胡蝶の誘惑 アーサーズ・ガーディアン 胡蝶の誘惑 アーサーズ・ガーディアン
蓮川 愛

大洋図書 2008-11-27
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ボーイズラブ・レビュー


1冊目:硝子の騎士
2冊目:密林の覇者

そして本作が第3弾となります。
前作で露出を押さえすぎたと反省したのか、なんと今回の表紙は眼鏡の受が真っ裸でした。
いっそ清々しいとでも申しましょうか。
オビがかろうじで下半身をちょこっと隠しているだけです。
肌色率100%。
ちょっと本屋さんでレジに持って行くには、修行が要りそうな具合でした。
私にもまだ捨てられないあれこれがあるようです。

4冊連続刊行もいよいよ後半戦。
果たして今回はどんなギャグをかましてくれるのでしょうか。

ちなみにオビは、

「妄想から生まれた真実の愛がここに!!」

と謳っておりました。

実はページをめくる前からちょっと不安だったんですよ、ふふふ。


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

アーサーズ・ガーディアンシリーズ 第3弾

「あなたはこの幸運を受け入れた方がいい。ほんの数時間で苦しみから開放される」
製薬会社ヨーゼアに勤める叶野史生は、妄想癖のある熱心な研究員だ。
ある秋の夜、いきなり見知らぬ外国人が家を訪ねてきた。
褐色の肌に端整な容貌の彼、グレッグ・メイヤーは、初対面にもかかわらず、 叶野の持病を自分に治療させるよう主張してきた。
いったいどうして?わけがわからず怯える叶野をグレッグはなんとか説得しようとするのだが、 叶野が偶然つくりだしたある薬のせいで自事態は思いがけない展開になり・・・!?
傷つきやすい大人たちが手に入れた真実の愛とは!?

【アーサーズガーディアン】とは
世界的な大富豪である故アーサー・ブラックフォード卿の遺志を継ぎ 「世界平和は足許から」を理念に活動するスペシャリスト集団。 アーサーの理念に共感し、契約を結んだ『守護天使(ガーディアン)』たちの使命はただひとつ。
アーサーに救いを求める人々に手を差し伸べること・・・。

痔てっ!!
受の持病が痔!!!

や、ちょ、ちょっと?
そりゃ、冷静に考えればもっともな病気かしらとおもうし、座り仕事が多い職業だとなりやすいって聞くけれども!
でもボーイズラブで受が痔っつったらほら……やっぱり夜が大変なのね、と思ってしまうわけですよ。

しかも今回のガーディアン(攻)は医者です。
腕は良いようですが若干どころじゃなく常識が欠落していました。
なにしろ突然受の前に現れ、挨拶もそこそこに滔々と申し立てた内容はといえば――

あなたは一年前から尻の病気で苦しんでいるだろう

「――私はあなたの手術をするためにやってきた。なお、この手術においてあなたは一切の金銭的な負担を負う必要はない」


それに対する受の返答は「意味が分かりません」……妥当だと思われます。

落ち着け。
とりあえず落ち着けグレッグ
アーサーズガーディアンには基本的なコミュニケーションスキルの研修はないのか!?
いきなり見知らぬ外国人がやってきて「タダでアンタの尻治してやるよ」とか言いだしたら、普通の一般人はドン引き間違いなしですよ。
それくらい想像してくれ頼む。

そうでないと読んでるこっちの腹がねじ切れるっ!


タイトルはこの上なく蠱惑的なのに、まったく情緒の欠片もあったもんじゃありません。


受も受で、彼には割と激しい妄想癖があります。
もし彼が女で腐女子なら、さぞ優秀な逸材になったことでしょう。
際限なく妄想を膨らませて同人大手に成り上がり、コミケの壁に陣取って「腐腐腐♪」と呟きながら妄想の産物を景気よく売りさばいていたかもしれません。

しかも、彼は製薬会社の研究員。
偶然できあがった4時間だけ記憶力が抜群に良くなる薬を好きになりかけてるグレッグの前で飲んでしまい、妄想と現実をごっちゃにした挙げ句にそれを真実の記憶として覚えてしまい、驚くほど大胆にグレッグにせまります。
押し倒して脱がすわ舐めるわ銜えるわ、もう大変。
元はノーマルのグレッグは途方に暮れます……が、なんか途中からその気になってました。

受はその薬のデータをずっと片想いし続けていた男に奪われそうになって断り、断ったせいで拉致られ、そのどさくさで告白&失恋という手ひどいダメージを受けていました。
なんつーか、同情の余地はあったと思います。
しかしそれにしても、あの大胆さというか節操のなさはほとんどセク○ラなんじゃ、と。


あと、今回も経費は抑えめでした。
いいとこ、グレッグを専用飛行機で送迎したくらいです。
やっぱり1冊目での無駄遣いを反省したんでしょうか。

そして最後の方に、とてもとても一生懸命、アーサーズガーディアンの存在価値の本質が説明されていました。涙ぐましいくらいです。
正直、
組織の存在意義<話の面白さ 
なので、ここに来てそこまで頑張らんでも良いのに。と思ったり思わなかったり。



今回のは木原さんかな、と思いました。

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