邪道 無限抱擁 (上) 講談社X文庫―ホワイトハート 川原 つばさ 沖 麻美也 講談社 2004-09-05 売り上げランキング : 53,080 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ボーイズラブ・レビュー
私がはじめて読んだ川原作品(正確には新書時代なので藤村名義でしたが)。
ボーイズラブ・ファンタジー小説です。
もともとファンタジーは好きなのですが、
どうもボーイズラブとファンタジーって噛み合わないよなぁ。
と、敬遠してました。
すみません。私が間違えてました。
固定観念に捕らわれていると、思わぬ名作を見逃します。
「邪道」は、ファンタジーとしての必然がちゃんとあります。
もちろん恋愛がメインではあるんですが、
現代物では書けない葛藤なんかもたくさんあって、
それが魅力になっています。
まず注目したいのが設定です。
ボーイズラブ小説最大のポイントといっても過言ではないカップリングですが、
これがふるってます。
二組のメインカップルがあるんですが、
どちらもかなりの打率で脳内クリーンヒットです。
1:幼なじみで、友情→恋愛という超オーソドックスな関係。
ただし、ファンタジーならではの特殊設定が絡んでかなりオイシイ。
2:攻めは王族の三男坊。受けは本来敵であるはずの魔族の超美形。
ファンタジーでしか書けない異種間恋愛。
ちなみに、私は二つ目のカップリングに萌え萌です。
これ以下、ネタバレ注意報。
思いっきり内容の話とかになります。
新書から移行してきた記念すべき第1弾です。
ボーイズラブにあるまじき長編を、最後まで出版してくれる出版者を捜して、
作家自らかけずり回った結果、講談社ホワイトハートから出ることになったのです。
それまでに、ルビーに移行、と言う話もあったようですが、路線が違いすぎて立ち消えたようです。
内容は、新書1巻の半分くらいです。
世界設定の書き込みとかが詳しくなって整理されていてすごく分かりやすい。
ただ、苦言を呈するなら、ややまだるっこしい。
いちいち固有名詞にカッコつけなくても良いよー、
読むリズム悪くなるし……。
最低限の世界説明だけはするけど、くわしくはそのうち書くし、
とりあえず今はこいつらの話するからそっち読んでね!!
というノリの強かった新書バージョンの勢いが私は好きだったので、
そこんとこはちょっと残念でした。
でもでも、内容的には充実してるし加筆修正てんこ盛りだし、
個人的には大変満足しております。
邪道の第1巻目と2巻目は、
カップルその1のティアランディアとアシュレイの恋がメインテーマ。
もともとティアは天界を守護する守護主天という、天界では一番偉い人だし、
アシュレイは東西南北4つに別れた国のうち南の嫡子。
ティアはアシュレイがずっと好きだったけど、
アシュレイは跡継ぎだしまだ子どもだから、そのうちゆっくり振り向いてもらおう。
と、優雅に構えていたティアは、元服の時に自分の身体の秘密を知って愕然。
主天は、生まれは最上界(天界の上にもまだ世界があるのだ)で、
血の繋がった父親も母親もいないのですね。
で、生まれると天界に下ろされて閻魔様が父親代わりになって育てる。
死ぬと、身体は最上界に召し上げられて、天界にはその主天の記録は一切残らない。
その召し上げられた死体処理が問題で、その後どーなっていたのかというと、
なんとリサイクルされていた!!
何回も何回も、同じ肉体から主天は作り直されていたのです。
最上界って物資不足なんかなー。
と思いますが、まぁ色々あるんでしょう。
上の神様の体はみんなそーやって使い回しているようなのです。
それだけならともかく、色々と重責に堪えなくてはならない主天様は、
代々美形揃いでそのうえとんでもない男狂いだった
のです。
その肉欲の記憶、みたいなのがご丁寧にきっちり残されていて、
嫌がらせのよーに元服の時に見せられてしまうのですね。
その事実を知ったティアははかなりショックを受けます。
自分の身体ってば生まれた瞬間から汚れてた!
好き嫌いに関係なく性欲のみで何人ものべつくまなしに男とやりまくってた!
こんな身体でもう愛しいアシュレイとどうこうなりたいなんて、とても望めない!
