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アンダルスの獅子 アンダルスの獅子
松岡 なつき

心交社 2007-10
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ボーイズラブ・レビュー


松岡なつきさんのお書きになるアラブです!
もうちょっとでFBの新刊も出ますし、嬉しい限りです。

最近、これくらいの肌色率なら何とか本屋さんでレジに出せるようになってきました。
成長したな私!(望ましい成長かどうかはこの際おくとして)

さて、本作は現代のアラブではなく、歴史ものアラブです。
世界史知識はほぼ白紙の私にはどの程度忠実な描写が為されているのかイマイチ正しく把握できてない気がしますが、違和感なくきっちり読ませてくれます。

以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

キリスト教徒による国土回復運動(レコンキスタ)が終盤を迎えようとしていた15世紀スペイン―最後のイスラム教国であるアル・アンダルスの武人サイードは、海賊に捕われ奴隷として売られそうになっていた敵国商人の息子ラファエルを、宮廷に入り込んだ間諜を探らせるため買い上げる。天使の名ながらも、あくまで屈服しない意志の強い瞳を持つラファエルに興味を抱き、戯れにその体を凌辱するサイード。そして常に黒衣をまとい、魔神に魅入られた男と畏怖されるサイードの冷めた傲慢さに、激しい憎悪と反発心を抱くラファエルだったが…。


アラブモノです。
紛うことなきアラブなんですが……。

アラブのテンプレ&様式美(??)たる、


拉致監禁ゴー○ン調教


が、どれひとつとして出てこないものですから、読み進むまでこれがアラブモノだと気づけませんでした。

そう。
これはアラブ方程式を頭から無視した硬派アラブなのです。
私は攻のサイードの着ている服の説明を読むまで、この作品を普通の歴史BLだと思ってました。
アンダルスはアンダルシアの訛りだと思い、スペイン地方の歴史が絡んでるのかー、と大真面目に考えておりました。
ああ、顔から火が
疑問を感じたらとりあえず目の前の魔法の箱に質問すべし。
と、自分自身に言い聞かせる羽目になりました。

デレなしツンツンの受・ラファエルは、意志の強いとっても美人な青年です。
最後の最後になるまでサイードへの気持ちに気付かず、気付いた時にはすべてが終わって自国に送り返されていたという……。

攻視点メインで進行する珍しい作品だったので、攻の気持ちは良く分かったんですけどねー。彼のラファエルに関する葛藤は、なかなかに真剣で読み応えがあります。
そう、この作品で特筆すべきはこのサイードの人格です。
彼は正しく権力者です
そのへんに転がってる十把一絡げのワガママ傲慢似非王子とは格が違います。
自分の立場と地位、行使できる権力をきっちり把握していて、それが当然だというふうに命令します。
相手が奴隷なら、従えられて当然だとナチュラルに考えております。
支配欲とか征服欲とかは埒外なのです。
あるべき自然な状況にすべく、暴れ馬を乗りこなすつもりでラファエルを扱います。


まぁ、その乗りこなす過程でうっかり惚れてしまうわけですが。
なんにせよ、傲慢ってこーいう男のことをいうんだよなと思わせてくれた攻はステキ。


ちなみに歴史の狭間でくっつき損ねたこのカップルが大団円を迎えられたのは、なんと10年後。
サイードの国が敗北して終戦協定を結んだ後でした。
続編があったら間違いなくオヤジ'Sカップルです。
まぁ、ないでしょうけれど。

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