ブログネタ
BL本レビュー に参加中!
ANIMALX 1 (HMB S 6-1)
ANIMALX 1 (HMB S 6-1)杉本 亜未

ホーム社 2011-04-15
売り上げランキング : 60894

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ANIMALX 2 (HMB S 6-2) ANIMALX 3 (HMB S 6-3) ANIMALX 4 (HMB S 6-4) ANIMALX 5 (HMB S 6-5) ANIMALX 6 (HMB S 6-6)  ANIMALX 8 (HMB S 6-8)

ボーイズラブ(ニア)コミック・レビュー


教えてもらって全巻一気に買って一気に読みました。
もうね、途中でやめるとかほとんど不可能でした。
殿堂入りです、ものすごくはまりました。

カテゴライズとしては少女漫画なんですけど、少年漫画の要素もあり、そしてボーイズラブな要素も満載で、近未来SFでファンタジーで異種間恋愛で、とにかく濃密です。
本当に、何で今まで読んでなかったんだろう……。
かなり昔の作品で、しかも完結まで時間が掛かっており、版元もいくつか移動するという波瀾万丈のシリーズだったようですが、この度、無事文庫化されたということで、私は文庫で揃えました。

若者は読んでない率が高そうな古典レベルの作品なんですが、もう読んでないとかこれは腐女子として損してるんじゃないかしらというくらい、私はずっぷりと前のめりで貪りましたよ!
今のところ今年、というかここ数年で一番のヒットです。

以下全巻ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
「この地上に…確かなものなぞ 安息の地なぞ ありはしないんだ」謎の疫病「X症候群」が蔓延する地球。そこには驚異的な能力を持った“血族"と呼ばれる一族が、人間と交わることなく存続していた。血族の血を濃く受け継ぐ少年・浅羽湊と、男の体を人工的に“血族の雌"の体にされてしまった鮎川裕司。ふたりの運命が交わるとき、人類と血族をめぐる過酷な戦いが始まる――。

紹介文は1巻分だけ。

血族と呼ばれる一族は「ダイナソーロイド」という恐竜遺伝子を持っており、リアルに恐竜に変身できます。変身したらめちゃ巨大で、とっても強いです。マジでティラノサウルス。
でも極端に雌が生まれにくい一族です。
故に、村単位で生活している血族は、雌が生まれると雄みんなで共有します。
正真正銘の一妻多夫制なのです。
そして産まれた子供は村全体で育てるというのが彼らの文化です。

で、あまりに雌が生まれなさすぎて、これ以上、雌がいないとヤバイ……ということで、なんと人間の青年が薬を飲まされ、人工的に血族と交われる雌に身体を作り替えられてしまうのです。
生まれてから27年間、男として生きてきた青年で、婚約者もいたのに、です。
騙されて飲んだ薬のせいで妊娠出産できる身体になってしまったんですよ……両性体です。
雌にされてしまった裕司は、それはそれは苦労します。
ボーイズラブでいうところの受なんですが、まあ、こんなに辛い思いをする受は他に例を見ないんじゃないだろうかっていうくらい酷い目に遭い続けます。

湊には、最初こそ攫われて村の雌にするために殴られたり閉じこめられたりしていましたが、2人は次第に惹かれ合い、お互い無二の存在になっていきます。
しまし、一夫一妻制が当たり前の日本の人間社会に生きてきた裕司と、雌は共有するのが当然だった湊と彼の血族が最初から分かり合えるはずもなく……。

裕司の初体験は行きずりのイケメンヤクザに無理矢理でしたし、しかもそれで妊娠させられます。
その後、湊ともいたしますが、それだけではもちろん済みません。血族内で薬を飲まされてまわされたり、全員の相手をさせない代わりに4人で共有させろと言われ湊にまでそうするよう諭されたり。
まずBL受が経験することのない、意に沿わない相手の子供をなんと2回妊娠して1回は出産、もう1回は流れてしまい、最初の子は養子に出すも残酷な結果になっており、湊との間にできた子供も何度もさらわれております。

まだ色々ありますが、とにかく、ほんとうに裕司は大変なんです。
これはもう発狂レベルなんじゃないのっていうくらいの目に遭うんですが、彼はしなやかに強くて、自分なりに現実と向き合い続けます。なんとか、人間と血族が共生できるよう、自分も大変なのに戦い続けます。
あきらめない祐司と、なんだかんだ言ってもひたすら祐司一筋な湊のおかげで最後まで読めたようなものかもしれません。
このシリーズ読み終わった後、傲岸不遜を地でいくアラブ王子攻のBLを読んだんですけど、強引に連れ去って閉じこめて逃げるのを捕まえてお仕置きしてと、受の人権はどこ? みたいな行為のオンパレードだった攻様が、なんか優しく見えましたからね!

ページをめくるのもつらいような展開もいっぱいあるんですが、それでも祐司が優しくて強くて湊が格好良くて、他の血族も人間も一生懸命で、なんだかすべてのキャラが愛おしい作品です。
高校生くらいに読んでたら、たぶん号泣しただろうな……。

最後の場面がもう素敵で素敵で。
どんなことになっても、未来を前向きに見据えていける祐司がもう眩しすぎました。

ファンタジーとかSFとか異種間恋愛とか、そのあたりに反応する人には是非、お勧めしたい作品です。
家に来る人来る人全員に読ませたい気分……さすがにしないけど。
でも是非、元気なときに手に取ってみて欲しいなと思える作品でした!

    ↓WEB拍手です↓
   web拍手