの奴隷でしかない自分を知っているリィトが、それでもグリファスを求めてしまう葛藤は、読んでいるだけでせつなくなります。 皇子の苦悩より身代わりの少年に焦点を当てて、等身大の淡い恋をしっかり書ききったファンタジーでした。
あと、グリファスがどんどんリィトに惹かれていく過程も読み応えがあります。
(作者曰く朴念仁の彼ですが、騎士は不器用なくらいがちょうど良いと思います!)
王族メインじゃないのにこんなに楽しめるとは思えなかったです。

最後に二人が幸せになれて良かったです。
内容が良くてその上に悲恋だったら当分立ち直れないですからね……。

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