純情ロマンチカ純情ロマンチカ
中村 春菊

角川書店 2003-05
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ボーイズラブ・レビュー


いまさら

と妹に鼻で笑われながら既刊を一気に読み切りました。
アニメ化すると知った時から、私は勝手に「きっとタクミくんタイプのボーイズラブなんだわ」と思い込んでいました。

男同士の友情をちょっと超えた恋愛ドラマで、仲良くラブラブなんだけど具体的な描写はキスまで。
寝室に入るなり舞台は暗転。
ギシギシという効果音だけを残して、次に幕が上がった時には朝日が昇っており、窓の外では仲良くちゅんちゅんスズメが鳴いている……。

いや、甘かった、認識甘すぎましたよ。
朝チュンとか今時なにお子様なコト言ってんのアンタ
という高笑いがどこかから聞こえてくるよう。

表紙と中表紙が揃ってお行儀良かったもんですから、すっかり騙されてしまいました。
ページをめくればそこはガッツリ桃色世界。
めくるめく肌色ワールドが笑顔でお出迎え。

いやいいんですけど。
エ口シーンとか大好きですけど。
でもさ。

男が男の膝抱えて突っ込んでる動画なんて作って許されるんですかこのご時世に。

チューしてるとこにも葉っぱが飛んできたりするんでしょ。
いったいどんだけでかいもん飛ばしたら都合良くあれこれ隠れるんでしょう。
しかも屋内の寝室で。
気になる。というか、純粋に見たい。
どうせならDVDで揃えてやろうかと思ったら予想より2千円以上高くてちょっと半分以上諦め気味。
まぁそうだよな。
デスノと同レベルの価格帯を想像してたのが悪いんだよな……凹
くそう、打ち出の小槌が欲しい。
とんとん叩いたら欲しいBLがポンポン出てくる素敵なヤツが


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。
兄の友人で超有名小説家の宇佐見に、なぜか家庭教師をして貰うハメになった美咲。ところが、訪れた宇佐見の自宅で、兄と宇佐見を主人公にした「ボーイズラブ小説」を見てしまい…!?

超ベタな金持ち設定の攻。
絵に描いたようなやんちゃ受。

冒頭部分でそのベタベタっぷりを遺憾なく発揮してくれています。

①旧財閥宇佐見グループの御次男。
②エゲレス生まれで10歳までお育ちになられた帰国子女。
③T大法学部ストレート合格首席卒業。
④都内一等地5LDKマンション最上階一人暮らしの28歳

今時、少女マンガにもこんな奴いねーぞ


見事な作中自主ボケ・ツッコミですが、ここにボーイズラブの真理が凝縮されているような気もします。
今時少女マンガでも鼻で笑われるような設定が大手を振って歩いて許されるのがボーイズラブなのです。私もベタ設定大好物。
まだこの場合は財閥の前に「旧」が付いているだけ良心的と言えます。
なにしろこの業界、下手したらアメリカ大統領とホットラインで繋がっていて、孫1人助ける為に米軍ヘリを出動させたり、一声でアメリカ大統領の首を飛ばせると妄言を吐いたり、現代日本なのに巨大財閥だったりする連中が平気でのし歩いているので。
(それにしてもさすがは世界の警察。ボーイズラブ界でもしっかり権力の象徴に使われてるわ)

で、そのベタな攻・秋彦は受の兄貴がずっと好きだったんですが、何年も片想いし続けたにも関わらず冒頭近くであっさり失恋してしまいます。
なぜなら兄貴が、よりにもよって攻の誕生日に「俺たち結婚するんだ」と報告に来たので。

秋彦が書いたボーイズラブ小説を見つけてしまい、秋彦が兄を好きなことを知っていた受・美咲は、自分のことでもないのに大泣き。

絵に描いたような庶民で、感情表現ストレートな美咲くんのことを、秋彦は好きになってしまっていました。
優秀な家庭教師のおかげで大学に受かった美咲は、家事全般を家賃に同居することに。
寝起き最悪オレ様なウサギさん(宇佐見秋彦の、「うさみ」に由来するニックネームだと、2冊目くらいまで気付かなかった……)との生活にはスリルと危険が一杯。
一般人が大半を占める国立大に高級外車で送迎されては周りに遠巻きにされ、散らかしてしまった原稿を片付けようと思ったら、うっかり掴んだページが自分をネタにしたボーイズラブ小説の肌色シーンだったり、気を遣って作ってくれたオムレツは異次元物質と化していたり。

とてもとても楽しいマンガです。

でも実は、寂しがり屋で好きな人に愛してもらいたいウサギさんと、真剣に人を好きになっていく男の子の恋物語なんだと思います。

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