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彼岸の赤 (ドルチェノベルズ)彼岸の赤 (ドルチェノベルズ)
尾上 与一 コウキ。

ムービック 2012-03-15
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ボーイズラブ・レビュー


尾上与一さんの2冊目の作品です。
ちょっと前に発売していたんですが、Jガーデンでサイン本が販売されるとの情報をゲットし、ぐっと我慢して朝イチで企業ブースに並びに行きました。
イベントで企業ブース行ったのなんて初めてですよ……。
そしてサイン本を優先したためもう一つの部屋で配られてたお目当てのサークルさんのペーパーが無くなっていたという。身体が2つ欲しいよね。

さて、なかなか変わったカップリングのボーイズラブでした。

人類の余裕で鶏に勝利した攻と、死んだ気になって人生やり直そうとしていた攻をビルからうっかり突き落としてしまった受さんのお話です。
職業的には元893×坊主
ただし、893モノBLには高確率で出現するスーパー攻様は出てきません。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
刑務所から出所したばかりの元893・幸久は、心機一転やり直そうとビルの屋上で決意を新たにしていた所、投身自殺と勘違いした僧侶・恋慈になぜか突き落とされてしまう。一命は取り留めたものの、家も無ければ金も無い幸久は、仕方なく恋慈の寺で世話になることに。恐ろしいほどに自虐的で鬱々とした雰囲気の恋慈。その訳を知りたくて、度々身体を重ねながら、恋慈の心を温めていく幸久だが、恋慈には心中未遂をした過去があると知り…。

職もない家もない金もない……
攻さんのスーパー無い無い尽くしで物語は始まります。
彼にあるのは中途半端に残念な前科と現金502円と携帯電話。
彼が受なら通りすがりの攻さんが拾ってくれることもあったでしょうが、誠に遺憾ながら彼は攻でした。当然誰も拾ってくれず、それどころかビルの上から突き落とされて怪我を負ってしまいます。
いくら受じゃないからってあまりな仕打ちだと思います。

そのあと、その大怪我の原因になった受さん(坊主)の寺に世話になることになり、衣食住で飽きたらず、人間の三大欲求の残りひとつ、性欲の処理まで慰謝料とばかりに要求しちゃいます。
しかも坊主、男からそんな要求されてもあっさりOKしちゃうんだからもうね!

本当は性根の優しい元893な攻・幸久ですが、これだけ見てるととてもそうは思えません。
いや、ちゃんと読めば「そう」なんですけども!
そして恋慈も、単なるおっちょこちょいのお坊さんというわけではなく、心中未遂という薄ら暗い過去を背負っております。未遂だったのは恋慈だけで、相手はきっちり昇天してしまったので、そのことをずっと引きずっているのです。

君たち色んな意味で大丈夫……?
みたいなところの多いカップルですが、この両思いなのに繋がらない気持ちとか、幸久を好きな気持ちを自分で受け入れられない恋慈の葛藤とかがとても切ないのです。
とってもBLジュネなのです。
なんてことない場面にふっと色気があったりするのです。
でも二月病ほど重くない感じ。
しっとりしてるのにさくっと笑える文章もあったりして楽しいところも多いです。
人間じゃないけど鶏の太郎丸も良い味出しております。
鶏が柴犬に勝つとかマジか……野性味の強くないのなら大丈夫なのか……。

尾上与一さん、そこはかとなくJUNEの空気を纏ったBL書きというなかなかレアな作風の作家さんです。いやー、好みすぎてどうしましょう。
これからも定期的に本が発行されると良いなあと思います。

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