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熱砂と月のマジュヌーン (GUSH NOVELS)熱砂と月のマジュヌーン (GUSH NOVELS)
木原 音瀬 笠井 あゆみ

海王社 2013-09-19
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ボーイズラブ・レビュー


読む前から興味津々だった木原さんのアラブBL……。
前半は同人誌で発表されていて、友人達から、

「すごいよー……どうやったら商業ベースに乗せられるんだろう」
「あそこからハッピーエンドとか想像できない」
「とにかくやってるシーンがてんこ盛り」


という前評判を聞かされており、しかも作者があの木原音瀬さんということも相まって、コレはただのアラブじゃねえ……心してかからねばやられるのはこっちだ!
と覚悟を決めて読み始めました。

とりあえずネタバレない程度に結論から申し上げます。

熱砂とか月とか、アラブ系ボーイズラブによくあるタイトルはついてますし表紙にアラブ服着たイケメンがおりますけども、それはまやかしです。良いですか皆さん、

この作品はテンプレ王道を突っ走るハーレクインBLではありません。

大事なので繰り返しておきます。

これは我々が想定するアラブBLではありません…っ!


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
絶え間なく雄に穿たれ、心とは裏腹に快感に噎び悦ぶ体。この爛れた淫獄から逃れられるのはいつの日か―。石油王だった父親が倒産と同時に失踪し、寄る辺のないファウジはその美貌に目をつけられ、オークションにかけられてしまう。あられもなく恥部を晒され屈辱に震えるファウジを高値で買い取ったのは、見ず知らずの男。彼の紳士的な態度に安堵するが、連れられた館で待っていたのは耐え難い恥辱の日々だった。枷をつけられ服は与えられず、夜には淫らな狂宴で男達の性の玩具となり…!?

とにかく、アラブと見せかけてアラブじゃないです……。
木原さんは、アラブを書いてみたかったって前書きで仰ってましたが、木原アラブとBLジャンルに於けるアラブはまったく別物だと1冊かけて学びました。
ざっくりどれだけ違うか挙げてみますね。

通常アラブ:受は日本人。だいたい平均以上の容姿で性格は、属性は違えど基本善良。
木原アラブ:受がフランス人とアラブ人のハーフで、超絶美形、性格は見事なクズ。

通常アラブ:攻が受をオークションで落札して紆余曲折あれど溺愛。
木原アラブ:攻が受をオークションで落札して本気の復讐。買っただけで自分は触れない。

通常アラブ:受がされる「お仕置き」はただの攻の趣味プレイ。ベースは愛。
木原アラブ:受がほぼ最初から最後までザッツスレイブ。複数・獣・近親もどんと来い!

通常アラブ:攻が受を本気で愛しちゃって男のお妃誕生。
木原アラブ:攻が復讐を見届ける情熱を失って受を友人に譲る。

通常アラブ:攻は受とくっつく。3Pも稀にあるけど本当に例外。
木原アラブ:攻と思ってた富豪はマジ復讐心しかない。最終カプは攻の使用人×受。

……おわかり頂けただろうか……。
とにかく、いつものアラブBLだふふふーん♪
という気持ちで読み始めたらページの向こうにあるのは萌の大海じゃなくて地雷原です。

ちなみに受のお相手をする獣も色々出てきまして。
駱駝・蛇・駝鳥のお三方が攻になってました。
ほ乳類・爬虫類・鳥類とバラエティに富んでおります。
ああ、お魚はいませんでしたね……。

受がもう最初から最後までほんっっっとーに絵に描いたようなクズで困ります。
木原さんの書くクズキャラはホントに同情の余地無くクズですね!

なんというか、アラブラブな視点からは「進むな危険」としか言いようがないんですが、これがアラブじゃなくて木原節だと思って読めば、なんというか、案外普通です。
ちょっと肌色シーンが5割増ですけども、安定の木原ワールドです。
笠井あゆみさんのイラストも美しく、ダークベースのボーイズラブとなっております。
これはアラブBLじゃないんです。
アラブ世界が舞台の木原BLなんです……。

ちなみに初回限定のミニ小冊子のSSでちょっとだけほっこりできます。
そしてとりあえず、ちゃんとハッピーエンドです。
……ご安心ください。

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