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ラクダ使いと王子の夜 (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)ラクダ使いと王子の夜 (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)
緒川 千世

リブレ出版 2014-03-10
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ボーイズラブコミック・レビュー


緒川 千世さんは今や人気急上昇中のBL漫画家さんですが、今回の新刊に飛びついたのはもちろん表紙がアラブだったからです。
ボーイズラブにおけるアラブジャンルの受の日本人率は大変なものがありますが、イラストを見る限り受さんも板に付いた民族衣装であり、これはもしやアラブ×アラブ!!!!! と小躍りしながらお買い上げ。

正直、表紙を見た瞬間購入を決めていたので内容をまったくチェックしておらず、読み始めてから初めて短編集だったことを知りました。
アラブだったらなんでもいいのかって感じですが、その通りですなんでもいい!
愛してるよ私のアラブBL……

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
キャラバンの孤独な少年が、砂漠で出会ったのは王子様でした。素敵な夢があって、努力家で、とても優しい王子様。知れば知るほど、つのる想いを止められない少年でしたが、出て行く決心をして――。広い夜空に瞬く小さな星のような、慎ましくも純粋な恋のおとぎ話。

やべー切ないアラブだよ!
日本人受が砂漠の王宮に連れてこられて脱走して発見されてお仕置きされてという、アラブの輝かしいキングロードが、いっそ清々しいほどにガン無視されております。
アラブ攻は王族じゃなくて貿易商のお坊ちゃん(でも王宮かよ!? みたいなお家には住んでる)だし、受は異民族ながら砂漠の民で、無理矢理どうこうというコトは皆無。

あらゆる出来事が双方合意のうちに進んでいきます。

なんだろう。
普通の恋愛なら当然のことなのに太字強調せざるを得ないこのジャンルの罪深さに震えるしかありません。
しかもすごく切なくて胸キュンな展開なんですよー。
最後はちゃんとハッピーエンドで素敵なアラビアンナイトBLです。
ラクダ切ない。ラクダ可愛い切ない。
最後にラクダが全部持っていったんじゃねーかってくらいのラクダの存在感。


そんで切なかったのはアラブ離れしたアラブだけで、あとはけっこうかなり、本格的に病んでる系の短編です。
まだ表題作は最後に良い感じに落とし込んでて息がつけますが、残りがねー、相当に病んでてね! 切ないアラブとのギャップに、ちょ、えっ!!! ってなります。
どれも完成度は高いし挑戦的なエ口で大好きです。

そうこれ、収録作のうち「いびつな欠片」はR指定のついたアンソロジーに発表された作品で、まさか普通に単行本になってくれるとは……!(当然コミックスは全年齢向け)やるなリブレ!
これが兄弟ネタで、「くさった螺旋」が親子ネタです。
どっちも病んでます。ごちそうさまです。腐りかけの肉は美味って本当なんですね!


後書きに「くどい食材でもソフトなパンの間にはさんだらみんな食べてくれるんじゃないか」とあって、どう考えてもこの短編集に於けるソフトなパンってアラブなやつで、まさかBL業界においてアラブがソフトなパンの役割を果たすことがあるなんて!!! という衝撃を受けました……。

立て続けに読むとぐるんぐるんと感情が振り回されますが、どれも美味です。
ただし食べ合わせ的にアウトな人もいるかもなので、各お話を読むのに時間を置いた方が安全かもしれません。あ、私は平気でした。

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