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ボーイズラブレビュー

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    ニューヨーク・ニューヨーク(羅川真里茂)

    2005年11月13日 clip!

     
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    ボーイズラブ古典特集第3弾


    この作品をボーイズラブと読んで良いのか、数年ぶりに再読して少し悩みました。
    少なくとも現在主流(?)の「男同士の恋愛をテーマにした作品で、明るく爽やかなもの」という作風ではありません。むしろ、ボーイズラブと呼ばれる小説群の多くがひたすら目を逸らし続けている現実(親の理解や周囲の反応など)に、許されるぎりぎりのラインまで挑戦しているように見えました。

    少女漫画(そう、これ、発売された時のカテゴリは少女漫画なのです)の立場から、真摯に同性愛に向き合って表現された作品です。

    萌えはありませんが、真摯な愛のある作品だと思います。
    私はこの作品が大好きなのです。


    以下ネタバレ注意!





    ゲイであることをひた隠しにしている警察官のケインは、ゲイが集まるバーで運命に出会います。まさに一目惚れ。メルに会って、ケインは初めて恋をしたのです。
    自分がゲイであることに引け目を感じているケインは、親にも自分の性癖を告白できず、メルと同棲するようになってもそのことでよく喧嘩になりました。また、メルに出会うまでかなりラフな性生活を送っていたケインは、何度か浮気もします。一番最悪だったのは、メルの元恋人と、あろうことか自宅のベッドでコトに及んだことです。
    とりあえず私がメルなら問答無用で家から叩き出します。
    所々に見られるケインの体育会的な無神経さにはかなり神経を逆なでされました。

    フリーな性交渉には抵抗を感じないのに、自分の性癖とは向き合いたくない。
    そんな思いを抱えているケインですが、彼がどう思おうと、現実は圧倒的な存在感で彼らの前にあります。彼らが越えなければならなかったその現実の壁が、ケインの両親でした。
    ケインはついに両親にカミングアウトをし、メルを連れて実家に帰ります。
    しかも滞在期間は1週間。
    意外にも息子の恋人を受け入れられなかったのは母親の方でした。
    はじめましての挨拶の時は、握手も交わせないほどの嫌悪感を抱えていたのです。何の覚悟もなく二人のセックスを見てしまったことも、その嫌悪感に拍車を掛けたようでした。
    それでも、一緒に過ごし、メルに触れ、友人に相談し、夫に励まされて、息子の恋人を受け入れる努力をするようになっていきます。
    またケインは、幼なじみには受け入れてもらえると思ってカミングアウトし、思いきり拒否されてしまったことで落ち込みます。
    ニューヨークに帰る時、ケインの母親はメルと握手を交わしました。
    彼らとケインの両親は、ひとつ壁を越えたのです。


    メルの過去も、二人の生活に影響を与えています。
    母親と、ほとんど自殺のような形で死に別れ、元々父親の顔を知らなかったメルは叔父の家に引き取られます。しかし叔父に性的虐待を受け、高校卒業を待たずに家を飛び出してしまいます。
    彼は生きるために男娼になりました。
    「なぜ男娼になった」
    と訊くケインに、泣きながら、
    「お腹が、すいてたんだ」
    と答えたメル。

    「すごく すいてたんだ ベッドが恋しかった 安らいで眠りたかった 汚れた路地に蹲って 飢えと寒さと危険に脅えるのは 終わりにしたかったんだ」

    読み返した時に一番、心に響いてきた場面だったかも知れません。
    (初めて読んだ時は、最後の場面が一番印象的でした)

    生きるために一晩10ドルで身体を売ったメルが、言いようもなく悲しかったのです。
    学歴も職歴も金もなかった彼が生きるために危険な性行為を重ね、それを負い目に思う様はどうしようもなく切ないのです。

    それでも、現実に生きている二人は愛し合って幸せでした。
    形式だけのものですが、ゲイ教会で結婚式も挙げました。
    理解のある上司や親に祝福されて、彼らは幸せの絶頂を味わいます。


