つる草の封淫 (プラチナ文庫)つる草の封淫 (プラチナ文庫)
沙野 風結子

フランス書院 2010-01-08
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ボーイズラブ・レビュー


先生、漢字が、違います!

封淫 じゃなくて 封印だと思います!

一瞬目が滑って、再度読み直して正しく文字を認識したときに、ああそっか、これってボーイズラブだっけ。とごく自然に納得した私は優等生にはなれなさそうです。

が、弟などはタイトルを見て沈黙した挙げ句、色々考えたのか、

「ほら、淫を封じてるから、慎ましい話なんじゃ……」

と曰いおりました。
それ、フォローになってないから!


プラチナ文庫のリニューアルおめでとうございます。
いやーめでたい。
あの目にまぶしいキラキラ装丁がシンプルで良い感じに収まって嬉しいです。

でもこれ、うっかり並べるところを間違えちゃったら、ただのライトノベルと勘違いしてお買い上げしちゃう気の毒な被害者が出ちゃうかも。
↑現にタイトルを見る前の弟はそう思ったようです。
やっぱりBLの表紙はある程度分かりやすく「ぼーいずらぶ」してる方が周囲には優しいのかもしれません。
さじ加減が難しい問題かも……。

あたりまえですが本作は立派な和製ファンタジーボーイズラブです。


以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

「初めて腹に含んだ男が、愛しうなったか」 権力者の影武者となる「珠」として造られた葛は、本体の月室藩主の子息・藤爾に代わり、幼い頃より慕う上忍の珀とともに緋垣藩に人質として赴く。藩主の嫡男である緋垣彬匡は、周囲の者に禍を撒くと噂され、恐れられていた。諜報活動を行う葛は体液から情報を読み取る特殊能力がうまく使えず、焦りを覚える一方、不幸をもたらす己を呪う彬匡の孤独に触れ、惹かれ始めるが……。


忍者が権力者の影武者を作って、身代わりにするわけです。
その身代わりのことを「珠」と呼びます。
受は「珠」として生まれ育って、冒頭で正しく身代わりとして忍者の里からお目付役の上忍とともに送り出されます。

送り出された先では、相手の体液を身体に取り込んで情報を読み取るというBL的特殊能力を駆使した情報収集と身代わり役を同時にこなすはずでした。
が、どうも体液からの情報収集がうまくいかず、しかもお約束通り、人質として送り出された先で藩主の嫡男(攻)の慰みものにされます。
ただ好き勝手されるだけならまだしも、このお話はなかなか激しくて、なんか蛇とか出てきます。
牙を抜いた蛇に大事なところを吸い上げられ、その蛇のしっぽが後ろから突っ込まれるという無体。
というか、その蛇、かなり幅の狭いU字型に身体がくねるわけですよね……しかも尻尾はけっこう締め付けられるし
まことに良く調教された蛇さんです。
つーかこれいったい何プレイですか。
蛇は獣に入りますか? 
……爬虫類ですけど。


最初、受はお目付役の上忍が好きで攻からの行為はいやで仕方なかったのですが、攻の孤独とか苦悩に触れるうちにどんどん惹かれていき、いつの間にか好きになっちゃった。
というオチが付くんですが、そこに至るまでに、お目付役を交えての3Pまであって、なかなかバラエティに富んだエ口が楽しめます。
ただし、ちょっとゲテモノですけども。


アクションシーンもそれなりに多くて、がっつり読ませていただきました。
なかなか楽しませてくれます、このカップル。

終わり方もハッピーエンドですがしっとりと良い感じに収まっていてその当たりもツボでございました。

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