おとぎ話のゆくえ (幻冬舎ルチル文庫)おとぎ話のゆくえ (幻冬舎ルチル文庫)
一穂 ミチ 竹美家 らら

幻冬舎コミックス 2010-07-15
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ボーイズラブ・レビュー


3連休と聞く度に、土曜日に出勤して2連休な私は負け犬な気分になっております。
ううう。
なかなか3連休ないから楽しみにしていたというのに第二土曜まで仕事とか!
腹立たしい限りです。


一穂さんの新刊、ちょびっと延期になって残念だなーとぼんやり考えてたら、まだ前の新刊が積んだままだった事が思い出されて、得した気分で読みました。
……大事にしまいすぎて忘れるって良くありますよね!

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
ふらりと東京を出て、北の地方都市へと流れついた来杉隼人。そこに未だ息づく「お殿様」の存在に驚き、ばかばかしいと嘲って町の人たちから眉をひそめられるが、彼らが慕う若様―高校生の野衣湊にはどういうわけか懐かれてしまう。あまりにまっすぐな湊に苛立ち、どこかであわれみ、面白がっていた隼人は、いつしか湊を大切に思い始めて…。

大事に大事に育てられた町の名士の息子・湊と、風来坊の隼人。
本来接点なんかどこにもなかったはずなのに、偶然の出会いがどんどん大切なものになっていきます。

一つの出会いが起こす化学変化をじっくり追いかけました、という内容です。
派手さはないけど相変わらずの丁寧な描写で、じっくりじんわり、沁みてくる作品になっております。

とにかく湊は幼い時から厳しくしつけられていて、息をする様に周囲を気遣い、自我を殺して我慢するような子どもです。
周りから持ち上げられたり傅かれたりする事の多い家に生まれた為に、そういう風に躾けられて育ってきたのです。

それが、奔放を極めた様な隼人と出会って変わります。
隼人も、なんだか若様な湊が気になっていって、変わります。
両極端な2人が少しずつ惹かれていくのが良い感じなのです。


隼人が狭い町でうっかり人妻と遊んでしまって、町から叩き出されたあと、湊はついに我慢できなくなります。
切ないくらい必死に隼人を求めます。
幼馴染みの兄に土下座までして、隼人の行き先を尋ねるのです。
つらいだろうけど、忘れてって言われて、感情が爆発してしまいます。

つらいだろうって、どれくらい?

二つのときから、何時間も正座や、ただ立ったり座ったりするだけの訓練をさせられたことぐらい? 米粒を箸でつまむ練習をさせられたことぐらい? 背もたれや肘かけを使ったらすぐ叱られたことぐらい? みんなが野球してる間に家の中でひとりで書道や茶道を習ってたことぐらい?

それぐらいならいいよ、我慢するよ。ずっとやってきたから。でも、

きっともっと、ずっとつらい……


諦める事に慣れてしまった子どもが、ついに諦めるのが嫌だと叫んだこのくだり、切なかったなあ。
あんな優しいろくでなしを好きになって、苦労するよと思いつつ、でも幸せになってねと願わざるを得ないこの真っ直ぐさよ!


めでたしめでたし、で終わったらいいけど、現実はおとぎ話じゃないからその先も続いていきます。
ボーイズラブはファンタジーですが、二次元に住んでいる彼らにはそれが現実ですから、結ばれてはいハッピーハッピー良かったね!
だけでは終われないキャラだってたくさんいるのです。

めでたしの後のエピソードもちょこっと載っています。
大変な事もあるだろうけど、頑張って乗り越えてね、と言う気分。
隼人は、付き合っていく中で我慢するって事を湊からしっかり教えてもらうと良いと思います。

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