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3月10日:感想を追記。
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ボーイズラブ・レビュー

●小冊子&カード付◎●蒼弓王国 下巻

価格:1,942円
(2013/4/10 23:19時点)
感想(0件)

↑イベント行けなくても、楽天のコミコミさんでも買えるようです!

ついに、ついにでました……。
(そして届きました←予約組)

邪道シリーズのモンゴル編完結。
このシリーズは、たぶん、ボーイズラブというジャンルの中で一番愛してるし、本編も含めた完結までずっと待ってる作品です。
……下巻発行まで、長かった。
実に長かった。

待つこと13年。

このシリーズには本当に翻弄されております。

まずビブロスが倒産して消滅しました。
(リブレは別物と思ってる)
止まっていた新書でのシリーズが、著者名をを「藤村紫」から「川原つばさ」に統一して講談社で動き始めるものの、モンゴル編はいつ動くか不明なまま何年も経っていました。
商業誌で上巻と中巻がでたまま、版元(ビブロス)は消滅して、もしかしたら、もう諦めた方が良いのかもと思ったこともありました。
絶対書くと、イベントなどで本人からうかがってはいたものの、それはいつなの……って、首がキリンになっていき、もう10m成長した木の葉っぱだって食べられるぜな状態でした。

それがようやく、去年になって本格的に発行に向けた動きが見え始めて、予告より半年と数ヶ月遅れたものの、ようやく、ほんっっっっっっっとうにようやく、発行されました。
感無量というかもうね、本を持つ手が震えたもんね!
画像をごらんの通り、上巻と下巻の表紙は対になっています。
この2冊を並べるのに……13年ですよ……っ!

※続きを読むの下は、予約者特典の写真とか背表紙とか、あとモンゴル編の上巻〜下巻のネタバレに容赦ないです。なにひとつ配慮してません。
自分で読むまで何も知りたくないわという方は、この下は見ないでね。








以下ネタバレ妄想注意!



でましたね……。
綺麗な本です。
(下手したら商業の前2冊より良い紙を使ってるんじゃないかな)

DSC_1284[1]そして、可能な限り、装丁が上中巻と揃えられています。
表紙はもちろん裏表紙も、背表紙も!
上のロゴは同じカラーとほぼ同じ書体で「ROSARIUM」になってるし、下のビブロス表記も同じように変わってます。これ、並べてじっくり見ないと気付かないですよ。森村さん(ローザリウムの装丁やってるデザイナさん)さすがです……。
もちろん中のデザインも、レイアウトやフォントなど、ほとんど商業誌の頃のままになってます。
ここまで来ると、制作側の愛というか執念を感じますね……。
本棚に並べても違和感なくて嬉しい限りです。


DSC_1281[1]そしておまけ本と予約者特典。
小冊子には沖麻実也さんのオマケ漫画があるようです。
そんで予約者特典は書き下ろしのポストカード。
蒼弓王国のメインキャらがひとりずつおります。
(コミコミさんの予約で全部これが付くのかとか、イベント売りのポスカとかはちょっとどうなるのかわかんない……バラで配布とかは、今までの流れから行くとあるのかな?)
とにかく、なかなかのボリュームです。
待ってて良かった……。




中巻では、カイシャンの周りに魔族(桂花のことだ)がいることが天界にバレて、彼に付いていた守護が外れることが決まってしまったあたりで終わっていました。
桂花は柢王とカイシャンの間で揺れ動き続けていて、なんだこの生殺し状態です。
彼らにどんな結末が待っているのか……。
これから舐めるように読みます。



えー、読み終わりました。
待ったのは13年ですが、MAXスロースピードで読んでも3時間以内でした……。
あまりのことにノータイムで2周目に突入してしまいました。

亡くなって、人間の王族として転生してしまった柢王と、彼を追わずにおれなかった桂花。
人間の寿命は短く、魂は柢王のものでも柢王とは別の生き物だと、生まれ変わってきたカイシャンの側にいながらずっと自分に言い聞かせてきた桂花ですが、それでも割り切れるものではありません。
熱を持ち、己の意志で生きて動いている柢王の魂を無視できるはずがなかったのです。

冥界教主のいる地底には、柢王の腕から再生された人形の「柢王」がいます。
桂花が愛している男の形をそのままに留めた、でも一切の意志がない人形です。

意志を交わすことのできない愛した男と、愛した男の魂を持つ別人と。
どちらからも心を離せない桂花がとても哀れです。
そして、ついにカイシャンに傾く心を止められなくなります。
柢王の魂を持った別人ではなく、カイシャン本人を愛してしまったのです。
彼と一緒に人生を終わらせてもいい……柢王に謝りながらそこまで考えた桂花。

