ワイルド・ロックワイルド・ロック
高嶋 上総

リブレ出版 2007-05-01
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ボーイズラブ・レビュー(コミック)


何と原始人モノ。
本書は新装版ですが、私はこれが初読みです。
またえらいワイルドな攻やなぁ、と思って本を裏返してみれば、紹介文の初っぱなに、

時は原始。

とか書いてあってびっくり……。

いやもう、偏見でごめんなさい。
どこで読んだか見たかはさっぱり覚えていないのですが、原始時代の恋愛って、好きな相手を殴って洞窟に連れ込んでコトを為したら終了、と思い込んでいたのです。
なのでいったいこの原始時代物はどんな展開になるのかと戦々恐々、というか、そもそもボーイズラブとして成立してるのかしら。と大変失礼なことを考えつつ購入しました。

杞憂でした。
立派なボーイズラブでございました。


以下ネタバレ妄想注意!


紹介文です。

狩りの最中、手負いの獣からユウエンを救ったのは、敵対する部族の次期長エンバだった。原始古代の悠大な風景の下、運命の出会いを遂げた二人の物語の行方は……!?

別部族の男達の純愛です。
初めはエンバ(攻)に反感を抱きつつも徐々に惹かれていくユウエンが可愛い。
でもなー。ユウエンのパパがちょっとおかしい!
ここしばらくウチの部族では獲物が捕れないから、おまえちょっくら女装してエンバたらし込んで食い物もらってこい(意訳)
と、自分の息子に女物の服を着せて送り出してしまいます。

で、エンバから魚をもらって戻ってきた息子の肩をゆすって、

「でかしたぞ息子よ」

とおっしゃる。
何の見返りもなく食べ物を分けてもらえたと本気で信じていたのか、親父よ。
まぁ実際そうだったわけですが……。

私は息子に女装させた時点で、

ウチの部族の為に身体張って食糧分けてもらってこい!

って言ってるのかと思ってしまったよ。
だって女装っていったって、今みたいな立派な小細工があったり体形補正道具があったりするわけじゃなく、とりあえず胸から下隠してみました~、というレベルです。
いやもうそれ、体格で性別ばれるだろって。
そんなこんなで、ねじ曲がってる私の脳内は、ユウエン・パパの息子売り飛ばし論を主張したわけです。
「男だけど、女だと思って好きにして良いから食い物くれ」
ってことなのかと……。

汚れててごめんなさい。
パパは無実でした。
男に自分の息子を託して「どうか幸福にしてやってくれ」と頭を下げるのもどうかと思うのですが、両者が幸せそうなのでOKなのでしょう。

ちなみに長年敵対していたのだそうなこの部族は、族長の息子同士が結婚することによって和解しました

リベラルなんだな、原始時代……。


そのあとの1話は、別の二人のお話。
こっちは、相思相愛になった末、一度だけ身体を重ねて別々の人生を歩むという、ちょっと切ないお話でした。これも良い感じです。


全編、ほとんどの男達は腰布1枚で走り回ってくれるので、サービスショット満載のお得な1冊でございます。
しかも、作中のあれこれは全て合意の上です。
皆さんすっげー紳士です。


これと一緒に買って、続けて読んだ読み切り短編の現代モノ少女漫画は、ほとんど全部が肉体からはじまる恋だったのにっ!!


少なくとも、ワイルド・ロックの中の原始人の方が、この少女漫画の現代人より紳士であったことは疑いようがありません。

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