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華の闇華の闇
蓮川 愛

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ボーイズラブ・レビュー


なんだろう、これは。
前作のリーマンモノは、面白いことは面白いけど、なんというか……手癖で書き飛ばした感が否めませんでした。
でも今回のはえらい情念こもってる感じです。
なんとも幅の広い作家さんです。

時代は明治、男なのに遊郭にいる華嵐と、その昔の知り合い貴師のお話。
遊女でありながら、根は男のままの華嵐が粋でした。


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

仕事相手である西苑寺子爵に連れられて吉原を訪ねた南条貴師はそこで四年前、自分の前から突然消えた少年と再会する。 しかし、彼はいまや吉原の奇蹟、吉原唯一の男遊女、華嵐だった!! 過去を忘れ、遊女として振舞う華嵐。 遊女を憎み、嫌う南条だったが、華嵐が見知らぬ男に抱かれる姿を思うと、自分でも抑えることのできない激情に囚われる。 ならばいっそ自分の手で・・・・・・華嵐の水揚げを決意する南条だったが。 豪華絢爛吉原遊廓絵巻!!


受が男なのになぜか吉原にいて、昔の知り合いに偶然再会して――と、何のてらいもなく王道を行く展開です。
でもこの遊郭モノは深かった。
すげーなーと思ったのが、華嵐のプライドです。
彼は、ボーイズラブのカップルがちょっとは考える、「なんでおれは男なのに男を好きになっちゃったんだ!?」という点についてはほとんど葛藤していません。
自分が男だから貴師に子供と家庭を与えてあげることはできないとは考えましたが、それだけです。身請けを、と言われた時の彼の断りの文句が格好良かったのです。


自分の借金は、この身で返す。それが僕の男としての矜持です。

僕はもう、誰にも買われたくないんです。

郭に買われるか、誰かに買われるか――僕はもう決めたんです。
この町で、母が生きた吉原で、志乃姐さんが生きた吉原で、やっていきます。
それが吉原唯一の、男花魁の生き様です。


一部略しましたが、この一連のセリフを華嵐に喋らせただけで1冊分の価値はあるんじゃないかなーと思いました。
自分の誇りに賭けて、自分の借金は自分で返したい華嵐と、順風満帆な人生を捨てて借金背負ってまで好いた男を身請けしたい貴師。プライドと恋心の一騎打ちと申しましょうか。

貴師にしても、遊女には良い思い出がなく、遊郭は嫌い、遊女も嫌い、でも華嵐のことは気になって仕方ない。華嵐は華嵐で、とうに捨てたはずの過去を知っている男に、華嵐として抱かれたり暁芳として抱かれたり、そもそも自分は華嵐として貴師が好きなのかそれとも……、と、実に色々な感情が交錯しています。

男でありながら女役、というのがボーイズラブにおける受の宿命です。
遊郭の遊女に、男としての心を持ったままの受をもってくることによって、男×男のジレンマが、特に受の抱えているジレンマが浮き彫りになっていた気がします。
遊郭に男花魁なんて、ネタにしかならないようなファンタジー設定なのに、シリアスで深いのです。トンデモにならずに、なんかこう、こう言うのもありかもしらん、と思わされるというか。

欲を言うなら、華嵐には本人の言うところの矜持を貫いて欲しかったです。
二十年くらいかかって借金完済(骨格に恵まれたので30になってもまだ女装が様になったとかで)して、晴れて年季明け→貴師と再会って。
花魁はってる華嵐のところに貴師は遊びに行くけど身請けはしないで、身を焦がしつつもずっと待っていて、晴れてお互いオヤジになってからゴールインでいいじゃない!
そしたら、華嵐のプライドは貫かれ、時間はかかれども恋は成就し、めでたしめでたしだと思うんですが、やっぱ年齢オーバーでダメなんですかねー。
個人的には、プライドよりなお優先される恋と幸せよりよっぽど萌えるんですが。



しかしなー。どう考えても華嵐って志乃に負けてますよね、存在感で

ボーイズラブなのに! でも志乃姐さんは間違いなく攻。
なんであの気っ風の良い姐さんが、どーしようもないろくでなし男に引っかかってしまったのか謎でしょうがないんですが……。理屈じゃないとはいえ、ちょっとあんまりなんじゃないのかと。

そして貴師。彼は華嵐を抱くに当たって、優秀な教師に、実演交えつつ微に入り細にわたってレクチャーを受けています。
ちょっと感動しました。
だってこの業界、男を抱くのは初めてなんだ、とのたまいながら、初っぱなから超絶テクを駆使して喘がせっぱなしのイかせまくりな攻様が多すぎるので新鮮で。
そうよねー、やっぱり最初は教えてもらったほうが良いわよねー。

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