定期的に沸いてくる話題だし、毎回反応するのもアレだなあと思うわけですが、今回、あるイベントが正義を標榜する内輪の内圧で圧殺されていくのを見てなんだかなあという気分になってしまったのでとりあえず、我慢せずに書いてみます。

ちなみにBLや腐女子の自重に関して前に書いた記事がこれ。

さて。

コミケはお盆と年末の風物詩くらいの勢いでニュースとしてお茶の間に取材映像が流れ、サブカル系の番組特集に「ボーイズラブ」だの「腐女子」だのという単語が飛び交い、商業ベースに至ってはBL関連商品が数億単位の市場を誇る今日この頃、今さら内部で「外に漏れないよう」「こっそり」「仲間内だけで」あれこれ楽しむとか物理的に不可能です。

可能だと信じるのは勝手ですが、夢は寝てる間に好きなだけ見てください。
起きてる間は現実を見ましょう。

既にこれ以上ないくらい大々的に世間に知れ渡っている中、それでも隠れたい。
そういう人は多いと思います。
私も会社や一般人の友人知人には自分の趣味を話したりしません。
同じ趣味を持つ仲間内やネット内でBLを楽しんでいます。

ジャンルごとベールの向こうに隠してしまうことは不可能でも、個別に隠れることは別に難しくありません。
twitterなら別アカウントを取りましょう。
知らないうちに一般人に見られたくないのであればアカウントに鍵を掛けて呟きをクローズド空間に封じ込めれば良いでしょう。
リアルにおいては外でオタク話をしない、読まないだけで、だいたい隠し通せます。
擬態は磨けば磨いただけ、立派に成長していきます。
TVから腐女子だのコミケだの18禁だのといった言葉が聞こえてきてもスルーして「なにそれフーン」くらいの無関心を装えば、あなたを画面の向こうの人々と同類と見なしてくる人もそういないでしょう。


それでも、流れてくるだけで我慢できない・自分以外の誰かがおおっぴらにBL系萌え話を、二次創作話をしているのが気に入りませんか?
それならば、目に入れない努力をしてはいかがでしょうか。

それはTVですか? ではチャンネルを変えましょう。
それは本屋の平台ですか? ではそこで買い物をしなければ良いでしょう。
それは同人系サイトですか? ではそっとブラウザを閉じましょう。
それはtwitterですか? では静かにリムーブかブロックをしましょう。
誰にでもそうする権利があります。

ただし、TVの向こうでインタビューに答えた誰かに、サイト内で盛り上がっている管理人に、twitterで萌え話をしているフォロワーに、リアルでオタク活動をする人々に、それを止めろという権利は誰にもありません。

公のTL(タイムライン / twitter用語で、呟きが表示される画面)で憚らず二次同人誌の話をするのがあなたの正義に反していたとして、その正義に汎用性はありません。
あなたの正義を他人が守る謂われはなにひとつないのです。

隠れていたい人の迷惑になるから表に出てくるなと言って、寄って集って出る杭を地面に打ち付けて押し込んでいる図を客観視してみてください。
それは青少年の健全な育成や児童ポルノ撲滅にかこつけて表現規制を推進する人たちと同じ行為です。
理不尽に他者の権利を踏みつける行為です。あなたが振りかざす正義は、ローカルルールは、独自のマナーは、簡単に他者を叩き潰す凶器になります。

表に出てくるな、自重しろと、表だって活動している人たちに迫ってそれが実現したらどうなるか、想像したことはありますか?
市場が縮小されれば、今までそれで収入を得ていた作家さんが職を失うかもしれません。
版元ごと倒れるかもしれません。
イベントに元気が無くなれば、ジャンルに参戦するサークルさんが減れば、隠れる隠れない以前に同人誌自体が減っていくことでしょう。

都合の良い部分だけが隠されることなどありえません。

法律や条例を無視する行為はもちろんNGです。
破れば罰せられます。関係各所にも迷惑がかかるでしょう。
しかし、そうではない部分について、それを当然のことのように非難する様を見ると寒気がします。
数を頼みに炎上させようとするなど狂気の沙汰です。
それこそ何様ですか? ってなります。

