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槇 えびし

講談社 2007-04-27
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ボーイズラブ・レビュー


駒崎 優さんは、ファンタジーを書く人だと思っていました。
これまで何冊か読んでいた彼女の著作は、全てファンタジーだったので。
今回は新境地開拓なのかボーイズラブと銘打たれた作品を発売されました。
帯によると、

「熱く切ないBL!」

ということになっていますが、表紙の絵といいタイトルといい、

「暗く痛いBL……」

の間違いじゃないか、と思いました。

余談ですが、大きめのフォントで「おまえは、天使だ」と書かれたアオリを見て、暁天かよ! と突っ込んだのは、私だけじゃないはず、たぶん。


さて、内容のことですが。
少なくとも熱くはないように思います。
というか、これってボーイズラブなのか? とちょっととまどったというのが正直なところ。
とはいえ、レーベルや作者という判断基準を外して純粋に作品だけを見た時、果たして何を基準にどこからどこまでをボーイズラブと呼ぶのか、と訊かれてもまともに答えられません。強いて言うなら長年(といってもたかだか十年くらい)ボーイズラブと呼ばれるジャンルの作品を読み続けてきた一腐女子の、独断と偏見によって磨き上げられた感覚だけが判断基準です。エ口の多少はこの判断基準には含まれておりません。
ただ、なんかこの作品は違う、ここに私の萌はない……と私の腐った本能は言うのです。
でも、萌えなかった=notボーイズラブということにはならないハズなんですが。

じゃあ面白くなかったのかよ、というとそうでもなく、面白かったんです。


以下ネタバレ注意!

このお話は、クリスがトラウマを克服して昔仲の良かった弟のような幼なじみと恋人同士に なり、これから明るい未来に向かって歩いていこうね、という、過去を乗り越えるたくいのものではありませんでした。

クリスが負わされた心の傷はまだ塞がりきっていないし、素直にラフィを恋人として愛することができるわけでもない。レイプされる前の、穏やかで心地良かった時間を懐かしんで、あの心地良かった頃に戻りたいと思う。でも、自分を安らがせていたはずのラフィは、自分をレイプした彼の叔父とそっくりで、前のようには接することができない……。
そしてラフィも、恋人としてクリスが自分を求めてくれなくても良いという。
ただ、弟分として可愛がってもらった、その時に戻りたいと主張します。

彼らは未来へ進む時を費やして、懸命に過去へと遡ろうとします。
なんか、リバープールで流れとは逆に向かって必死に進もうとする子供みたいで、どことなく痛々しいのです。
時間は前にしか進まないのだから、過去と同じには戻れるはずがなくて、いい大人の彼らも当然それを知っていて、でも気付けばそこを目指してしまっているという感じでしょうか。
最上は幼い日々にあって、未来に向かうよりそこに戻ることを望んでしまう彼らの臆病な感情が、何とも言えず悲しい気がしました。

最終的には、すべては時間が解決してくれるのだ、といわんばかりのラストに至る流れでもって、状況は多少改善されてきたという描写がなされます。
彼らの幼い頃の最上を上回る幸せが、この先にあると良いんだけどなー、と思いつつ読了。


担当編集さんは、ボーイズラブじゃなくて翻訳物のゲイノベルだとおっしゃったそうですが、あいにく私は翻訳小説はほとんど読まないし、ゲイノベルに至っては恐らく読んだこともないので、何とも言えません。
つーか、ボーイズラブじゃないと思ったのに帯にはBLって明記したのね……。
この帯の文句を誰が考えたのかは知らないのですが、担当さんだったらちょっと笑えます。

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