人形の爪 眠る探偵 榎田 尤利 石原 理 講談社 2005-04-05 売り上げランキング : 24,675 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ボーイズラブ・レビュー
以前、小説JUNEで連載されていたシリーズのリニューアルバージョンになります。
そう。
残念ながら、ボーイズラブの礎石とも言える小説JUNEが事実上の休刊になってしまい、
創刊されたばかりだったジュネノベルズも当然一緒にお亡くなりに。
シリーズになるはずだった榎田尤利さんの眠る探偵シリーズも、
最悪そのままお蔵入り……という危機だったんですが、
講談社から継続することになったようで、めでたい限りです。
(雑誌が休刊になると、作家と読者が困るんですよね……
運良くどこかの出版社が拾ってくれたら続きも出るんですが、
みんながみんなそういうわけにもいかないですし。
この眠る探偵シリーズも、
ジュネノベルズに収録されている「眠る探偵」「頬に触れる絹」は、
ホワイトハートには載らないっぽいです。
気になる人は根性で本屋を廻るか、古本屋さんで探しましょう……)
私はこのシリーズがとても気に入っていたので、
リニューアルでシリーズ化は喜ばしい限りです。
榎田尤利さんの書かれる小説は、
私、好き嫌いが激しいんですが、
だいたいどれも標準を軽く越えたクオリティを保っているのには頭が下がります。
好き嫌いはあれど、榎田尤利さんはボーイズラブ業界では屈指の実力者だと思います。
以下ネタバレ妄想注意!
とりあえず紹介文をどうぞ。
……と思ったら楽天に紹介文がなかった。
くそっ。まぁ、たまには自分で書きますか。
市羅木真音は、身内だけで探偵事務所を開いています。
お約束の美貌の顔をお持ちの男性であります。
しかも三十代子持ち。
そう、彼には婚歴があるんですよ! なんて珍しい。
さらにプラスαとして、特殊能力まであります。
彼は眠ると近くにいる他人の夢を見ることができるのです。
その特技を使って、色々な事件を解決する、というのがストーリー。
そこに、孤児だった真音と一緒に育って、
彼に異常な執着を見せる槇という男がからみ、
体質のせいで悲惨な経歴を辿ることになった真音の過去が絡み、
全体的にシリアスタッチで話は進んでいきます。
(何しろ、心理学者の養父に引き取られた真音は、
色々な事件を解決するため、利用され、
殺人現場を目撃した被害者の悪夢なんかを、
無理矢理散々見せられて発狂寸前まで追い込まれ、
その養父が焼け死んでからは、子供を盾に取られて警察に夢を強制的に見せられ……
というわりと悲惨な過去の持ち主です)
今は無事、愛娘と半分血の繋がった弟と一緒に探偵事務所を営んでいます。
もともと眠りが浅く、他人の夢を取り込んでしまう厄介な体質のため、
深く眠るために知り合いの心理学者にハードセックスをお願いしてみたり、
(眠らなきゃ人間死ぬわけで、仕方ないと言えばそれまでですが)
昔は昔で槇に「欲しい」といわれて「いいよ」とばかりに身体投げ出してみたりと、
貞操観念? どこの国の言葉それ?
と、一見思ってしまう程度には貞操観念がないです。
でも彼は、ボーイズラブ小説にあるまじきことに、
おそらくいまだに亡くなった奥さんを溺愛しています。
「僕は今でも、あの人のものだよ。
他の人はいらない。……でもあの人はもういないから、
誰のものにもならない」
これが真実、奥さんに向けた台詞なら、
私はバイの男でも彼と結婚したいです。
それは横においておいても、
このシリーズは今のところ、メインカップルなるものが存在しません。
真音はわりかし簡単に身体を開きますが、恋愛をしているわけではありません。
もちろん、昔関係のあった槇も、抱き枕がわりにしている心理学者も、
恋人という扱いではないのです。
この先どう展開していくのか、
全体のストーリーにしても、真音の恋愛に焦点を絞るにしても、
楽しみであります。
来月も新刊が出ると聞いて小躍りしました。
速筆な榎田さん、愛してます。
ファンタジーの方もすげー楽しみに待ってますから~!
↓WEB拍手です↓
アキミ
BPから飛んできました。早速TBさせていただきましたのでちょっとコメント。榎田尤利さんの本は確かに「当たり外れ」が大きいですね。(^^;)
時々、ボーイズ以外でPN変えないんだろうか…とは思いますが。
>私はバイの男でも彼と結婚したいです。
このヒトコトが胸にきました(笑)
しかし毎晩くっついて寝るのは寝苦しそうだ…。
それにしても市羅木氏はかなり謎深いですね。そういう描写はピアスに比べてソフトな印象を持ったんですが、、、