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ボーイズラブ・レビュー
ここのところバタバタしておりました。
仕事が落ち着いたので友人と屋久島旅行に行きまして、リフレッシュして出社したら、突然古巣のベテランと中堅編集が2人同時退職することになっており、それに伴って次の媒体制作が物理的に無理ゲー状態に陥り、急遽穴埋め人事で編集に異動になりました。
えー……年末までのんびり過ごす予定が、年末進行がっつりのド修羅場確定です……担当になったの、未知の分野過ぎて引き継ぎ資料読みながら涙目ですハイ。
仕方ないので萌BL読んで乗り切りますね。
もうほんと、ボーイズラブ素晴らしいです、生きる勇気がわいてきます。
この作品は、久々のドストライク切な系です。
記憶喪失モノの変化球的設定です。
なんとなくこう、博士の愛した数式を彷彿とさせます。
しんみりしながら1人で読んだらたぶん泣いてました。
↑新幹線で読み切ってしまってもったいないことしたなと思ってます。
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
朝、櫂は知らない部屋のベッドで目が覚めた。ついさっき、眠りにつくまで櫂は十八歳だった。しかし窓に映る自分の姿は、どう見ても高校生には見えないほどくたびれていた。「現在のおまえの年齢は35歳」…枕元に置かれたファイルにはそう書かれていた。戸惑う櫂の前に現れたのは、ツダと名乗る見知らぬ男だった。男に自分の「ハウスキーパー」だと告げられた櫂は驚くが…。―永遠に繰り返されるせつなく甘い愛の物語。
櫂(受)は事故の後遺症で記憶が13分しか持ちません。
眠って目が覚める度に18歳に記憶が戻ってしまいます。
そんな彼には、ずっと側にいてくれる恋人がいました。
男同士なので、毎回そうなった経緯とか説明できないのかしても理解してもらえないのか、目覚める度に「ハウスキーパー」だと名乗って、恋人に毎日「はじめまして」をするツダ(攻)……。
ねえもうだめですよ。
設定だけで泣けますよ。
攻が辛すぎて切なすぎてもうホントに!
大好きな相手が毎日自分こことを忘れてしまうのです。
普通、心ばきばきに折れますよ……。
たぶん、最初の方は相当、気持ちの整理をつけるのが大変だっただろうなあ。
慣れたって、慣れきるものじゃないし拒絶されるたびに悲しいし、それでも好きで離れられないんだから、これはもう精神的ドMとしか言えません。
愛が深すぎます。
毎回、すべてを忘れて18歳に戻って13分刻みの人生を歩む櫂も、もどかしくて悲しいです。
短い時間が、降り積もっていかなくていつでも必ず振り出しに戻ってしまう。
どんなに覚えておきたくても、記憶は消えてしまう。
こんなカップルなので薄氷を踏むような気持ちでページをめくりました。
でもつらいだけじゃない幸せもあって、しんみり読了。
読み応え抜群ですし、胸にくるお話です。
↓WEB拍手です↓
アキミ
何度忘れられてしまっても、受の認識が変わっても、攻の心は変わらず大事にし続ける…って、普通出来ない!そんな自分を否定されたら壊れて立ち直れないんじゃないかと思うのに…
ある種のSF的な設定の「寓話」とも読めました。どこに連れていかれるかわからない展開に不安になりながらも、最後は泣きボクロと共に何か暖かさと安堵の気持ちになりました。実は本当に短い間の話なんですよね。