    そしてその直後、メルが攫われて行方不明になります。
    救出されるまでの1ヶ月間、過去にトラウマを抱える連続殺人犯に監禁され、レイプされ、目の前で人を殺され、メルは心と身体に大きな傷を負うことになります。
    長いこと、ケインを受け入れることができなくなりました。ニューヨークにも住めなくなり、二人はケインの実家に引っ越します。
    そこで療養し、静かに傷をいやしていくメルと、それを支えたケインとその両親。
    メルは次第に立ち直り、ようやくケインを受け入れられるようになり、高校卒業資格を取り、大学に進学することになります。籍も、ケインの籍に入りました。
    やがて2人は1人の女の子を養子に迎え、育てていきます。


    腎臓癌に冒されたメルは、52歳で他界しました。
    ケインはかけがえのないパートナーを失い、生きていくことになります。
    ケインは言いました。

    「俺はメルと過ごした時間と同じ位 メルがいない時間を過ごしたよ」


    この二人の一生は、二人が育てた女の子・エリカの夫が小説にしました。
    義理の息子のインタビューに、ケインは答えています。

    「彼の返事はこうさ『俺はフリーセックスはしないんだ』
    メル・フレデリクスはそーゆー男だったよ。

    はは…そうだなあ とにかく一目で恋におちたんだ 
    ”ジーザス 運命だ” そう思ったよ」






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    [詞]これは泣ける…。【kotonone::詞の音】at 2005年11月14日 15:35
    同性愛を題材としたコミックがちまたに溢れている。 特に最近書店にもその一画に、俗に言うBL(ボーイズラブ)コーナーに置かれた大量のコミックには目を見張る。 adejyoも友人に借りて、一度読んだことはあるが、感想としては、「ありえねぇ??」だった。 キレイな美少年...
    『ニューヨーク・ニューヨーク』に憧れて【悲しみの艶オンナ】at 2007年03月17日 07:31
    この記事へのコメント
    こんにちは。私も「ニューヨーク・ニューヨーク」を本棚から引っ張りだしてきました。
    何ていうか…、この作品一番最初の読後(一気読みでした)はただ衝撃で。それから何度も何度も読んでは泣き読んでは泣き…。「同性愛」って何だろうとか、自分はそれに対してどんな考えを持つべきなのかとか、本当に考えさせられた作品でした。文庫版(文庫サイズの漫画)とコミックスの微妙な違いがまた…。
    それと、文庫版の解説もよかったです。がつんとしていて。
    乱文失礼いたしました。
    Posted by クロ at 2005年11月13日 21:47
    はじめまして、かきみと申します!
    以前から良く拝見させて頂いてました。
    私もニューヨーク・ニューヨーク大好きです。
    本棚の、すぐに手に取れる場所に置いてしまいます。
    本当に良いお話だな〜と実感できますよね。

    つい、好きな作品だったので、コメントしてしまいました!
    これからも、ちょくちょく通わせてもらいます!


    Posted by かきみ at 2005年11月13日 22:50
    おお、なんだか、私がせかしてしまってすみません。
    お忙しいところをどうも申し訳ありません。
    取り急ぎお礼まで
    Posted by りえ at 2005年11月14日 07:20
    本当にこれはBLというジャンルに入れていいものかどうか凄く迷う作品ですよね。
    私最初にこれの感想を書いたとき、最初はBL本感想のカテゴリーの中から外していたんですよ〜
    だってなんだかそういうものとは違う雰囲気がありますから。

    不屈の名作って感じがありますね、この作品はとても大好きです。
    これの感想とは全然関係ないけど、羅川真里茂さんのサイトでこの二人のラブラブなイラストがあるんですよね…
    すごくいいですよ(笑)

    TBさせていただきました
    ではでは
    Posted by Jura at 2005年11月14日 15:41
    わたしもこの作品は大好きです。
    どうしても処分できないさくひんですね。

    文庫版とコミックスって内容違うのでしょうか?
    文庫版も読んでみようかな・・・
    Posted by nami at 2005年11月14日 16:50
    アキミさんのレビューを読ませて頂いて、
    なぜ、自分がこれを読んでいなかったのか、
    ?マークで一杯になってしまいました。
    う〜ん。羅川真里茂さんが、苦手だったからなぁ・・・

    漫画好きのゲイ友も、これには引っかかってないみたい。
    なので、さっそく、探してみることにします。
    (って、風邪で3日ほど寝込んでいるので、次の休みが
     いつになるか、わからない現状ですが)
    BLは、ファンタジーだと思っているけれど、
    たまに、どっしり、大地に足が付いてると思えるものに当たるから楽しいのね。
    Posted by 夜子 at 2005年11月14日 18:41
    >クロさん
    本当に、考えさせられる作品でした。
    私は文庫版を持っていないので、
    その解説がちょっと気になります。
    内容も微妙に違うんですか!?
    買おうかな……。


