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ボーイズラブ・レビュー
久々に学生さんが主人公のお話を読みました。
学園モノからはちょっと外れる気もしますが、舞台は大学です。
攻はバレーボールのエースアタッカー、受はそのファンという組み合わせでした。
ちょっと古めの本なのですが面白かったです。
扱いの難しいと思われる障害者を正面から真摯に書ききった作品でもありました。
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
スランプに悩む大学バレーボール選手、邦彦を変えたのは、ひとりの聴覚障害の少年、幸也との出会いだった…。幸也の純粋な心と豊かな感受性に触れ、さらに思いもよらないアドバイスを受けて、邦彦は今まで見失っていた"何か"を見いだすことができた。愛しい想いが次第にふくらんでゆく日々…。そんな折、幸也の目の前で邦彦が事故に…。熱い感動を呼ぶ表題作ほか待望の書下ろし続編「囁きの向こう側」を収録。
スランプ中の攻・邦彦を助けたのは、いつも練習を見学に来ていた聴覚障害の少年・幸也でした。彼が気付いた些細なポイントのおかげでスランプを抜け出し、ひたむきで天真爛漫な少年に惹かれていく……。
というのが前半のお話。
微笑ましいです。
幸也が邦彦に声を聴きかせるあたりは、なにやらこちらまで切なくなってきます。
小さい頃は喋っていたのに、変な声、イルカの声みたいとからかわれて以降、喋らなくなってしまっていた幸也なのですが、邦彦の名前を呼びたいと、懸命に声を絞り出すのです。
邦彦が怪我をした時も、喋れず、電話も使えず、それどころか助けを求めていた邦彦にも気づけなかった自分を非道く責めてしまった幸也ですが、邦彦に励まされ、助けてくれてありがとうと礼を言われてなんとか立ち直っていきます。
不器用な二人が少しずつ寄り添っていく過程は、王道といえば王道なのですが、良く書けていて共感できました。
しかし!!
本当に読んで欲しいのはこの後半のお話です。
二本立てなのですが2話目の「囁きの向こう側」がすごかったのです。
日本で聴覚障害の人たちの役に立ちたいとアメリカに留学した幸也と、バレーボールチームのある企業に就職した邦彦の話なのですが、見事にドシリアスです。
えらいことになってます。
アメリカに留学した幸也は同期生に強姦されておりセックス恐怖症に。
それを知らなかった邦彦は、久々に会えたということで、いざベッドに……。そしてもちろん楽しくコトに及ぶことなどできるわけもなく、気まずい思いをしてしまいます。
幸也が抱え込んでしまった恐怖といわれのない罪悪感は強烈です。
最終的にはなんとかその恐怖を克服する幸也ですが、そこに至る道のりを思うと素直に喜べません。強姦するような人間のクズなんかまとめて死刑にしてしまえば良いんですまったく……。月よ、ちょっとデスノート貸してくれ。
そしてもうひとつ特筆すべきは幸也のお母様であります。
息子さんが好きですと告白してきた男を前に、知ってたわよ、そのくらい。
とあっさりOK。
そして、
「すみません」
と謝った邦彦に、
「仕方ないじゃない、釣り上げたのがうちの子だったら」
とのたまいます。
お母様そんな、釣り上げたって……あはは。
さらに、
「私って楽天的なのかしら、悩んでも仕方ないことは悩まない主義なの。かわいげのないお嫁さんが来るよりは、息子が一人増える方が楽しいじゃない? 物事は良い方に解釈したほうが幸せよ」
そりゃ、決死の思いで告白した邦彦には、お母様が菩薩か天女に見えて当然でしょう。
世の中のお母様は、たとえかわいげがない嫁でも、息子が彼氏を連れてくるよりよっぽどましと思うモンです。
あっぱれなお母様でした……。
ところで、作者が後書きでこき下ろしていた野島某脚本のドラマって、もしかして聖○の行進とかそのへん……ですよねたぶん……。
あらら……昔、友人が号泣していたドラマじゃないですか。
↓WEB拍手です↓
アキミ












BL小説を読みながら、
男×男じゃなくてもいいのに、そうなっちゃう。
そこを楽しむというのは、何かなあと考えています。
でも、このお話のように、
そういうことは関係無しに読みたくなるのは、
恋愛模様だけが読みたいんじゃなくて、
生きている、呼吸している、生活している、
人間を知りたいからなんだなあ。と思えますね。
私も人の親だったりするワケですが、
彼らの相手の性別よりも、その人と向かい合える、
受け入れようと思える相手と出会えることを望んでいます。
(現実は、二人とも、そういう人らしき影もいないので、
ぜ〜んぜんつまらないんですが><)
さあて、古本屋巡りするかな〜