と言うわけです。
(でもあれなんだよな、貴族のお姫様とかと、かなり色々やってたのは、
あれはいいんだろーか。男相手じゃなかったから別なんかなー)
そして、その結果具体的にそうしたのかというと、
元服の報告にやってきたアシュレイ(ティアはアシュレイの上司に当たるので)を、
もうこれ以上ないくらい冷たく突き放します。
これまでずっと優しくしてたのに。
勉強が分からなかったら他の子を放り出しても教えてあげてたし、
遊びも昼寝も一緒にして、アシュレイはおぼろげに、
「ティアにとって自分は特別なんだ」
と感じていたのに、それを踏みにじっちゃったのです。
突き放し、面会に来ても公務を理由に断り続け、
昔のようなつき合いは一切しなくなった。
で、わけ分かんないアシュレイは切れます。
当然、仲はこじれます。
そんな時、最上界から天界に客分として1人の神がお忍びでやってきます。
その名もアウスレーゼ。(ワインの名前かよというツッコミはナシです)
これがまた良い性格してます。
本来、包容力抜群の大人のいい男なんですが。
アシュレイを諦めきれないで悶々としているティアと、
実はティアに冷たくされて激しく落ち込んでいるアシュレイの間を、
しっちゃかめっちゃかに引っかき回します。
「そなたがいらぬというなら我がもらおう」
とかいって、ティアと身体のできかたは同じなのにアシュレイのこと抱くし、
それにティアが切れると、ティアまでおいしく頂いてしまいます。
(結局ティアは自分の身体を投げ出して、
アシュレイがアウスレーゼに抱かれるのを阻止します)
新書では、オイシイとこだけ持っていった気まぐれ神様の面が強調されて、
オイオイ、と思っていたのですが、リニューアルバージョンでは違います。
アウスレーゼ様はすごい人なのです!
深謀遠慮と申しましょうか。
非道いことをしながらも、ティアの先輩として、色々教えてくれたり、
過保護な閻魔様からの干渉を防いでくれたりと、良いこともしてくれます。
大人で身分が高くていい男と、
三拍子揃えたブランド的な魅力を持ったキャラに大昇進。
で、そのアウスレーゼ様の導きもあって、
ティアの恋もなんとかなるかな~。
と言う雰囲気になってきます。
そこに絡んでくる、こちらはすでに相思相愛の異種間恋愛組の
柢王(攻)と桂花(受)も良い味出してます。
ちなみに魔族嫌いのアシュレイは桂花とは犬猿の仲。
彼らの喧嘩の後始末から話が始まっているくらいですから、
相当根深いです(笑)
1巻は、これから解決するからもうちょい待っててね!
的な終わり方をします。
とりあえず、上下一緒に読みたいですね(^_^;)
シリアスチックな内容ですが、もちろん笑える場面もあります。
謹慎中のアシュレイが億単位の本がある蔵書室を引っかき回して役人が切れたとか、
けっこう笑えます。
ただ、私がうおおおおおおおおおおおおおっ!
と絶叫しながらのたうちつつ読んでたのは、
もう何冊か向こうの内容なんですね……。
まだまだ、この先数冊分はまったりと笑いつつ突っ込みつつ、
余裕を持って読めます。
軽い話でないことだけは確かなのです。
というか、進むに連れて超絶重。ヘヴィー級の展開になるので、
明るくハッピーな軽めのボーイズラブを求めている人は、
たぶん無理……。
面白いのは面白いんですけど。
ボーイズラブにあるまじき長編を、最後まで出版してくれる出版者を捜して、
作家自らかけずり回った結果、講談社ホワイトハートから出ることになったのです。
それまでに、ルビーに移行、と言う話もあったようですが、路線が違いすぎて立ち消えたようです。
内容は、新書1巻の半分くらいです。
世界設定の書き込みとかが詳しくなって整理されていてすごく分かりやすい。
ただ、苦言を呈するなら、ややまだるっこしい。
いちいち固有名詞にカッコつけなくても良いよー、
読むリズム悪くなるし……。
最低限の世界説明だけはするけど、くわしくはそのうち書くし、
とりあえず今はこいつらの話するからそっち読んでね!!
というノリの強かった新書バージョンの勢いが私は好きだったので、
そこんとこはちょっと残念でした。
でもでも、内容的には充実してるし加筆修正てんこ盛りだし、
個人的には大変満足しております。
邪道の第1巻目と2巻目は、
カップルその1のティアランディアとアシュレイの恋がメインテーマ。
もともとティアは天界を守護する守護主天という、天界では一番偉い人だし、
アシュレイは東西南北4つに別れた国のうち南の嫡子。
ティアはアシュレイがずっと好きだったけど、
アシュレイは跡継ぎだしまだ子どもだから、そのうちゆっくり振り向いてもらおう。
と、優雅に構えていたティアは、元服の時に自分の身体の秘密を知って愕然。
主天は、生まれは最上界(天界の上にもまだ世界があるのだ)で、
血の繋がった父親も母親もいないのですね。
で、生まれると天界に下ろされて閻魔様が父親代わりになって育てる。
死ぬと、身体は最上界に召し上げられて、天界にはその主天の記録は一切残らない。
その召し上げられた死体処理が問題で、その後どーなっていたのかというと、
なんとリサイクルされていた!!