    >かきみさん
    名前が一文字違いです(笑)
    はじめまして、コメントありがとうございます。
    私ももうなくさないようにしないと。
    ずっと大事にしたい作品です。
    良かったらまた遊びに来て下さいね♪
    Posted by アキミ at 2005年11月15日 11:18
    >りえさん
    いえいえとんでもない!
    むしろ良いきっかけでした。
    (というか、ここで読む気になっていなければ、
    亡くなっていることに更に長いこと気づけないところでしたし)
    改めて再読すると、やはり良い作品でした……。


    >Juraさん
    TBもありがとうございました。
    BLではないかもしれないなぁ、と思っているんですが、
    全く違うわけでもないので悩むところです。
    ジャンルなんてどうでも良いくらい名作だと思います。
    ラブラブなイラスト、拝みに行かなくては!!
    Posted by アキミ at 2005年11月15日 11:23
    >namiさん
    絶対処分なんか出来ないですよね。
    墓場まで持っていきたい気分です。
    文庫版は、解説が付いていて、内容も微妙に違うみたいです。
    私も買おうかなと考え中です(笑)


    >夜子さん
    未読だったんですかー!!
    是非読んで下さい!
    絵が苦手、と言う友人達にもこういって押しつけた記憶があります。
    とりあえず読んで損はない、と思いますよ!
    Posted by アキミ at 2005年11月15日 11:26
    内容は文庫版も一緒です。
    でもよくよく細かく見ると、絵というか、コマのなかがちゃんと描かれていたりとか、その程度なのでほとんど変更はありません。
    紛らわしく書いてしまってもうしわけありませんでした。
    Posted by クロ at 2005年11月15日 13:52
    >クロさん
    教えて頂いてありがとうございます。
    でも解説がきになる……。

    コミックは微妙な修正があるのですね。
    ……財布に余裕があったら買います!
    Posted by アキミ at 2005年11月17日 00:06
    初めまして。こんな本もあったんですね〜。
    「それは出来過ぎだろ〜」などという無理な設定もなく、そんな事もあるかな?と思わせられる感じでしょうか。
    メルにひたすら降りかかる不幸というのも私的には苦手な設定だったのですけど・・ケインの無神経な行動や暴言も現実の世界でみればよくあることですよね。よく出てくる「話合おう。」というセリフや二人のやりとりには、あぁアメリカだなぁと・・・ウチでも久方ぶりの殿堂入りですv。
    私が印象的だったのは、ガケから落ちるシ−ンでのケインのセリフで、私はここでケインの愛を感じましたねー。ケインはメルを本当の意味で理解した、と。
    紹介されているまだ読んでいないは本は、これから楽しみに読ませていただきまーす。
    Posted by アヤ at 2006年03月29日 10:44
    >アヤさん
    はじめまして、コメントありがとうございます♪

    この作品は、ほんとに大事にしています。
    なんか、再読しても何かしら思わされる作品って案外少ない中、
    貴重な一作だと思います。

    崖から落ちるシーンもよく覚えています。
    彼らの、きれい事だけでは済まなかった恋愛が、
    何とも言えずもどかしかったり切なかったりと、
    軽くは読めませんが大好きなのです。

    BLは当たりはずれが激しいですが、
    またツボにはまった本などあれば教えて下さいませ。
    Posted by アキミ at 2006年03月29日 21:57
    はじめましてアキミさん!
    このレビューを見てこの本を知って
    購入し、一気読みしました笑

    やはり噂通り、心に響きました。
    これを読んでBLに対して
    いい意味悪い意味で考え方がかわりましたし
    私の大好きな本の一つになりました。
    BLを読まれる方には必ず読んで欲しいですよね(^^)

    でも、花とゆめって結構そっち系の話とか多いのかな。
    こんなことかいていいのかわからないけれど
    清水玲子さんのミルキーウェイとかなんかそんな感じに
    思えてしまうのは……(ごめんなさい涙)
    Posted by なる at 2006年10月06日 23:30
    >なるさん
    はじめまして、コメントありがとうございます♪
    これはホントに、ぐっとくる作品だと思います。
    男性でも読めるんじゃないかなーと。