自分のコミュニティにあるローカルルールが絶対だと盲信していませんか?
理不尽にそれを誰かに押しつけていませんか?
あなたの信じる正義は絶対ではないことの方が多いです。
数が多いことは正しいことに繋がりません。

自分が正しいと信じて誰かを非難し、あまつさえその非難を拡散させようとする前に、深呼吸してもう一度、よく考えてみて欲しいと思います。


3月1日追記
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あまりにもコメント欄で二次創作への言及が多いので追記しておきます。

二次創作を「自重を強要するな」という主張に含める理由
このエントリを書くに当たっては、オリジナルと二次の違いを理解した上で、あえて二次創作も話に含めています。
問題となった函館の件が二次創作も絡んだ話であったということ以上に、二次創作であろうと 【第三者に自分が正しいと信じる自重やマナーの強要をすべきではない】
と考えているからです。
これは、まったく自重やマナーが必要ないという主張ではありません。
野放図で好き勝手やらかして良いという主張でもありません。
私の中にも「ここから先は駄目」というマイルールがあります。
それを誰かに求めるつもりはないし、また求めるべきではないと思っているだけです。
誰もが「私は最低限のマナーを行き過ぎた行為をする○○さんに注意しただけ」というようなことを言います。
しかし残念ながらその「最低限のマナー」の基準は人によって違うのです。
よってたかって「最低限」を主張し続けた結果、どんどんハードルが上がっているという危機感をここのところずっと感じています。


二次創作は法に反しているのだから自重は当然という意見について
よく二次創作はグレーゾーンだといいます。
法律が絡む話なので、いずれちゃんと時間を取ってしっかり整理してまとめようとは思っているのですが、あまりな解釈が多いので一言だけ書いておきます。
※著作権に関しては解釈や視点やいろいろな問題があるので、ほんとにざっくりとです。

二次創作同人誌がグレーゾーンだというのは、
「誰かが創作したキャラや設定を使ってお話を作っているから、キャラや設定をパクっているから、法的にアウトなのではありません」
キャラや設定を使っただけでアウトだと思っている人が多すぎます。
「著作権上、権利者に訴えられたら即・法的に黒と言うことにもなりません」

著作権に絡んで裁判になった場合、争点となるのは、超大雑把に、問題となった同人誌が「パロディ」か「侵害」かという点です。キャラや設定を間借りしていても、そこに創作者の独自性が認められた場合、その本は違法ではありません。
パロディであるという判決が出た場合、その同人誌に限っては「白」となります。 絵をトレース台詞を丸パクとかそういった場合はほぼ確実に黒判定だとは思いますが……

ただし、だいたいの同人者は、作者に「止めて!」と言われた段階で止めると思います。
まず作者に訴えられて裁判で最後まで戦おうという人はいないのではないでしょうか。
作者に止めてくれと言われて引いた、この時点で話が終わればその同人誌は「グレーゾーンのまま」になります。
そういう意味で、二次創作は永遠のグレーゾーンなのだと考えています。
私がブログやtwitterで「二次同人はグレー」的な発言をしたときのグレーは「パロディか著作権侵害かは裁判するまで分からないからグレーゾーン」という意味になります。
本当は駄目(黒)なんだけど、作者に訴えられてないからセーフという意味ではありません。
権利者が訴えただけでは、二次創作同人誌を作っただけでは「違法」ではないのです。
もちろん、だからといって好き勝手して良いとかそういう主張を展開したいわけではありません。 上にも書きましたが私の中にも「私が考える最低限のマナーと自重」はあります。
リアルでは特に、お互い快適に過ごすために、ある程度の住み分け(ゾーニング)は必要だとも思いますが、それはまた別の議論です。

今回の私の主張は一貫して
「マイルールを第三者に強要すべきではない」
という一点です。

この主張を、オリジナルと二次に分けて論じるつもりはありません。
誰かに自分のルールを押しつける行為に正当性があるとは思いません。
まして、よってたかって数の力で炎上させて誰かのルールをねじ伏せる、無理矢理変えさせるというような行為は私刑としか思えません。


沢山のコメントありがとうございます。
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