何回も何回も、同じ肉体から主天は作り直されていたのです。
最上界って物資不足なんかなー。
と思いますが、まぁ色々あるんでしょう。
上の神様の体はみんなそーやって使い回しているようなのです。
それだけならともかく、色々と重責に堪えなくてはならない主天様は、
代々美形揃いでそのうえとんでもない男狂いだった
のです。
その肉欲の記憶、みたいなのがご丁寧にきっちり残されていて、
嫌がらせのよーに元服の時に見せられてしまうのですね。
その事実を知ったティアははかなりショックを受けます。
自分の身体ってば生まれた瞬間から汚れてた!
好き嫌いに関係なく性欲のみで何人ものべつくまなしに男とやりまくってた!
こんな身体でもう愛しいアシュレイとどうこうなりたいなんて、とても望めない!
と言うわけです。
(でもあれなんだよな、貴族のお姫様とかと、かなり色々やってたのは、
あれはいいんだろーか。男相手じゃなかったから別なんかなー)
そして、その結果具体的にそうしたのかというと、
元服の報告にやってきたアシュレイ(ティアはアシュレイの上司に当たるので)を、
もうこれ以上ないくらい冷たく突き放します。
これまでずっと優しくしてたのに。
勉強が分からなかったら他の子を放り出しても教えてあげてたし、
遊びも昼寝も一緒にして、アシュレイはおぼろげに、
「ティアにとって自分は特別なんだ」
と感じていたのに、それを踏みにじっちゃったのです。
突き放し、面会に来ても公務を理由に断り続け、
昔のようなつき合いは一切しなくなった。
で、わけ分かんないアシュレイは切れます。
当然、仲はこじれます。
そんな時、最上界から天界に客分として1人の神がお忍びでやってきます。
その名もアウスレーゼ。(ワインの名前かよというツッコミはナシです)
これがまた良い性格してます。
本来、包容力抜群の大人のいい男なんですが。
アシュレイを諦めきれないで悶々としているティアと、
実はティアに冷たくされて激しく落ち込んでいるアシュレイの間を、
しっちゃかめっちゃかに引っかき回します。
「そなたがいらぬというなら我がもらおう」
とかいって、ティアと身体のできかたは同じなのにアシュレイのこと抱くし、
それにティアが切れると、ティアまでおいしく頂いてしまいます。
(結局ティアは自分の身体を投げ出して、
アシュレイがアウスレーゼに抱かれるのを阻止します)
新書では、オイシイとこだけ持っていった気まぐれ神様の面が強調されて、
オイオイ、と思っていたのですが、リニューアルバージョンでは違います。
アウスレーゼ様はすごい人なのです!
深謀遠慮と申しましょうか。
非道いことをしながらも、ティアの先輩として、色々教えてくれたり、
過保護な閻魔様からの干渉を防いでくれたりと、良いこともしてくれます。
大人で身分が高くていい男と、
三拍子揃えたブランド的な魅力を持ったキャラに大昇進。
で、そのアウスレーゼ様の導きもあって、
ティアの恋もなんとかなるかな~。
と言う雰囲気になってきます。
そこに絡んでくる、こちらはすでに相思相愛の異種間恋愛組の
柢王(攻)と桂花(受)も良い味出してます。
ちなみに魔族嫌いのアシュレイは桂花とは犬猿の仲。
彼らの喧嘩の後始末から話が始まっているくらいですから、
相当根深いです(笑)
1巻は、これから解決するからもうちょい待っててね!
的な終わり方をします。
とりあえず、上下一緒に読みたいですね(^_^;)
シリアスチックな内容ですが、もちろん笑える場面もあります。
謹慎中のアシュレイが億単位の本がある蔵書室を引っかき回して役人が切れたとか、
けっこう笑えます。
ただ、私がうおおおおおおおおおおおおおっ!
と絶叫しながらのたうちつつ読んでたのは、
もう何冊か向こうの内容なんですね……。
まだまだ、この先数冊分はまったりと笑いつつ突っ込みつつ、
余裕を持って読めます。
軽い話でないことだけは確かなのです。
というか、進むに連れて超絶重。ヘヴィー級の展開になるので、
明るくハッピーな軽めのボーイズラブを求めている人は、
たぶん無理……。
面白いのは面白いんですけど。
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アキミ