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灼熱の薔薇は紅く燃えて (ビーボーイノベルズ)灼熱の薔薇は紅く燃えて (ビーボーイノベルズ)
愁堂 れな 陸裕 千景子

リブレ出版 2008-07
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ボーイズラブ・レビュー


灼熱の薔薇は甘く乱れてと合わせて読みましたが、やっぱり強烈なのは1冊目の灼熱の薔薇は紅く燃えての方ですね。

アラブBLはいろいろと想像の斜め上を飛び越えてくれることが多く、開いた大口から魂が抜けそうになるのを押さえ込みながら読むのですが、今回もまあ、なかなかに楽しいことになっていました。
うん、ボーイズラブ自体が立派なファンタジーなわけですが、そこにアラブが絡むとスーパーファンタジーって感じですね。
集英社にそんな名前の文庫レーベルが昔あったけど無関係だからね。
あのレーベルはBL進出前に消えた気がします。
占い師のシリーズとかカナリア・ファイルシリーズとか好きだったんですが……。

まあいいや、アラブです。
実はこのお話の番外編を先に読んでしまっておりまして、これもなかなかすごかったのですが、本編もなかなかのものでした。
本編読んでない! って喚いたら友人が貸してくれたわけですが、いやーありがとう友よ!
部屋の整理が一時止まって2冊とも読んでしまったよ。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
警視庁の美猊のエリートSP・玲央奈は、失恋して自棄になっていた夜、精悍な外国人に強引に攫われてしまう。「―私がお前の最初の征服者だ」胸に薔薇の刺青がある、見惚れるほど凛々しい男に激しく抱かれ、玲央奈は快楽に溺れる。だが、朝にはもう男の姿は無かった…。艶熱を体に残したまま登庁した玲央奈は、某中東の国の王子・サーディクの警護を命じられる。なんと、サーディクは昨夜の美丈夫その人で―!?新作オール書き下ろし。

読み始めは、おお、受も戦うナイスアラブ! って思ってたんですけど、そんなん一瞬でした。 まさに儚き夢って感じ。

片思いしていた友人の結婚が決まって自棄酒して、ヤケついでに全然好みじゃない少年までお持ち帰りして、さあホテルへ……てなったところを、ヤバげな男達に囲まれてる外国人を助けることになります。
しかも、警察だ! とか名乗って助けちゃったもんだから、少年は逃げるわけです。
で。
その助けた外国人がとってもイケメンで、礼をさせて欲しいという。
いえいえ結構ですって言ってもきかない。

それどころか、

「私を助けたせいで、相手をさせるつもりだった少年が逃げてしまったわけだし、礼代わりに私が相手をしてやろう」

みたいなことを平然とのたまって、恩人をそのままホテルに連れ込んで裸に剥いてしまいます。しかも、玲央奈くんはこれまで攻だったのに、なんか当たり前のように受として扱われるし、嫌だって言ってももちろんきいてもらえない。
あれよあれよといううちに、あっさり突っ込まれてしまいます。

この流れよ。
いいかアラブの王子様、アンタ助けてもらった相手にいくら一目惚れしたからって、礼にかこつけて無理矢理に受攻逆転させた挙げ句、同意を得る前に突っ込んだらアカンやろ!
なにが「私がお前の最初の征服者だ」だよ、アラーが草葉の陰で泣いてるぞ!

しかも、行きずりの関係で終わるはずが、玲央奈くんの職業がSPだったおかげで、まさかの職場再会。
もうここまできたら予想がつこうというものです。
王族の強権発動で玲央奈くんはローテも勤務時間も何もかも無視されてホテルの部屋の囲われるわ、上司に肌色絡みの関係が露見するわ、気づいたら砂漠の国まで同行することになって帰国できる雰囲気じゃないわ……。

美形SPの業務は過酷に過ぎますね!

もちろん、さらわれて助けられて愛が深まる王道コースもきっちり押さえてます。
タイトルも灼熱だし薔薇だし紅いし、文句のつけようもないアラブ。
一目惚れした男に偶然再会できたことを感謝されたアラーはいい迷惑だったと思います。
サーディク夢枕に立ってコーラン100回読み直せとわめき散らしたかったに違いありません。

本編では胸の薔薇についてはさらっと流されてますが、その辺は番外編の方が詳しく書き込まれておりました。 若気の至りで男同士、胸に同じ薔薇をいれちゃうってだけですでに一般人の感覚超越しちゃってるけどね……。

とにかく、2冊そろって『ザ・アラブ』なお話でございました。
うん、満足。

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