しもべと犬 しもべと犬
玄上 八絹

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ボーイズラブ・レビュー


わんわん!

次のボーイズラブ業界の流行は犬なんでしょうか。
最近わんこモノが多い気がします。

――私のチョイスが偏ってるだけのような気もします。 いや大好きなんですけど、ご主人様ラブな受。
それにしても、ボーイズラブの流行ってあれですよね。
アラブ→遊郭→犬(?)

うん。根強く人気の続くリーマン・893&刑事等の設定もありますが、一過性の流行ってなんかどうもこう……なんだ。ちょっと色々踏み外しているというか。
人として大切な何かを少しずつ捨てながら進化しているようなジャンルですなぁ。
魔法の呪文を三回唱えてから読むことをオススメします。


あくまでボーイズラブ、あくまでファンタジー、あくまで妄想……。


以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

警視庁の非公式な部署に属する刑事・奥村智重は、人間の細胞から作られた人型の「犬」と呼ばれる生命体・石凪信乃を与えられ、組むことに。自らが傷つけられることなどものともせず、危険の中に飛び込む信乃。「主人」である智重を恋い慕う信乃に、智重は冷たい。時には身体を繋ぎながらも、信乃は智重との距離に心を痛めているのだが…。


いや、読みやすくなってた!
デビュー作を初めて読んだ時はもう、ホントに途中で投げそうだったので。
3冊目ということで慣れもあったと思いますが、さくさく読み進めました。
これくらい分かりやすいととても嬉しいです。

内容は、でもちょと切ないのです。
人工的に犬の遺伝子を組み込まれた人間警察犬と、彼を与えられた攻のお話です。
なにしろワンコ遺伝子ですから、基本、主人に忠実で攻撃能力もあり、鼻も効く、しかも人間なので意思の疎通は完璧。
そして犬であるからして、主人の愛情は必須です。
彼らは主人に喜んでもらいたくて、褒めてもらいたくて一生懸命働くので、それがないとダメージが大きいのです。

なのに、彼に与えられた主人は、一番欲しい愛情をくれません。

攻はとっても信乃(わんこ)が好きなのですが、彼は大切な人をことごとく亡くすという悲劇的な過去がある為、どーしても素直に愛情を返せないのです。
なんと2年も自制するという鉄壁の理性です。
いや、自制とは言っても身体の関係はあるんですが。

お互い好きなのにお互いが苦しい思いをするという、なかなかにもどかしい展開なのです。
最後は何とか思いを通わせてハッピーな感じで終わってくれてホッとしました。


最初から立場が対等じゃない人達の恋愛って、色んな意味で萌えます。
上司と部下でもまぁいいんですが、そーいうんでなく、絶対的な上下関係の上にあるう恋愛って普通のそれより複雑で絡んでて、そこを解きほぐすあるいは乗り越える過程が大好きです。
なので主従モノは大好物なのでした。

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