硝子の花束硝子の花束
杉原 理生

幻冬舎コミックス 2008-08-18
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ボーイズラブ・レビュー


6月半ばから続いた仕事やプライベートのあれこれが、今週アタマでようやく落ち着きます。な、長かった。
この期間に溜まったボーイズラブも結構な量になり、積読&既読本の山脈が乱立し、そろそろまた大整理・ドナドナの季節がやってきた感じです。

さて。
最近のMY作家買いリストに載ってきた杉原理生さんの作品です。
やっぱ好きだこの作家さんの醸し出す雰囲気。

今回、けっこう設定が痛々しいのですが、ただ痛いだけじゃないんですよねー。

それにしても、この良い感じの表紙に、なんで蛍光ピンクのオビなんだろう。
オビって好きなんですが、最近はいらんなぁと思うことが多かったりします。
目立てば良いってもんじゃないだろうに、と思う反面、きっと目立たなきゃ他に埋もれて売れないんだろうなぁという。
最近のボーイズラブ売り場は見ていると目がちかちかします。
――もしかして年のせいでしょうか。


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

亡くなった兄・雅紀の恋人だった脩一と一緒に暮らしている瑛。お互いのことを想いながら、雅紀の影を追い続ける二人は…。

一言で言ってしまえば男ばっかり三人集まった三角関係
しかも受の二人は実の兄弟で、うち兄貴の方はすでに死亡しているという、果てしなく不毛で救いようのないスタートなのです。

兄弟で1人の男を――って、それだけ聞いたら大した泥沼じゃん!
というツッコミは必至ですが、なぜか全然ドロドロじゃないんですよね、不思議なことに。 この作家さんの腕には泥沼を切なさに変える置換機能が付いているに違いありません。
昼ドラの敵みたいな腕ですが、ボーイズラブにおいてはむしろ歓迎されるタイプかも。

弟の瑛がずっとずっと、義務教育期間に突入する前から好きだったお兄さんの脩くんは、後からきた兄・雅紀のものになってしまいます。
でも瑛は、雅紀兄さんのことも大好きなのです。
年が離れているせいで嫉妬の感情もそれほど抱けず、モヤモヤしたまま時間が過ぎ、そして雅紀は、瑛も脩くんも手の届かないところにいってしまいます。
瑛の長い闘いの始まりでした。

もう、彼らの過去の回想が切ないったらありません。
この作品、最後の最後まで瑛の片想いが続くんです。
これで報われなかったらもうどうしてくれようかと……。 何とか報われたから良かったですが。


それにしても結局は明らかにならなかった雅紀の本心。
アンタ、結局は脩くんのこと本気で好きだったの? いや、たぶん好きだったんだろうけど、じゃあなんで別れたの、優しすぎて結局は残酷だったんじゃないのとか、色々色々、問い詰めたいわけですが、始まった時点で墓の下だった男なので、もはやどうしようもありません。

瑛と脩くんには、このまま幸せになって欲しいものです。

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