    清水玲子さんのミルキーウェイ……。
    確かに(^_^;)
    花ゆめはそっちっぽいのが多い気はします。
    闇の末裔とか。
    (あれ、今どうなってるんですかね?)
    Posted by アキミ at 2006年10月09日 22:43
    はじめまして、adejyoと申します。

    ニューヨーク・ニューヨーク。
    ゲイの視点から見て、かなり秀逸の作品です。
    世の中のゲイが現実に悩んでいる事を、
    比較的忠実に、そして解決を促している。
    羅川真里茂という作者は、どうやってこんなリアリズムを取材したのか、
    非常に興味がわきます。

    日本が舞台じゃないので、
    ゲイチャーチとかピンとは、来ないかもしれませんが、
    あったら嬉しいなぁって思っちゃいました。

    #勝手ながらTBさせていただきました_(_^_)_
    Posted by adejyo at 2007年03月17日 07:26
    >adejyoさん
    はじめまして、コメント&TBありがとうございます♪
    ゲイの方から見ても忠実だったんですねー……。
    殆どのボーイズラブはファンタジーなので、
    この作品はBL読みから見ると随分異色でした。
    でも大好きなのです。
    Posted by アキミ at 2007年03月20日 20:54
    俺、ニューヨーク・ニューヨークはまだ読んでないんです。
    そのうち読みたいなぁと思ってるんですけど〜
    羅川先生の作品「しゃにむにGO」、「赤ちゃんと僕」
    「いつでもお天気気分」もぜひ読んでください。
    〜本の紹介〜
    しゃにむにGOはもともと陸上選手だった伊出延久が尚田ひなこの出会いをきっかけにテニス人生に足を踏み入れていったのだった。
    赤ちゃんと僕は交通事故で母親を亡くした榎木拓也とその弟実による生活です。
    いつでもお天気気分は赤馬竜路次と眉村新之介と矢野秀の三人の高校生たちを中心にした青春グラフティです。
    絶対に面白いのでぜひ読んでください!!
    長くなってすみません。もし読んでる方がいられましたら
    感想をお願いします。
    Posted by 駿 at 2007年03月28日 19:14
    >駿さん
    ニューヨーク・ニューヨークは、
    雰囲気がだいぶ違うのでどうでしょうかねー(^_^;)
    赤僕としゃにむには読んでます♪
    ……しゃにむにの方は途中までですけれど。
    赤僕は何度か泣きかけました。傑作だと思います。
    しゃにむには、完結したらまとめて読もうかと。
    少女漫画は手薄なんです私……
    Posted by アキミ at 2007年03月28日 23:11
    >アキミさん
    返事ありがとうございます!
    へぇーそうなんですか?
    読んでみたいな〜〜
    赤僕の18巻は何度読んでも泣けますよね。
    しゃにむにはかなりおもしろいですよ!!
    また読んでみてくださいねww
    いつ天って打ち切りになってんですか??
    Posted by 駿 at 2007年03月29日 18:44
    今パソコンで赤ちゃんと僕のアニメを見たんですけど・・・
    なんか全体的に違いますよね。。。
    がっかりです。。。
    拓也は山口勝平じゃぁない!!!
    実も違うし。。。監督!!!
    何をしてるんだぁ!
    Posted by 駿 at 2007年03月29日 21:26
    >駿さん
    いつでも〜は、全くさわってないので、打ち切りだったのかどうかすら知らないのです。
    赤僕のアニメも見たことないです……。
    アニメと原作のイメージ違いは、ある程度は宿命みたいなものかと(^_^;)
    Posted by アキミ at 2007年03月31日 22:56
    それでも違いすぎかと。。。
    赤僕ファンとしては最悪ですねww笑
    Posted by 駿 at 2007年04月01日 17:17
    今更そんなこといってもしかたないですよね。。。
    Posted by 駿 at 2007年04月04日 22:50
    >駿さん
    ほんとに……今さら言ってもどうしようもない話ではありますよね……。
    そういう意味でなら私も未だにるろ剣の剣心の声が許せなかったりします。
    納得できないものは見ないに限ります凹
    Posted by アキミ at 2007年04月06日 22:30