ブログネタ
ボーイズラブ に参加中!
ラブシックラブシック
橘 紅緒 笹上

講談社 2006-12-02
売り上げランキング : 1176

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ボーイズラブ・レビュー


橘紅緒さんの新刊です。
なかなか手堅いペースで書く作家さんだな~と思います。
ボーイズラブって、平均刊行ペースがすごく早いのですが、早すぎず遅すぎず、着実に発行されてるなーという印象。
(それでも一般書籍に比べたらだいぶハイペースですが)

今回、肌色率高めでした。
全体的に切ない感じがします。
たぶん、ツボに入る人には楽しく読める作品。

でも、個人的には彼女のデビュー以来、もっとも読み甲斐のない作品になってしまってるんじゃないかと感じました。

以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

「俺はあんたのなに?」ボーイズバーで働く奥菜朗の前に、客と一緒に現れた男は、朗が夏に別れた恋人、赤穂万里だった。1年前に出逢い、あっという間に恋に落ちた。魅力的なぶん、厄介な相手だとわかっていても、気持ちを止めることはできなかった。とてもとても好きで、夢中だった。そう、万里のてひどい裏切りを知るまでは……。ほろ苦く、そして甘い恋の物語、ついに登場!!

なんというか……回想と現在進行形の物語を交互に書き進める形でお話が進行していくのですが、その演出に失敗した感が強い気がします。
これ、時系列順に構成し直した方が素直に楽しめる筋書きなんじゃないかなぁ。
過去現在を交互に書いちゃったもんだから、過去の話が色褪せてしまっているのです。
結局はもう終わった話なんでしょ、それ、みたいな醒めた視点で読んでしまう。
だから、現在の奥菜朗の葛藤というか感情の揺らぎにインパクトがないんです。
この構成でいくなら、もっと過去の話を鮮烈に、印象的に書かないと、大事なはずの過去話が現在進行しているストーリーに食われてしまうと思うのです。
そしてこの作家さんはそういう作風の人ではなくて、(少なくともこれまで発表された商業作品数作を読む限りは)、堅実に着実に、そして静かに文章を重ねて物語を組み上げていくタイプの書き手です。
この作品も、丁寧に恋の始まりから終わり、そして再生、という流れを大事に書けば、相当良い感じに仕上がったんじゃないかな、と思ってしまいました。前にはなかった多少のドロドロもありましたし。


なにしろ、この作品、
一目惚れ→蜜月→攻の裏切り→破局(受が振る)→誤解が解けてハッピーエンド
という流れの中の、実に破局までがすべて過去話として語られるのです。
よっぽどドラマティックにいかないと盛り上がるはずがない。
なのに、現在話とほとんど同じ調子で淡々と進んでいく過去話……。
過去と現在が融合する感動とかカタルシスもなかったしなぁ。
私は白けました。


あと、攻の性格がわけわからん。
べつに性格破綻してても良いんですけど。むしろ好みなんですけど。
破綻してる割には朗には初めから一途だったし、なんか都合のいい人なんです。
遊び人だったけど受に出会ってから真面目になる、というのは黄金パターンで珍しくも何ともないんですが……。どうも万里のそれは現実感がないというかなんというか。
ただの我が侭というわけでもないんですが、自分に興味のないものには徹底的に無関心で、他人を思いやる想像力が欠如していて、なんか薄皮一枚隔てた世界で息をしているみたいな、こっちの世界での存在価値は綺麗な顔だけかな……みたいな男なのです。
顔の良い不思議ちゃんには目がない私ですが、この男はちょっと遠慮したいです。
受ひとりに恋愛相手を絞ったなら、多少なりとも成長すればいいのに、こいつはまったく変わらないんですよね。しかも受は、壊れたおまえもみんな好き、おまえのすべてが好き、みたいなこと言っちゃってるし。
いやいや、こんな本格的にぶっ壊れた男に何言ってるの!
とこっちが心配になります。
まだ学生だから良いけど、社会に出たらどうするつもりだ万里。
芸術家にでもなるつもりか。


そして朗。



アンタが高校生とかもうそれは詐欺に近いから!


    ↓WEB拍手です↓
   web拍手