彷徨者たちの帰還 ~守護者の絆~ (リンクスロマンス)彷徨者たちの帰還 ~守護者の絆~ (リンクスロマンス)
六青 みつみ 葛西 リカコ

幻冬舎 2014-06-30
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ボーイズラブ・レビュー


待ちに待ったモフシリーズ新刊ですよ!!
代償シリーズはこれまで3冊出てまして、私は3作目の【奪還の代償~約束の絆~】が一番好きなのですが、他の2作も大好きです。

BL業界ではいまモフモフ(獣系の受か攻が出てくる)が大流行の兆しを見せておりますが、その中でも相当完成度の高いシリーズですので、ファンタジーとか異種間恋愛とかにビビっとくる人には問答無用で読んでいただきたいと思っています。
この滾る萌を共有したいです……。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
帝国生まれでありながら密入国者集団が隠れ住む『天の国』で育ったキースは、聖獣のことも騎士のことも知らずに育った。生来の美貌のため、キースは幼い頃から性的な悪戯を受けたり襲われたりすることが多く、人間不信に陥っていた。そんな折、成人の儀式で光り輝く繭卵を見つけ大切に保管する。数年後、孵化した聖獣に驚くキースだが“対の絆”という、言葉も概念も分からないまま誓約を結び、聖獣をフェンリルと名付け、育て始めるのだが―。

紹介文からもお察しいただけるかと存じますが、キースさん、人間なんですけどあからさまな受属性の持ち主でございます。美人過ぎて薄幸で人間不信で、男達にそういう目で見られ続けて育ったヤマネコのような青年です。紛うことなき受です。
さてこのモフシリーズ。
すべて人間の騎士×聖獣という組み合わせでこれまでやってきました。
つまり人間攻です。というのも、聖獣って雄しかいないのに自分からは発情しないという、生態系ガン無視の仕様であるため、突っ込む側に回るにはなかなかハードルが高いのですね。

だというのに、今回は人間側があからさまに受です。
もう聖獣、乗っかる役割しか残っていません。
つまりこれ、別にビッチでもない美人受さんが誘い受けるしかないんですよ!!!!!
設定だけでご飯三杯はいけるBL設定です。


ちなみにこの聖獣って、この世界ではかなりレアな存在で、帝国に生まれ落ちたら全ての聖獣が魔獣と戦うために軍の一員として組み込まれます。
聖獣と契約を交わした人間は、たとえ元が軍人や貴族でなく、庶民階級の出であっても即座に貴族+軍人にレベルアップします。戦う以外の衣食住は完全に保証されて、さらにお給料までいただける身分になれます。 なので、野良の人間と聖獣の組み合わせなんてまず存在しないのです。
しかし彼らは世間から隔絶されまくった世界で育ったので、その希有な存在になってしまいました。
紆余曲折の末、国に保護されて落ち着くまで、けっこう苦労します。

その結構な苦労が……ああ、なんと言うことでしょう。
これまでのシリーズが波瀾万丈すぎたのか、あんまり大変そうに見えなかった……富士山に挑むつもりで登り始めたら近所の丘のハイキングコース(同シリーズ比)だった! というちょっとした肩透かし感。
もちろん楽しく面白く読みました。
モフは相変わらず超可愛いですしラブラブな異種間恋愛には萌えることこの上ありません。
もうひとつまみの塩が欲しいというのはたぶん贅沢。
でもやっぱ、ファンタジーにはそびえたつ山とかそこの見えない谷を越えてこそのカタルシスを求めちゃうんだよ!!!!
BLとか一般関係なくそうなんですよね、私の好み。
なのでこの1冊は、シリーズ中、ふっと肩の力を抜いて楽しめるという位置づけでした。

この反動で次に超弩級のがきたらどうしよう……楽しみすぎる……。

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