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橘紅緒

大洋図書 2009-09-26
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ボーイズラブ・レビュー


10月に入りました。
恐ろしいことにあと3ヶ月で今年度が終わってしまいます。
ひえー。

光陰矢のごとしな日々を横目に、秋の夜長にボーイズラブ。
この季節になると、月の光でひそやかに読みたい本もある。
と帯に謳ったかつてのルビー文庫を思い出します。
あのころはボーイズラブじゃなくてJUNEだったか……思えば遠くに来たものです。

この作品はまさに、月の光で~なお話でした。
ちょうど今日はお月見ですし、もう一度じっくり読み直すのも良いかもしれません。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
「俺だけ見て、俺に話して、俺だけに優しくしてくれればいいんだよ」
四年前、白倉梓朗は幼馴染みで誰よりも大切な麻也を守るため、留学を決意した。 そして今日、麻也のもとへ帰ってきた。 けれど、梓朗の留学を裏切りとしか考えられなかった麻也は 「一生おまえの顔は見たくなかった」と梓朗に告げる。 一緒にいることに馴れすぎていたふたりの別離。 それは互いに不安とより強い独占欲を抱かせもした。 麻也を誰よりも理解しているのは自分だ、 絶対的な自信を持っていた梓朗だが・・・!?


幼なじみ同士が恋を成就させるお話です。
ちょっと行き過ぎた執着心がチャームポイントの本作。

攻は、幼少時のトラウマのせいで、色事全般に拒否反応を示すという、BL業界では超珍しいタイプの男でした。
逆は結構あるけど、攻がこのパターンって言うのは新しい。
まぁ、逆に言えば目新しいのはそこだけで、あとはオーソドックスな展開ではあります。

しかし攻。
抱く気もないくせにものすごい執着心を見せてくれます。
相手が自分にだけ気持ちを向けていてくれないと嫌って、あんた、母親から離れられない赤ん坊かよと。
三歩離れて座って待ってろ!
と言いたくなる鬱陶しさですが、受も受で、こっちは色事込みで攻にやられてるので、独占されることが一種の快感になってます。


……こんな書き方したら、どんだけ熱々のバカップルだよ! となりそうなもんですが、そーいうことにもならず、相変わらす淡々とした静かな地の文が押さえになって、良い具合に落ち着いております。


派手な起伏もなく、でも読んでいて眠くなることもなく、まさしく月明かりの下で静かに読みたいような本でした。


これはSHYですが、ルビーもちょっと懐古趣味を発揮して、あの帯と、それに似つかわしいお話で何冊か出してほしいなー。

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