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ボーイズラブ・レビュー
11巻まで読了しました。
やっぱり私は編集×作家のアダルトカップルが一番好きです。
この2冊は、帯刀家にやってきた作家・秀の養子である勇太と、帯刀家の末っ子真弓のカップルのお話です。勇太×真弓。二人とも高校生です。
いや初々しいですなぁ。
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
高校生の真弓と勇太は、キヨい(!?)関係の恋人同士。一つ屋根の下で暮らす二人は、部屋まで一緒。なのに、お子様な真弓にいまだ手を出しかねている勇太は、最近少しイラつき気味。そんなある日、勇太が突然家出してしまう。そのうえ後を追いかけた真弓を、「今はおまえに触りたくない」と、理由も語らず拒絶して…。勇太の豹変は一体なぜ?真弓は傷つき戸惑うけれど。
恋人としてつき合い始めて一年半。最近勇太は機嫌が悪い。誰にでも優しい真弓を見ていると、凶暴な独占欲に駆られるのだ。苛立つ勇太は、ある日些細な口論からはずみで真弓を叩いてしまう!!暴力とは、もう縁を切ったはずなのに…。このまま一緒にいたら、俺は一番大切な人を傷つけてしまう―。自分自身に恐れを抱いて、勇太はふたたび真弓の前から姿を消すが…。
ドシリアス……のはずがやはり笑いどころは押さえてあるこの絶妙さと申しましょうか。
秀。
アンタ、幾ら〆切でせっぱ詰まったからって、自分の養子を犬にしてエッセイ書かんでもいいでしょうに。
ただ、勇太が怒ったのは自分が犬扱いされたことではなくて、最後に、「いつか誰かを愛してどこかに行ってしまえばいい」みたいなことが書いてあったからなんですね。
勇太と秀の、「家族」というものに対する考え方の違いが如実に表れた3巻でした。
怒って家出した勇太と、謝らないと突っぱねる秀の親子喧嘩。
追いかける真弓。
自分とはあまりに違う育ち方をした真弓に対する一種の恐れを抱く勇太。
と、入り乱れること1冊。
ついにアダルトカップルを軽く追い越して先に結ばれてしまいました。
そして6巻の「子供たちの長い夜」です。
なんだこの非常識な分厚さは……?
確かにこの重い内容を書ききるのに必要な分厚さだとは思いましたが。
キャラ文庫の紙質もあって、ずっしりと手首にくる重さです。
(同じくらいの分厚さのWHより格段に重い)
この巻では、勇太の父親が死にました。
それを知らせる手紙を受け取った勇太は、未だに過去を振り切れていない自分、暴力を押さえられない自分を思い出して愕然としてしまいます。殴って金を要求するだけでも父親は父親だったということ。親とも思っていなかったのにショックを受けて、ショックを受けた自分に驚いて、その衝撃で昔から身の内に抱えていた暴力への衝動が甦ってしまいます。
このままでは真弓も傷つけてしまうと、勇太は真弓から離れようとします。
もちろん真弓は追いかけます。
しかし、これまで知らなかった負の部分の勇太を見てしまった真弓は怯みます。
あまりにも世界が違う。ということに気付いてしまいます。
それでも最終的には受け入れよう、一緒に歩いていこうと勇太の手を取った真弓に座布団一枚。小さい頃の経験やトラウマって、そう簡単に消えるものではないですが、勇太には頑張って乗り越えてもらいたいものです。
勇太が将来の仕事にしたいと思って弟子入りした仏像彫刻職人さんのことや、勇太の昔の友人、そして、なぜか末っ子を男にとられた上、自分のこともあって強く言えない哀れな長兄大河など、この小説は脇の人物層が厚いです。
ホモ率もやたら高いですが。
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アキミ