スイート・セプテンバー (SHYノベルス)スイート・セプテンバー (SHYノベルス)
藤代 葎

大洋図書 2009-01-29
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ボーイズラブ・レビュー


表紙買いで大正解の代表選手みたいな作品でした。
とりあず、この人のデビュー作を読まないと……と思って見たら、デビュー作のイラストレーターが奈良千春さんでした。
なんかすげぇ。


まったく関係ないですけど、タイトル見て昔よく聞いたTWO-MIXの「DANCE SEPTEMBER LOVE」という曲を思い出して、読後猛烈に聞きたくなりました。
更新が終わったら、埃をかぶったMDラックをひっくり返していると思います。
アルバム収録曲で、シングルにもなっていなかったと思うんですが、好きな曲です。

表紙の雰囲気を裏切らない、優しく切ない、ちょっと温かい気持ちになるお話でした。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
「俺、ここにいてもいいですか?」誰も自分を知らないところでやり直したい、そう願った御崎夏南は、幼い頃に一度だけ訪れたことのある海辺の町に降りた。そこで気難しいうえに偏屈なカメラマン、橋場洸陽のコテージに住み込みで、家事雑用の仕事をすることになる。過去から逃げてきた夏南。怪我によりカメラマンとしてのキャリアと同時に希望も失った橋場。傷ついたふたりの出逢いは、やがて新たな希望をもたらすのだが…!?海辺の町で生まれた愛と再生のラブ・ストーリー。

トラウマ持ちの攻と受が出会って、じわじわ化学変化が~というお話。
とはいっても、フラスコ振ったらドカン! という激しい変化じゃなくて、じっくり時間を掛けて変化を見る感じの緩やかな反応です。


撮影中の怪我で右手がうまく動かなくなり、風景写真家としてはもう復帰が無理ですっかり腐っていた橋場(攻)は、友人の紹介で住み込みで働くことになった夏南の気配りや朗らかで芯の強い性格に惹かれていきます。

一方、これまで依存していた従兄に裏切られ、逃げるように家を飛び出し、ほとんど成り行きで住み込みの仕事を得た夏南。
従兄が抱えた借金絡みで男に売られ、キスから始まる初体験をまとめて強制され、たぶん心はどん底のままでやり直すために海辺の町に住み始めます。


傷をなめ合うわけではないんですが、お互い自分のことが大変なんだけど相手のことは気に入っていて、相手にやり直して欲しい、立ち直って欲しいという気持ちを持っているんですね。
なんかそのへんの、お互いの相手に対する気持ちに、こっちまでほんわかさせられるのです。
良い感じに癒されました。

夏南の従兄は、はじめはあり得ん、このろくでなしの甘ったれがっ!
と心の中で罵倒しながら読んでたんですが、途中から何か哀れになってきました。
挫折を知らない男がいったん折れると脆いのかもしらんと思わされ。
同情の余地はあるかも……とほだされかけたのでした。
でも、やっぱり幸せに暮らしてる従弟を自分の借金のために拉致監禁ゴー○ンコースはまずいですよ。
攻にタコ殴りにされてましたが、自業自得ってもんです。

なんにせよ、二人が幸せに未来を見つめて歩き出せたラストが良いなーと素直に思えたのでした。
出来れば、昔は夏南をかわいがっていた従兄も、立ち直ってくれればいいなと。

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