当時のモンゴルは激動の中にありました。
権謀術数が渦巻き、いつ誰に裏切られてもおかしくない、派閥が違えば肉親でも敵になるような時代です。
そんな中、桂花はあらゆる手を尽くしてカイシャンを守りました。
天界の守護を外されたカイシャンが、定められた60年の寿命を全うできる保証などどこにもなかったのです。カイシャンを取り巻く仲間ごと、彼を守りたい……そこまで考えて、桂花は動いていました。
カイシャンの側に側室として仕えていたシビラが攫われて乱暴され、聖水の力を借りて死ぬ間際に産んだ娘も、遠くへやらずに自分の娘として育てました。
毒に耐性をつけさせ、カイシャンの力にすべく人材を育てて。
魔族の感覚ではほんの短い期間のはずですが、桂花が感じた時間は人間の感覚に近かったんじゃないかなと思います、というか、そうであって欲しい。
そうしないと、天界のタイムテーブルにのせた蜜月タイムでは、あまりに短いのでつらい。

桂花は全力で頑張りました。
それでも状況が…冥界の事情も重なって、カイシャンを守りきることを許しませんでした。
カイシャンは、実の母に毒を盛られて倒れます。
もうほんとうに……!!!! あの女!!!!!!!
生かしたまま100回鞭打った挙げ句、適度に手当てして杭に縛り付けて死ぬまで晒してやりたいわ!

カイシャンが生きている間に、なんとか冥界から脱出できた桂花ですが、側に駆けつけたときにはもうほとんど手遅れの状態でした。使えるはずの身内の体液も、アユル(カイシャンの弟)が異父兄弟だったため使えません。
桂花は、カイシャンに共生して助けようとしますが、体内に残った聖水に阻まれて入り込めません。
万策尽きた中、それでも愛した男の腕の中で穏やかに亡くなったカイシャン……。

桂花は二度も、愛した男を亡くしてしまいました。
まったく……なんという薄幸でしょうか!
せめて、せめてカイシャンに共生して、あと数十年、共に生きてそのまま人生を終わらせられたら、どんなにか幸せだっただろう。柢王には二度と会えなくても、柢王の魂を持った男と同じ身体になって、同時に生を終えられるなら桂花はそれで満足だったのに。
そして、魔族に魂を汚されたことになる柢王は二度と転生することもなくて、永遠に桂花だけのものになったのに。
柢王の魂は桂花の手をすり抜けて、また手の届かない場所に行ってしまいました。
ほとんど思考停止した桂花は、カイシャンの遺言だけを胸に留めてモンゴルを離れます。
桂花の、柢王を巡る旅はまだ終わりそうにありません……。

一方のカイシャンですが、私は、彼は良い人生だったと思うんですよね。
王族に生まれて衣食住には困らずに暮らせて、母親には疎まれましたがツンツンしていたとはいえ大好きな桂花がいて、仲間にも恵まれて。
国からは粗雑に扱われて辺境に飛ばされたりしましたが、そこで活躍しましたし、かえってのびのびと生きていられたんじゃないでしょうか。
しかも、ずっと求めていた桂花とも再会できて、今度はちゃんと恋人になってくれて、側近になってくれて、遠ざけられることなく一緒にいられるようにもなりました。
玉座についてからは、やりたいことをどんどんやりました。
最後の数年、桂花は行方不明でしたが、最期には戻ってきて死に水をとってくれました。
仲間や桂花に愛されたカイシャンは、満足して逝ったんだと思います。
それだけが蒼弓王国の救いでした。

いくらシリーズの途中とはいえ、なんの救いもなく絶望だけを残して終わるのはつらいので、カイシャンの最期に桂花が間に合って本当に良かったです。
カイシャンの後のモンゴルは、なんというか目も当てられない惨状になりますが、まあカイシャンのいないモンゴルなんか桂花もどうにでもなれという状態でしょう……ちょっと胸は痛むかもですが。
カイシャンの弟だけは不憫な子だなと思うわけですが、まあ桂花のこの先に比べれば些末事です。
男なんだからもっとしゃきっとしろよ!!! って蹴飛ばしたく思ったくらいです。

まだまだ柢王の魂は流離いそうです。
桂花にはつらい時間が待っているようで、やっぱり悲しい。
でも続きが読めないのはもっと悲しいので、できればこの下巻が出た勢いで本編や桂花のこの先の話が発表されたらいいなと思います。

つーかあれなのか、講談社に熱烈再開希望的なお手紙を手書きで綴って出せばいいのか!?
なんとしても、完結まで読みたいシリーズなので、早く本編も動いて欲しい……。
そんで、早くみんな幸せになって欲しいです。
ちなみにラストのシーン、

邪道総集編 3

価格:1,785円
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これに収録されているカイシャン子供時代の話(向日葵)読むとキュン度が倍増……。

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